他機種スポークの流用で16→18インチ化。追加工でフィット感向上

16インチの実用旧車をベースモデルに前後ホイールを18インチ化。そこへブロックパターンのタイヤを装着することで、今、大人気のVMX(ビンテージモトクロス)風「街乗りカスタムマシン」を製作!! との妄想から始まったのがこの企画。高性能なオフロードモデルが増える中で、見ているだけでホッとできるビンテージオフローターのデザイン=世界。今だからこそ、自分にとって唯一無二のカスタムマシン作りを楽しもう!!

タイヤ交換だけで存在感が違う

旧車系トレールモデルのユーザーから高い支持を得ているのがダンロップのトライアルズニバーサル。以前は様々なサイズがあったが、現在は限られたサイズのみ販売。カワサキ250TRには、標準装備されたタイヤでも知られている。ワンサイズ細いリム幅1.40~1.65×18インチの2.75-18サイズや前後14インチのミニ系サイズが再販されると、喜ぶファンも多いはず……。

データ取り不要ならワイヤーカッターで


部品取り車から前後ホイールを取り外し、サビたスポークをワイヤーカッターでカット。再利用の予定はないし、ハブセンターにリムセンターを揃える張り込みだとわかったので作業進行。オフセット張りにしないと前後タイヤセンターが出ない場合もあるので、いずれにしても分解前にはデータ取りしておけば間違い無い。ニップルが緩んで外せる場合は、スポークサンブルとして内外左右それぞれ1本ずつあれば充分だ。

昔の純正鉄リムにも見られるペイント

当時物の鉄リム車からタイヤを取り外すと、リムの内側がペイントされていることがある。メーカー製造工程での認識用色分けらしいが、新品リムや程度が良い部品がある場合はリム内側にペイントを施し、防錆対策すると良い。サビの除去時には、真鍮ブラシやボンスターを利用してみよう。

外スポークの曲げ追加でフィット感向上

10mm厚のアルミ板に様々なサイズの穴加工とザグリ加工を行い、スポークの首下曲げ角度やハブに引っ掛ける部分の長さを調整。見事なまでに使い込まれている道具だ。穴にスポークを引っ掛けてプラハンで軽く叩き、仕上げたい角度に微調整する。


スポークを流用した際に、クビ下角度が浅いとハブ穴からリムのニップル穴へ向けてスポークが外広がりになり、いわゆる弓張りになってしまうことがある。スムーズに組み込めるように、クビ下を僅かに追曲げするのだ。曲げ戻しは、強度不足の原因になるのでNG。

通常張りなら左右とも内掛けからスタート


今回はホンダ純正スポークを素材として利用し、外掛けスポーク角度を追曲げで微調整した。首下が内掛け161mm、外掛け163mmになるものを利用。スポークの太さは前後ともΦ3.2mm。ただしリア用リムはニップル穴がやや大きいモデル用だったため(中古鉄リムを流用)、外径がやや大きなニップルで寸法を合わせた。リム側フジツボの穴角度は、ハブ径とハブ幅によって傾きが決定している。

仮締め段階で高い組み立て精度を狙う


電動ドライバーを利用してニップルを仮締めすることで、スピーディーかつ確実に作業進行できる。最初に左右とも内掛けスポークを組み立て、その後、外掛けの順で組み立てる。組み立て時のポイントは、スポークのネジ山を参考にニップルの仮締め量を同じにすること。厳密には、すべての内側スポークを先に仮締めし、その後、外掛けスポークを仮締めするのが良いようだ。今回は「内も外も2山残し」で作業進行。間違えないように、内掛けスポークにちぎったマスキングテープを貼っても良い。


仮組みを終えた時点ですべてのニップルが同じだけ締め付けられていれば、組み立て精度はかなり高くなっているはずだ。この段階でリムセンターが出ているか(オフセットしていないか)再確認。金尺を使ってハブセンターとリムセンターの合致を再確認。ホイールハブに対する真円度は、リム内側のタイヤビード先端付近の内側外周円で測定。横振れは、鉄リムの外周外側で測定したが、アルミリムの場合は、キズが付きやすいのでリム内側の立壁で測定しているそうだ。ダイヤルゲージの測定子は、消耗品としてアルミ製ブラインドリベッターを使っている。

