
各種ワイヤーケーブルの操作感が重く、今イチ違和感があるようなときには、新品ケーブルに交換したいとは誰もが考えるものだろう。
しかし、供給部品が無い場合は、どのように対処したら良いのか? そんな時にはインナーケーブル交換がお勧めだ。
機械的に押しつぶす「カシメ」式で固定されているケーブルエンドのタイコが多い昨今だが、旧車のケーブルの中には、純正パーツ、アフターパーツを問わず、ハンダで固定されていた例も多い。ここでは、ハンダ固定によるインナーケーブルの自作を解説しよう。
ハンダと言えば、電気工作の配線接続に…… と考えがちだが、電気工作用ではなく、さらに高い強度を誇る鈑金ハンダをケーブル作りには利用しよう。特別なお店ではなく、ホームセンターなどでも購入できる。最近は、ステンドグラスアートに利用されている例もある。
電気配線のハンダにはヤニ入りとヤニ無しがあるが、鈑金ハンダは基本的にヤニ無しで、専用の液体フラックス(塩酸系)で接続部分の金属表面をクリーンに処理してから行う。中空タイコの場合はケーブルエンドを開き、その分のケーブル長さも計算しよう。
タイコにワイヤーを通し端部をほぐした後に液体フラックスを塗布。ペットボトルキャップを利用し作業した。容器に溜めたフラックスへタイコを沈めても良い。この作業をしっかりやることでハンダ固定に成功できる!!
今回利用したインナーケーブルは、動きがしなやかでフリクションロスが少ないステンレス製ケーブルを利用した。ステンレスケーブルをハンダ固定する際にはステンレス専用の強酸フラックスを利用しなくてはいけない。ハンダしたい部分を沈めてしっかり付着させ、全体を表面処理しよう。
ハンダゴテを利用して鈑金ハンダを溶かすのではなく、容器に入った、すでに溶けているハンダのプールにタイコとケーブル端部を沈め、頑強にハンダ処理する「ドブ漬け法」が確実。コテで温めてハンダ処理しただけでは、しっかり固定できないばかりか、耐久性が著しく低いものとなってしまう。
ここでは「ハンダポッド」と呼ばれる商品を利用している。コンセントを差し込み、スイッチONでハンダが溶ける利便性の高い道具を利用し、確実な作業を目指している。
ハンダポッドが無くても、電熱線コンロがあれば、その上にゼリー作り用の金属容器を置き、鈑金ハンダをニッパでカットし容器に入れて待てば、ハンダポッドと同じ使い方ができる。ゼリーカップは100均ショップなどでも購入できるが、安定しないときには底をハンマーで叩いて平らにすると良い。
ハンダゴテで温めるのではなく、容器内で溶けた
ハンダのプールにケーブルエンドを沈めて作業しよう
ワイヤーには抜け止め対策を施しハンダで固定
ジジュといった音を聞きつつ、タイコ+5mmくらいのワイヤーをハンダプールへ沈める。毛細管現象でワイヤーのヨリにハンダが染み込む。販売されているタイコの形状は実に様々。タイコは真鍮棒から自作可能。
タイコの穴にエアー溜まりができないように要注意。通路の向きを考えながらハンダプールへ沈めよう。溶けたハンダが毛細管現象でケーブル側へ染み込んでいる様子がわかるはずだ。このようにタイコを固定する。
ほぐしたワイヤーエンドがハミ出し部分はディスクグラインダー(サンダー)で削り、クラッチレバーやスロットルパイプにタイコが挿入できるか確認しよう。この切削時には、タイコに熱が帯びないように要注意。濡れぞうきんで冷やしながら切削すのがよい。熱でハンダを溶かしてはいけない。
ビッグキャブに交換したところ、スロットルケーブルの長さが足りずインナーケーブルの遊びが無くなり、エンジン回転が高まってしまったり、いきなりエンジン全開!? なんて経験をしたことがあるサンデーメカニックも数多いはずだ。
パーツコンストラクターの製品には、アウターケーブルの長さを調整できる金具付きケーブルもあるが、そんな互換性対策として調整金具付きケーブルを自作しても楽しい。
エンジンチューニングやカスタマイズ、または旧車の場合、補修部品の入手が難しいため、ここで解説するワイヤーケーブルとタイコの接続方法は、様々な場面で応用することができるはずだ。
しかし、供給部品が無い場合は、どのように対処したら良いのか? そんな時にはインナーケーブル交換がお勧めだ。
目次
ケーブルエンドのタイコはハンダで固定されている!?

