手磨きと小型の卓上グラインダーでDIYレストア!!部品交換や再メッキなしで旧車がよみがえる。

メッキリムのスポークホイールは古いバイクを象徴する重要な部品のひとつです。長い時間の経過や保管状況によってメッキが腐食するとバイク全体のイメージダウンにもつながりますが、部品交換や再メッキにはそれなりの費用が掛かります。そんな時にオススメなのがDIY研磨です。ネット通販やホームセンターで手に入るグラインダーを活用すれば、メッキ部品の汚れ落としやサビ取りの効率がかなりアップします。

フルレストアなら再メッキ、未再生風なら磨きを選択

02-6b.jpg メッキや塗装の劣化は保管状況により大きく差が出る。この画像は50年以上前に製造されたバイクのフロント周りだが、未再生状態でほとんどサビがない。とはいえクロームメッキのリムやユニクロメッキのスポークの金属光沢はかなり失われている。車体全体をフルレストアするなら再メッキを選択するが、年式相応の未再生旧車風に仕上げるなら磨き作業だけでも効果が期待できる。

03-6b.jpg 手作業だけで磨くなら、メッキに傷を付けず酸化皮膜を取り除くメッキ専用のクリーナーケミカルがオススメ。ホイールを分解すればスポークが邪魔になるニップル穴周辺も妥協せず磨くことができる。

環境問題やバイクのキャラクターの変化もあって、スポークホイールを装着するニューモデルはオフロードモデルやスーパーカブのようなビジネスを除けば少数派となっています。先日販売終了となったヤマハSR400に代わって話題を集めているホンダGB350もキャストホイールを装着しています。

とはいえ昭和時代からバイクに乗ってきたライダーにとって、スポークホイールの存在感は捨てがたいものがあります。メッキ仕上げのスポークとリムからなるスポークホイールの質感は、軽くて剛性の高いキャストホイールにはどうやっても真似できないもので、キラキラと輝くメッキならではの金属光沢は多くのユーザーから支持されています。

スポークやニップルに多いユニクロメッキやリムのクロームメッキは、それぞれの鉄の素材の上に電気的に亜鉛やニッケルやクロームといった金属の被膜を電気的に形成しています。樹脂の被膜を塗布する塗装に対してメッキの表面は金属なので、光沢は金属そのものとなり表面の硬度も塗装面より硬くなります。しかしながらメッキの表面には、目に見えないほどの微細な孔が無数に存在するため、時間の経過や手入れ次第でサビが発生します。

サビが発生したメッキ部品を完璧に修理するには再メッキするしかありません。現状のメッキを一度完全に剥離して素材に戻し、サビによる凹凸がある場合は研磨によって平滑にならし、改めてメッキをかけ直す作業で、これは塗装仕上げの部品を再塗装するのと同様です。

そしてもうひとつ、再メッキなしでサビ取りを行う方法もあります。再メッキが理想的なのは間違いありませんが、それには相応のコストが掛かります。特にクロームメッキについては産業界でも削減が著しく、再メッキを依頼できる業者も限られています。そこで再メッキほどの完璧さを求めるのは無理でも、輝きを失ったメッキ表面を回復させる磨き作業をDIYで行うことを提案します。

あくまで再メッキに対する次善の策ではありますが、それなりの道具を用意して手間をかければ、錆びたメッキ部品を錆びたまま使い続けるのとは比較にならないほどの効果が得られます。旧車や絶版車を新車以上のクオリティで仕上げるフルレストアと並び、何十年の前のバイクをその当時の雰囲気で、自然な経年劣化を含めて味わう楽しみ方もあります。深いサビまでは取り除けないものの、メッキならではの金属光沢はそれなりに回復する磨き作業は、未再生風旧車を製作する上でも有効なテクニックとして活用されています。

POINT
  • ポイント1・旧車に欠かせないクロームメッキ被膜には目に見えない無数の小さな穴があり、浸入した水分によってメッキ層の下の素材にサビが発生する
  • ポイント2・錆びたメッキ部品を完璧に補修するには再メッキしかないが、サビが残った状態で磨いても相応の効果が期待できる

重要なのは機械に応じた負荷。卓上グラインダーも使い方次第

04-6b.jpg 電動ドリルに軸付きの真鍮ホイールブラシをセットしてクロームメッキのリムを研磨する。ウエスで手磨きするだけでは落ちないサビがかなり落ちるが、メッキの裏側から成長しているカサブタのようなサビは取れない。カサブタサビを取ってしまうと、メッキ層が剥がれてその部分の金属光沢もなくなってしまう。

05-5b.jpg 同じ車体から外した前後リムでも、真鍮ブラシで磨いた手前のリムはメッキの光沢が大いに回復している。ところどころに深いサビが残っているが、フルレストアではなく未再生風の仕上げを目指すなら充分な光沢だ。

06-6b.jpg ユニクロメッキのスポークは亜鉛メッキの自己犠牲被膜による白サビに覆われている。白くカサカサだが、この状態なら鉄の素材は保護されている。

07-6b.jpg ナイロン製の研磨布で擦ると表面の白い被膜が簡単に落ちる。この後で卓上グラインダーで軽く磨けば金属光沢も復活する。

メッキと並んで未再生風旧車にとって重要なのが塗装のコンディションです。昔は鮮やかだったキャンディカラーのカラークリアが紫外線などで抜けてしまっても、コンパウンドで研磨して表面が滑らかになれば一種の味になります。だからメッキも磨くことで、歴史の重みを感じさせる効果があるのですが、金属磨きのケミカルで手磨きする程度では表面の汚れやサビが落ちない場合もあります。

