アルミポリッシュ仕上げを手軽に維持できるアクリルパウダー仕上げ

新車であろうと旧車であろうと、金属地肌の輝きを維持するためには「表面処理」が必要だ。例えば、ペイントを施し、サビを防止=防錆するのも表面処理だし、アルミ地肌に着色を施し、防錆処理する技術として知られているのがアルマイト処理である。アルミ地肌を磨き上げた=バフ仕上げによって、ピカピカに輝いた部品を維持するためには、一般的にクリアペイント仕上げが知られているが、ペイント劣化によって「黄ばみ」や「マイクロクラック」が入り、いつしか白サビが発生……、といった状況は決して珍しくない。最近、ポリッシュ仕上げのアルミ部品を高品位に維持できる表面処理として、様々な分野から注目されているのが「アクリルクリアパウダー仕上げ」である。その作業風景を垣間見よう!!

ブレーキドラムは、仕上げの前に要チェック

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ドラムブレーキのライニング部分(ブレーキシューが押し付けられる部分)は、長年の利用で偏摩耗している例が多い。偏摩耗したままでは、本来のブレーキ性能を得ることができない。スポークの張り替えなどで、ドラム(ブレーキハブ)が単品部品になったときには、内燃機加工業者へライニング研磨を依頼するのも良い。今回は、ワークショップの旋盤を利用し、シューが当たっていない部分でセンター出しを行った後に、ライニング内径を最小限で削り、偏摩耗を修正した。削り過ぎるとライニング内径が広がり、ブレーキシューを押し切れなくなるため、あくまで最小限の切削で研磨処理を行ってみた。

プロショップへ「三次元バレル研磨」処理を依頼

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愛知県のカーベックで開発販売している三次元光沢ウエットバレル研磨機。ドラムブレーキパーツを高品位かつムラ無く美しくポリッシュ仕上げできる高性能バレル研磨機だ。カーベックのラボはもちろん、同社製バレル研磨機を導入しているプロショップでも仕上げを依頼することができる。アルミ製ホイールの仕上げ用として開発された機器だが、セット治具を利用し作業することで、アルミ製小物部品やエンジンカバーなども高品位にバレル研磨仕上げすることができる。ここでは、アルミ厚板で作った治具プレートにパーツをボルトオンして磨き作業を行っている。作業者のアイデア次第で、様々なアルミ部品をムラ無く均一に仕上げることができる。セット治具の形状次第で、アルミリムのポリッシュ仕上げも可能になる。

まさに高品位!!ムラの無い輝きが素晴らしい

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サンドブラストで下処理を行った後に、粗仕上げ用バレル研磨メディアで数分、さらに仕上げ用バレル研磨メディアで数分、回転軸を上下や首振りに設定し、自動研磨処理を行った。プログラミング時に上下移動量や回転速度を変更することで、様々な部品コンディションに対応することができるらしい。仕上がり具合は、見ての通り新品部品のような輝きになった。バフマシンによる仕上げのようなピカピカさとは違った、しっとり系の仕上がりが大きな特徴である。

無色透明のアクリルクリアパウダー

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世界的に有名な四輪アルミホイールメーカーでも、仕上げ時に使っているのがアクリルクリアパウダーペイント。静電気を帯電させたワークにポリエステル樹脂の粉=パウダーを密着させ、高温焼き付け乾燥させることでポリエステルパウダーが溶けて塗膜を形成する。それがパウダーコーティング=粉体ペイントだ。耐候性が圧倒的に高い塗膜でパーツを包み込むことができる。見た感じの印象では、グラニュー糖(砂糖)をさらに細かくしたというか、小麦粉と言うか……。そんな感じのパウダーが、焼き付け乾燥後には高強度なクリアペイント層に変化するのだから面白い。

専用ペイントガンで吹き付けられるパウダー

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ペイント関連技術や段取り技術の各種インフラ整備に取り組む愛知県のカーベック。同社が取り扱うパウダーペイント用のカートリッジ式ガンを利用し、パーツにパウダーを吹き付ける(吹き掛ける)。単純に粉を吹き掛けるのではなく、静電気を利用し、部品 (ワークと呼ぶ) に帯電させてパウダーを密着させるように吹き付ける。分厚く吹き付けるのではなく、あくまで薄っすら吹き付けるのが、美しく仕上げるテクニックのようだ。仕上がり時に塗膜をポッテリさせないのが重要なのだ。

