キャストホイールが「新品部品」の雰囲気に仕上がるバレル研磨の実力

「オシャレは足元から」といったお話はファッションの世界でも聞くことができるが、バイクのオシャレもまさに足元から始まると考えて良いだろう。旧車ファンならずとも、汚れやサビが多いホイールや腐食したキャストホイールは、美しく仕上げたいものだと思うはず。しかし、いざキレイにしようと思っても、なかなかキレイにならないのが現実である。しかし「特殊なバレル研磨」処理を行なうことで、まさに新品的!!を超えた「それ以上!!」を望むことができるようになる。一度でもその仕上がりを目の当たりにすれば、あなたはもう虜になるはずだ。


下地作りから徐々に仕上げる

湿気や腐食によって塗装がバリバリに割れていた80sカワサキの前後ホイール。80年代モデルのキャストホイールは、ノーメンテナンスで走られ続けると、概ねそのような汚らしい印象が強い。そんなホイールを特殊バレル研磨でリフレッシュすることにした。まずは旧ペイントや汚れを、サンドブラストのアルミナメディアで除去しアルミ地肌を露出させる。それからバレル研磨機にセットして、まずは粗仕上げのメディアで研磨処理する。粗仕上げのバレル研磨前にサンドブラストで均一な表面仕上げにすることが重要だ。


粗仕上げメディアでバレル研磨処理後、部品形状の奥深くまでセラミックメディアが届くBB弾のような「仕上げメディア」によるバレル研磨処理を行う。これらの連続的な作業実践によって、キャストホイールの切削加工面はバフ掛けされたような美しい仕上がりになる。

輝き部分をマスキング処理

ノーマルホイールは鋳造後にペイントを施し、その後に切削加工するため、切削部はピカピカに輝いている。そもそも鋳肌だった部分は輝きではなくグレーっぽく仕上がっている。バレル研磨後でも鋳肌の凸凹感は消えずに、目詰まりしていた汚れがキレイさっぱり落ちていることがわかる。


キャストホイールの再生工程で一番大変かつ慎重に行いたい作業が、磨き面や切削面を生かしたマスキング作業である。ホイール全体をまるまる塗り上げる仕上がりなら、ディスクローターの取り付け面やベアリング圧入部のマスキングのみなのだが……。丸塗り仕上げなら、特殊バレル研磨処理は不要で、サンドブラスト処理のみで良い。

鋳肌感の演出でガンコートペイント

鋳肌感をしっかり演出したいため、ガンコートペイントをチョイスした。密着力は高いが、ガンコートと比べて塗膜がやや厚いのがパウダーコーティングの特徴である。カワサキ純正では、リム部やスポークサイドは切削仕上げになっているが、今回は、バレル研磨後のマスキングによって、切削面のイメージを再現する。

ペイント乾燥温度は180℃に達してから1時間

ガンコートペイントは、硬化剤やシンナーを混ぜない完全1液仕上げなので歩留まりが良く、プロペインターの間でも高い評判となっている。薄く全体的に吹き付けながら、重ね塗りで仕上げていく。メタリックを含め、カラーバリエーションも実に豊富だ。カーベックのWEBサイトにて、ご確認いただければと思う。乾燥時間は、乾燥機器温度が180℃に達してから1時間だ。

純正風ながら純正以上の質感

ガンコートのサテンブラック(8分ツヤの黒)で仕上げたカワサキGPZ系キャストホイール。高機能ペイントのガンコートは塗膜が薄いながら、高い放熱効果を得ることができる。ブラックエンジンの仕上げにも最適だろう。純正仕様ではなく、ピカピカに輝く丸塗りの黒仕上げにしたいなら、パウダーコーティングがお勧めだ。


こちらはメーカー純正ゴールドキャストホイールのように仕上げられた一例。オリジナルカラーでペイントすれば、カスタムマシン製作ではより一層の個性を主張することができる。しかし、ここ数年の傾向としては、外装パーツのカラーリングを含め、メーカー純正仕様が多くのファンに好まれているようだ。


