【超実用的電気カスタム!】旧車や絶版車ほど効果が見込めるヘッドライトリレー

バイクの車検で鬼門となるヘッドライト検査。普段の街乗りでは気になることがなくても、テスターで判断される光軸と光量は絶対です。旧車や絶版車の場合、特に心配なのが光量で、これを補うためにヘッドライトリレーを組み込むのが効果的です。夜間の視認性はもちろん、対向車に自分の存在を知らせるためにも、ヘッドライトの光量アップを図りましょう。

コネクターと接点の多さが電圧低下の原因

今では凝ったデザインの異形ヘッドライトが主流だが、絶版車やひと昔前のネイキッドモデルでは丸形ライトとH4バルブの組み合わせが一般的だった。ヘッドライトスイッチ付きの1970年代の絶版車では、経年劣化によって光量が減衰している場合も少なくない。

夜間走行時に前方を照らすだけでなく、日中でも他者に自分の存在を知らせるのに有効なヘッドライト。1990年代以前はヘッドライトスイッチが付いているのが当然でしたが、1998年4月以降に製造されたバイクはエンジンが掛かっている間はヘッドライトが点灯していることが義務づけられています。

ヘッドライトにとって重要なのは光軸と光量です。光軸は運転者自身の視野を確保するとともに対向車を幻惑しないように上下方向と左右方向を決める必要があり、光量も充分な明るさが必要です。どちらも感覚的で分かりづらいのですが、250cc以上の車検付きのバイクの場合、2年に一度の車検で光軸と光量の検査が行われます。

ここでは「なんとなく明るい気がするから大丈夫だろう」といった個人の印象ではなく、専用のヘッドライトテスターが明るさを数値化して、1万5000カンデラ以上の光量がなければ合格できません。

そして絶版車や旧車にとって、このヘッドライト光量確保が大きな問題となります。機種によっては常時点灯となった2000年代に生産されたバイクでも、検査時に必要な光量をクリアできないことがあるので厄介です。

ヘッドライト光量不足の3大要因はバッテリー、ヘッドライトバルブ、ヘッドライトレンズです。エンジン回転数を上げればライトが明るくなる場合、サルフェーションなどによりバッテリーの充放電容量が低下している可能性があります。ヘッドライトバルブの表面やライトレンズの裏側、反射鏡に汚れが付着することで測定値が低下することもあります。

そしてもう一点、特に旧車において問題となることが多いのが純正ハーネスの経年劣化による内部抵抗の増加です。ヘッドライトスイッチ付きの絶版車の一例として、バッテリーからヘッドライトバルブに至る電気の経路は次のようになります。

バッテリー→ヒューズ→イグニッションメインスイッチ→ヘッドライトスイッチ→ディマースイッチ→ヘッドライトバルブ。さらにこれらの道筋の途中には、メインハーネスとバッテリー、メインスイッチ、左右ハンドルスイッチをつなぐカプラーが存在します。

つまり、バッテリーからヘッドライトバルブまでの間にいくつもの接点が存在しているのです。それぞれの接点が導通している時は配線と同じ働きをするのが前提ですが、製造から20年も30年も経過すれば、新車当時と同じ性能を発揮できるとは限りません。物理的な接点だけでなく、配線自体が酸化してほんの僅かずつでも抵抗値がアップすることもあり得ます。

そんな「ちりも積もれば山」のような劣化の積み重ねにより、バッテリー端子電圧とヘッドライトバルブコネクター電圧のギャップとなって現れるのが電圧降下です。コネクターやスイッチ部分での劣化は機種や経過年数によってまちまちですが、バッテリー端子とヘッドライトコネクターで1ボルト以上の電圧差が生じることも珍しいことではありません。

バイクの全長は2m前後ですが、たったこれだけの中のどこかでバッテリーから送り出された1ボルトが無駄に消費され、その結果ヘッドライトの光量不足の原因となっているならもったいないことこの上ありません。

 
POINT
  • ポイント1・車検付きのバイクは車検時に1万5000カンデラ以上のヘッドライト光量が必要
  • ポイント2・コネクターやスイッチ接点の電気ロスが積み重なることでヘッドライトの光量が低下する場合がある