機械的に押しつぶす「カシメ」式で固定されているケーブルエンドのタイコが多い昨今だが、旧車のケーブルの中には、純正パーツ、アフターパーツを問わず、ハンダで固定されていた例も多い。ここでは、ハンダ固定によるインナーケーブルの自作を解説しよう。
強度を誇る鈑金用ハンダを利用しよう

ハンダと言えば、電気工作の配線接続に…… と考えがちだが、電気工作用ではなく、さらに高い強度を誇る鈑金ハンダをケーブル作りには利用しよう。特別なお店ではなく、ホームセンターなどでも購入できる。最近は、ステンドグラスアートに利用されている例もある。

電気配線のハンダにはヤニ入りとヤニ無しがあるが、鈑金ハンダは基本的にヤニ無しで、専用の液体フラックス(塩酸系)で接続部分の金属表面をクリーンに処理してから行う。中空タイコの場合はケーブルエンドを開き、その分のケーブル長さも計算しよう。

タイコにワイヤーを通し端部をほぐした後に液体フラックスを塗布。ペットボトルキャップを利用し作業した。容器に溜めたフラックスへタイコを沈めても良い。この作業をしっかりやることでハンダ固定に成功できる!!

今回利用したインナーケーブルは、動きがしなやかでフリクションロスが少ないステンレス製ケーブルを利用した。ステンレスケーブルをハンダ固定する際にはステンレス専用の強酸フラックスを利用しなくてはいけない。ハンダしたい部分を沈めてしっかり付着させ、全体を表面処理しよう。
ハンダゴテを利用して鈑金ハンダを溶かすのではなく、容器に入った、すでに溶けているハンダのプールにタイコとケーブル端部を沈め、頑強にハンダ処理する「ドブ漬け法」が確実。コテで温めてハンダ処理しただけでは、しっかり固定できないばかりか、耐久性が著しく低いものとなってしまう。
ここでは「ハンダポッド」と呼ばれる商品を利用している。コンセントを差し込み、スイッチONでハンダが溶ける利便性の高い道具を利用し、確実な作業を目指している。
ハンダポッドが無くても、電熱線コンロがあれば、その上にゼリー作り用の金属容器を置き、鈑金ハンダをニッパでカットし容器に入れて待てば、ハンダポッドと同じ使い方ができる。ゼリーカップは100均ショップなどでも購入できるが、安定しないときには底をハンマーで叩いて平らにすると良い。
POINT
ハンダポッドは最高。ゼリーカップでも代用可能

ジジュといった音を聞きつつ、タイコ+5mmくらいのワイヤーをハンダプールへ沈める。毛細管現象でワイヤーのヨリにハンダが染み込む。販売されているタイコの形状は実に様々。タイコは真鍮棒から自作可能。

タイコの穴にエアー溜まりができないように要注意。通路の向きを考えながらハンダプールへ沈めよう。溶けたハンダが毛細管現象でケーブル側へ染み込んでいる様子がわかるはずだ。このようにタイコを固定する。
不要な部分は削り落とす。削り過ぎには要注意!!

ほぐしたワイヤーエンドがハミ出し部分はディスクグラインダー(サンダー)で削り、クラッチレバーやスロットルパイプにタイコが挿入できるか確認しよう。この切削時には、タイコに熱が帯びないように要注意。濡れぞうきんで冷やしながら切削すのがよい。熱でハンダを溶かしてはいけない。
ビッグキャブに交換したところ、スロットルケーブルの長さが足りずインナーケーブルの遊びが無くなり、エンジン回転が高まってしまったり、いきなりエンジン全開!? なんて経験をしたことがあるサンデーメカニックも数多いはずだ。
パーツコンストラクターの製品には、アウターケーブルの長さを調整できる金具付きケーブルもあるが、そんな互換性対策として調整金具付きケーブルを自作しても楽しい。
エンジンチューニングやカスタマイズ、または旧車の場合、補修部品の入手が難しいため、ここで解説するワイヤーケーブルとタイコの接続方法は、様々な場面で応用することができるはずだ。
POINT
不要部を一気にサンダーで削り落とすと切削熱でハンダが緩んだり溶け出してしまうことがあるため、この仕上げの際には濡れぞうきんを利用。
少量削っては濡れぞうきんで冷やすように心掛けよう。
少量削っては濡れぞうきんで冷やすように心掛けよう。
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