そんな時に活用したいのが電動工具です。もっとも手軽なのはディスクグラインダー、サンダーと呼ばれる手持ち型の工具でしょう。交換式のディスクには研磨用、切断用などがあり、カップブラシと呼ばれる研磨材を取り付けることでホイールリムを磨くことができます。

両手が使えるようになるという点では、ベンチグラインダーも重宝します。床置き型の両頭グラインダーがあれば研削力も強力ですが、メッキの磨き作業なら卓上グラインダーでも充分な働きをします。卓上グラインダーにホイールブラシを取り付けることで、手持ちのディスクグラインダーに比べて小さなニップルや細いスポークの磨き作業が断然楽になります。ただしDIY用の卓上グラインダーはモーターのトルクに限度があるので、磨きたい部品をホイールブラシに強く押しつけすぎると回転が止まってしまいます。つまり深く研磨する能力には限度があります。

メッキの表面は金属であるとはいえ、過度に強くこすれば傷がつきます。そして一度傷が付いてしまうとコンパウンドなどで磨き直してもその傷は消えません。トルクが強いベンチグラインダーは深く削る作業では頼りになりますが、取り除きたいのはメッキ表面のサビや酸化皮膜だけという場合は、部品を押しつけると止まってしまう程度のモーターでも手磨きより数段上級の仕事ができます。

大は小を兼ねるのは確かですが、リーズナブルな価格で手に入る卓上グラインダーであっても、その能力に見合った負荷を加えれば良いのです。

POINT
  • ポイント1・リムやスポークなどのホイール部品を効率的に磨くにはグラインダーなどの電動工具を用いるのが効果的
  • ポイント2・DIY用の卓上グラインダーも使い方次第でメッキ磨きに適した道具となる

メッキ磨きに使うブラシは柔らかめの真鍮製が最適

08-3b.jpg 大きな両頭グラインダーは研削力も強いが、メッキ磨きなら卓上グラインダーでもできる。作業中にグラインダー自体が動かないよう、クランプで作業台に固定しておく。

09-2b.jpg ニップルを磨く際はスポークを治具代わりにすると指先の巻き込みを防止できる。強く押しつけると止まるとはいえ、ニップルやスポークをブラシカバーに巻き込まないように注意が必要だ。

10-2b.jpg 作業前のニップルはすべてカサカサだ。

11-2b.jpg 表面の酸化皮膜と汚れを落としたニップルは金属光沢が復活。ウエスや真鍮ブラシでは細かな部分に磨き残しができるが、ホイールブラシを使えば隅々まで磨くことができる。

12-2b.jpg スポークのネジ山もホイールブラシでピカピカ。スポーク本体を丁寧に磨けば、全体にユニクロメッキの光沢が復活する。

13-1b.jpg 研磨したハブの効果もあり、ホイール自体がシャキッと締まった印象になった。クロームメッキのリムやユニクロメッキのスポークにとっては、真鍮ブラシによる磨き作業が想像以上に効果的であることが分かるだろう。

手磨き用ブラシの素材には鋼、ステンレス、真鍮がありますが、ホイールブラシにも素材の違いがあり、メッキのサビを取り除くには真鍮素材のブラシが適しています。真鍮ブラシはステンレスや鋼に比べて柔らかく、メッキに深く傷をつけることなく表面のサビを研磨できます。

クロームメッキの場合、光沢のあるクローム被膜自体にサビが発生するわけではありません。先に述べた通り、一見すると均一なメッキ被膜には無数の穴が存在すし、ここから入り込んだ水分がメッキ層の下の金属を腐食して、その結果メッキの上にサビが露出したり、メッキ被膜を押し上げたりしているのです。したがって、クロームメッキのサビを完全に取り除こうとすれば、現状のクロームメッキとニッケルメッキの被膜を剥離して素材自体を研磨しなくてはなりません。

真鍮ブラシで取り除けるのはあくまでクロームメッキ被膜の上にあるサビであり、根本的なサビ取りにはなりません。しかし真鍮ブラシで研磨することでサビとともにメッキ表面の汚れや酸化皮膜を取り除くことができるため、サビ以外の部分ではメッキの光沢がよみがえります。中途半端な作業に終わりはしないかという懸念があるかもしれませんが、真鍮ブラシによる磨き作業には驚くほどの効果があります。

一方スポークやニップルに施されるユニクロメッキは亜鉛メッキの一種で、メッキ被膜自体が錆びることで鉄素材をサビから守る働きがあります。そのため鉄素材自体の赤サビとは別に、亜鉛メッキの腐食による白サビが発生することがあります。白サビの範囲であれば、真鍮ブラシによる磨きで金属光沢を回復できる可能性は高いです。

スポークホイールを磨くためにホイールを分解する作業自体が高いハードルになるのも確かですが、リムとスポーク、ニップルをそれぞれ単体に分解することで磨き作業が容易になるのも事実です。真鍮ブラシによる磨き作業は、バイクの足元を引き締めるホイールを輝かせるために効果的な作業となるはずです。

POINT
  • ポイント1・硬いブラシはクロームメッキ被膜に細かい傷をつけるので、柔らかい真鍮ブラシを使用すると良い
  • ポイント2・ホイールの分解組み立て作業が関門になるが、部品単品にして磨くことで仕上がりレベルが大きく向上する
 
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