ヘッドライトバルブ直前の電圧をスイッチ電源に使うヘッドライトリレー

デイトナ製ヘッドライトリレーキットはH4バルブ対応で1灯用と2灯用がある。画像は1灯用で2灯用はカプラーが2セットとなる。メーカーの説明によると、バッテリーとライトバルブをダイレクトにつないで電気抵抗を減らすことで、明るさが約26%アップするという。ライトハーネス長は1800mmあるので、大型車でも余裕で配線できる。また不測の電気トラブルに対応できるよう、バッテリーターミナルとリレーの間に20Aのヒューズが組み込まれている。

知らぬ間にどこかで起こっている電圧降下を解消するために、もっとも簡単にできるのがアース線の強化です。

バッテリーのプラス端子からヘッドライトバルブに至るまでにいくつものカプラーやスイッチを経由するのと同様に、ヘッドライトバルブを通過した後のアース線もまたバッテリーのマイナス端子に戻るまでにいくつものコネクターを経由しています。

アース線が外れていてはヘッドライトが点灯しないことから分かる通り、電気回路はバッテリーから出た電気が負荷を通って再びバッテリーに戻ることで成立します。往路であるプラス側ばかりに目が行きがちですが、復路であるアース側にコネクターがいくつもあれば、それぞれが僅かずつ抵抗を積み重ねることになります。

そこでヘッドライトカプラーハーネスとメインハーネスをつなぐ接続(多くの場合はギボシ端子です)を切り離し、メインハーネスを使わずバッテリーのマイナス端子に直接つながるバイパス配線を設けます。これは作業的にも費用的にも簡便な方法ですが、車体側のハーネスの劣化状況によっては明確な効果が実感できることもあります。

そしてバッテリーとヘッドライトバルブをよりダイレクトに繋ぐ最強の手段がヘッドライトリレーの設置です。

強化ハーネス、バッ直リレーと呼ばれることもあるヘッドライトリレーは、バッテリーのプラス端子とヘッドライトカプラーを専用配線で直接つなぐ部品です。ただし本当にダイレクトにつなげばイグニッションキーの位置にかかわらず常時点灯になってしまうので、バイク側のライト操作に連動させるリレーを組み込んでいます。

具体的には純正のヘッドライトカプラーとヘッドライトバルブの間に割り込ませることで、バイク側のディマースイッチの信号によってリレーを断続して、回路がつながった時にはバッテリーの電気をヘッドライトバルブに直接供給します。ヘッドライトリレーのアースはカプラーからバッテリーのマイナス端子に直接戻るので、往路も復路も電圧降下は限りなくゼロになるのが特長です。

ただしH4タイプのようにハイ/ローの切り替えができるバルブの場合、カプラーはハイ、ロー、アースの3極となるので、ハイ/ローの両方を明るくしたい場合はリレーを2個使用します。

車検時のヘッドライト検査は以前はハイビームで行っていましたが、現在は原則ロービームで行うことになりました。しかしこれはあくまで原則であり、ハイビームとロービームでは検査機器が異なるため、移行期間の現在は車検場ごとにハイビームとロービーム検査が混在しているのが実情です。

そのため、検査に合格するためにリレーをハイかローのどちらに入れれば良いかは、一概に言うことはできません。ただし、単に検査にパスするだけではなく、安全のためにヘッドライトを明るくしたいという目的があるなら、ハイ/ローいずれもリレーを組み込んだ方が良いのは明らかです。

 
POINT
  • ポイント1・ヘッドライトカプラーとバッテリーマイナス端子をダイレクトにつなぐことで電気抵抗が減少してライトが明るくなることがある
  • ポイント2・バッテリーのプラス端子とヘッドライトバルブを直接つなぐヘッドライトリレーを組み込めば光量は確実にアップする

「バッ直」の愛称に違わぬ明るさと純正ハーネスの負担軽減を両立

設置場所に困ることも多いリレーを、ヘッドライトバルブ側ではなくバッテリー側に配置しているのが大きな特徴。この設計のおかげで混雑しがちなヘッドライト周辺がすっきりしてヘッドライトケースの奥行きが薄い車両にも装着しやすくなっている。