180℃に達してから1時間の高温焼き付け乾燥

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アクリルクリアパウダーを吹き付け終えたワークは乾燥機へ移動。乾燥温度180℃で1時間の乾燥が基本らしい。実際には、機器の温度を一気に高めるのではなく、徐々に温度を高め180℃に達してから、最低でも1時間は乾燥させるそうだ。180℃に達するとタイマーがスタート。今回は1時間と数十分後(乾燥機器内温度が100℃以下になってから)、ドアを開けてビックリ!!白く濁っていたブレーキパーツ類がビシッとクリアに変身していた。

ポリッシュ仕上げを包み込むクリアとして抜群の相性

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80年代以前の純正ペイントは、ポリッシュもしくは研磨仕上げ後に、ラッカー系クリアやメラミンクリアなどでペイント仕上げしていた関係で、劣化が進むとペイント層が黄変してしまう特徴があった。しかし、このアクリルクリアは頑丈かつシンナーやパーツクリーナーにも強く、経年変化しにくいのが大きな特徴。末永く美しさをキープすることができるのだ。ポリッシュしたままの美しさは格別だが、スポークを組み込んでしまったハブは磨き込みが大変で、輝きを維持するのは難しい。今回は、フロントフォークのボトムケースも含め、足周りのアルミポリッシュ仕上げパーツはすべてアクリルクリアパウダーで仕上げてみた。現時点で施工から5年以上経過しているが、カーポート下に車体カバーを掛けたバイクの保管状況で、ペイント劣化は一切無い。素晴らしい仕上げペイントであることは確認できた。

POINT
  • ポイント1・ドラムブレーキを分解したときには、ブレーキシューが擦れるライニングの偏摩耗を研磨仕上げしよう
  • ポイント2・ ポリッシュ仕上げのアルミ部品は後々の維持が大変なのでクリアペイントで仕上げると保守が容易になる
  • ポイント3・ 最高の仕上がりを約束してくれるアクリルパウダーはホイール系足周り部品の仕上げに最適で素晴らしい耐候性を誇る

前後スポークホイールを美しく仕上げるためには、ブレーキハブからスポークとリムを分解し、必要に応じて各部品を磨いたり、新品部品に交換してから組み立てる段取りになる。キャストホイールとは違い、部品点数が多いスポークホイールを、新車のように美しく仕上げるには、すべての部品を分解する作業から始まる。多くのユーザーが新品リムや新品スポークに組み換えることが多く、そうすることで美しいスポークホイールが完成する。ところが、ブレーキハブに関しては、汚れ落とし程度、もしくは軽く磨いて組み立てるといった例が圧倒的に多い。サンドブラストで汚れ落としを施し、ガラスビーズ仕上げで輝きを得るケースも多い。

どのような仕上げであっても、金属地肌が露出した状況では「腐食」によっていずれはアルミ表面が蝕まれてしまうことになる……。そんなときにお勧めしたいのが、耐候性が極めて高い「アクリルクリアパウダー仕上げ」である。高級外車や自動車用高級アルミホイールの多くが、実は、アルリルクリアパウダーで仕上げられている事実がある。一般的なクリアペイントとは異なり、耐候性が圧倒的に高いのが大きな特徴。そのため、各ホイールメーカーがアクリルクリアパウダーを採用しているのだ。だからこそ「バイクのホイールハブやブレーキパネルにも、良い結果を得られるのではないかと思いますよ」とは、愛知県でペイントや表面処理無技術に関する各種インフラ設備を開発販売しているカーベック代表の浮田さんだ。

ここでは、ブレーキハブやブレーキパネル周り、フロントフォークのボトムケースなどをシルバーペイントで仕上げるのではなく、単なるポリッシュ仕上げ=アルミ地肌仕上げでもなく「アクリルクリアパウダー」で仕上げてみた。

その前に大切なのが、どのような輝き方にするかである。クリアペイントを施す場合は、そのペイントの前段取りの状況が仕上がり具合に大きく影響する(その見た目で仕上がる)。同社が開発販売する「三次元光沢バレル研磨機」は、前述したように、そもそも四輪車用アルミホイールの仕上げ用に開発された機器だが、セット治具を介した研磨処理によって、アルミホイールだけではなく各種エンジンカバーやボトムケース、ブレーキハブなどのポリッシュも可能になる。言い換えれば、作業者のアイデア次第で様々な形状の部品をポリッシュ仕上げすることができるのだ。カーベックが開発販売した各種機器を導入するプロショップは年々増えているので、今後は、安定したクォリティと美しさを、身近な場所でも得られるようになるはずだ。

取材協力:カーベック

 
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