POINT
  • ポイント1・アルミ製キャストホイールの再生に使われる特殊バレル研磨は、切削加工面をバフ仕上げのような風合いに仕上げられる
  • ポイント2・鋳肌の風合いを生かしたペイントに最適なのがガンコート仕上げ。ホイールの丸塗り仕上げにお勧めなのがパウダーコート仕上げ
  • ポイント3・ 特殊バレル研磨はアルミ製キャストホイールばかりではなく、施工治具を応用することで様々な部品を研磨処理することができる

真っ白に腐食しているキャストホイールはもちろん、ペイントがバリバリに剥がれているような状況でも、地肌に食い込むような激しい腐食さえ無ければ、往年のモデル用アルミ製キャストホイールは「再生可能」である。新品部品もしくはそれ以上の輝きを取り戻すことができるのが、カーベックが手掛ける「キャストホイール再生オーダー」であり、それに利用される機器が、三次元特殊バレル研磨機である。

一般的に複雑なデザインのスポーク部や、ハブ部分の入り込んだ細かなデザインには、ポリッシャーが届きにくいもの。もちろん、指先で磨くにも限界がある。また、高性能なポリッシャーでも、360度のリム形状をすべて均一かつ同じ風合いに磨くことは困難だろう。そんな理由から、ホイールの再生は面倒がられる作業であり、リペイントの際には、サンドブラスト処理後に「丸塗り」もしくは、手磨きのバフ仕上げ+ペイントで作業進行されるケースが多かった。

カーベックが請け負うホイール再生の工程は、持ち込まれたホイールのペイント剥離から始まる。剥離方法は、薬品処理もしくはサンドブラスト処理にて行なわれるが、純正ホイールのペイントは、薬品処理に反応しやすい特徴があるため、薬品剥離後にサンドブラストでバレル研磨前の下地作りが行われる。薬品に反応しにくいペイントを剥がす際には、最初からサンドブラスト処理が行われる。ベースとなる下地作りが完了した段階で、いよいよ同社が開発販売する特殊バレル研磨機が登場。最初に粗仕上げが行われ、その後、本仕上げが行なわれる。この本誌上げの段階で、キャストホイールの切削部分はバフ仕上げかの如くムラの無い美しい輝きを得るのだ。リムエッジにガリキズがあるようなホイールは、バレル研磨前にポリッシャーにて可能な限りのキズ落しが行なわれる。

バレル研磨仕上げを終えたホイールは、ユーザーオーダーの通りペイント行程へ入る。バレル研磨処理後の金属表面は、アルミ地肌のムキ出しにも関わらず、加工硬化と処理溶液の防錆効果によって、腐食しにくいのが特徴である。したがって、クリアペイントしなくても、ある程度一定以上の防錆効果は期待できる。しかし、徹底防錆を望むのであれば、ガンコートのスーパークリアや高級外車の仕上げ塗りでも知られる、アクリルパウダーを使ったクリア仕上げにするのがお勧めである。

気になるコストは、今回と同タイプのメーカー純正仕様のフルコース仕上げで、ホイール1本あたり3万5000円。中古部品の場合は、それぞれコンディションが異なるため、まずは見積もり依頼から始めると良いだろう。参考までにバレル研磨行程が無いパウダーコート仕上げの場合、ホイール一本あたり2万円のコストとなっている。いずれにしても、作業依頼前の見積もりは、必ず行って欲しい。

これらの作業工程にて仕上げられたメーカー純正キャストホイールは、誰が見ても驚きのクォリティである。絶版旧車シーンでは、70年代後半から80年代前半に生産されたモデルも注目されている。キャストホイール黎明時代のモデルをレストアする際には、是非ともご一考頂ければと思う。

取材協力 : カーベック

 
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