カワサキZ550GPのヘッドライトカプラーのハーネスは、赤/黄のロービームも赤/青のハイビームも黒/黄のアースもギボシ端子で結線されている。ハイビームとロービームはそれぞれハンドル左側のディマースイッチにつながり、その上流でハンドル右側のライトスイッチ、さらにさかのぼってイグニッションスイッチ、そこからメインハーネスに合流してサイドカバーのヒューズにつながり、その先でようやくバッテリーのプラス端子につながる。これだけの道筋をたどれば、電気的なロスが生じるのも無理はない。

ヘッドライトケース内は純正のメスカプラーをハーネスキットのオスカプラーに差し込み、キットのメスカプラーをヘッドライトバルブに差し込むだけ。バッテリー側の配線はプラス、マイナス端子に接続する。純正ハーネスからキットのカプラーに流れる電気はキットのリレーを操作するだけに使われ、ライトバルブを点灯させる電気はバッテリーから直接流れることで効率をアップする。

キットの配線には充分な長さがあるので、左右にハンドルを切っても無理にひねったり引っ張られないようにレイアウトする。ガソリンタンクとフレームに挟まったり、既存のハーネスで圧迫されない位置を選んで通すことも重要。

ヘッドライトリレーを装着する際は、バッテリーからヘッドライトまで専用ハーネスを配線する関係上、ガソリンタンクを取り外します。カウル付きのバイクの場合、アッパーカウルやメーター周りの部品の一部も取り外した方がスムーズに取り付けできる場合もあります。

ここではデイトナ製ヘッドライトリレーキットで取り付け手順を紹介しますが、このキットはバッテリー側にリレーを配置しているのが特長です。ヘッドライトカプラーとリレーの位置関係が近いと、カウル付き車両はともかくネイキッド車はヘッドライトケース内にかさばるリレーを内蔵するのに苦労することが多いですが、バッテリー側に配置することでライトケース内がすっきりするのはとても親切です。

リレーをバッテリー側に寄せることでディマースイッチからリレーまでの配線は伸びますが、これはリレーを作動させるための信号線なので電流は小さく、ロスにはなりません。そんなことよりヘッドライトケースの中身がリレーキットのカプラー2個分の体積しか増えないことの方がメリットとしてずっと大きいです。

バッテリーターミナルとヘッドライトカプラーをつなぎ替えるだけなので、電気工作が苦手という人でも取り付けは簡単です。ただしガソリンタンクとエンジンの隙間に配置する配線がどこかに挟まったり、ネイキッド車の場合はハンドル操作によって無理に引っ張られないよう取り回しに注意は必要です。

取り付けが簡単な割には明らかな光量アップが実感できるのが、ヘッドライトリレーの最大の魅力です。イグニッションスイッチやヘッドライトスイッチやディマースイッチなどあちこちの接点を経由せず、バッテリーからヘッドライトバルブに直接電気を流すとこんなに明るくなるのかと実感できるはずです。

ここで紹介する車両とは別のバイクですが、リレー無しでライトテスターで測定して9000カンデラで車検不合格だったのが、リレーを組み込んだだけで1万7000カンデラまで光量がアップしました。同時に測定した電圧は0.6ボルトアップ、電流は1アンペアアップしたので、ヘッドライトリレーの効果は明らかでした。

リレーを装着することで電圧降下や電流降下が減少したということは、裏を返せば純正ハーネスやスイッチが抵抗となりその分を消費していることになります。抵抗は熱の発生要因となるので、リレーによって純正ハーネスへの負荷が減少すればバイクにとってもメリットになります。

アフターパーツではHIDやLEDなど省電力で大光量のヘッドライトバルブが人気ですが、見た目の明るさと光量が一致しない、配光が悪くて車検場のテスターを通過できないという製品も少なくありません。そんな時こそ、フィラメントバルブで簡単に光量をアップできるヘッドライトリレーの装着をおすすめします。

 
POINT
  • ポイント1・ヘッドライトからバッテリーにつなぐ際は配線にダメージを与えないよう取り回しに注意する
  • ポイント2・バッテリーリレー装着前後で電圧や電流測定を行うことで効果を客観的に比較できる
 
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