18インチ化+ブロックパターンが冴える

スポーク寸法のチョイスと追曲げ微調整を終えてから、実質的な仮組み時間は片輪約5分程度。調整作業も、あっという間劇場だった。DIYサンデーメカニックなら、スポーク張りの経験者もいると思うが、その時間を聞くだけでも、手際の良さを窺い知ることができるはず。「作業段取りの良さ」とか「手際の良さ」といった言葉がぴったりの作業風景だった。

POINT
  • ポイント1・16インチタイヤの実用車が18インチ化+プロックタイヤでVMX仕様カスタムに早変わり
  • ポイント2・ 旧リムを分解する際には、ハブの基準面に対してリムエッジが何ミリで張り込まれているのか確認メモしておこう
  • ポイント3・ スポークの流用時にはクビ下長さだけではなくクビの曲げ角度とクビ上寸法に要注意
  • ポイント4・芯出し振れ取りの精度を早く出すためには、均一にニップルを締める仮組みが重要
  • ポイント5・「芯出し振れ取り」は、その名の通り、まずは芯出しを8割程度終えた状態で左右の振れ取りも同時に行う。ニップルを強く締め過ぎるとスポークは折れてしまうため、反対側を緩めつつ調整しよう。

程度の良いハブと新品リム、そして、長さが合致したスポークセットがあれば、前後ホイールの仮組み時間はものの数分、前後ホイールの「芯出し、振れ取り」だも、それぞれのホイールでものの数分。それが今回の作業現場だった。我々サンデーメカニックがトライすると、時間の経過をすっかり忘れてしまうほどの「集中作業」となってしまうが、スポーク専門店フェイスでは、それが日常茶飯事だと鈴木代表。ただし、この作業進行は、すべて精度の高いリムを使っていることが前提になるそうだ。程度の良いハブに新品スポークを組み込んだとしても、転倒によって歪んでいたり、部分的に凹ったリムの場合は、当然ながら高い精度で組み立てられない。それどころか「これはダメです」と組み立て依頼を断るケースもあるそうだ。スポークホイールは、スリップダウン程度の転倒でも、リムが歪んでしまうことがあるのだ。

転倒が多いモトクロスシーンでは、スポークホイールの調整作業が重要視されている。ロードバイクで転倒すれば、サーキットでも街乗りでも、それなりに外的ダメージが大きいが、モトクロスの場合は、転倒しても起き上がり、再び走行復帰するのが当たり前の世界。だからこそ、レース後のメンテナンス時には、ホイールリムの振れ取りを確認するライダーが多い。走行後は、ニップルの緩み確認や増し締め実践。転倒した走行後は、タイヤが組み込んである状態でも横振れ確認を行い、ニップルの締付け調整具合で、横振れ補正するケースも多い。

スポーク張りで重要なことは、できる限り芯振れせず、左右に振れもなく仮組みすることから始まる。組み込み芯出し作業後のスポークホイールをダイヤルゲージで測定すると、指針の振れが、芯も横も1/100mm以下!?といったこともあるそうだ。一般的に新品リムを新品スポークで組み立てた場合、5/100mm以下の振れなら極上な部類だが、それ以下の数値はごくごく希なことで、さすがに高精度なキャストホイールのような「振れゼロ」には、お目に掛かることが無いそうだ。

製造上、リムはロール成形後に付き合わせた部分を溶接することでリング状にしている。そのため、溶接部分にはどうしても段差が発生してしまうもの。そんな溶接段差をスポークで何とか引っ張って調整したくなるものだが、ニップルを締め付け過ぎるとスポークがパンパンに張って、僅かな衝撃でパチッと折れてしまうこともある。そのような精度がイマイチなリムで組み立てる際には、溶接部分を無理に引っ張るのではなく「できる限りの仕上がりを目指した方が良いですね」とはフェイス鈴木さんだ。

撮影協力:フェイス

 
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