ボルトが緩まず万事休す!?部品を痛めずに何とかボルトを緩めたいが…

サビついてしまったボルトが緩まない……。バイクいじりをしていると、そんな場面に遭遇することがあるが、ボルトが緩まない理由は「サビ付き」に限ったことではない。締め付けトルクが強過ぎた結果、ボルトのネジ山が固着しているケースも多々ある。ここでは、そんなケースに出会ったときに有効な「ボルト緩め」方法に関するヒントをリポートしよう。

まずはしっかりした工具を使うのが基本中の基本

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ボルトを緩めるのに必要不可欠なのが各種工具.類。オープンエンドレンチ(いわゆるスパナ)と比べて、メガネレンチの方がトルクは伝わりやすく、メガネレンチよりはボックスソケットレンチの方が、トルク伝達はより確実である。メガネレンチやボックスソケットでも、六角頭に掛けるものから、平面部分でトルクを掛けるもの、12角タイプがある一方で、角タイプもある。また、ナメてしまったボルト頭にガッチリ食いつく、緩めに特化しボルトの頭をしっかりホールドするツールも、実は数多く存在する。最初から確実にトルク伝達できる工具を利用するのがベストなのは言うまでもないが、イザというときのために、ボルトをレスキューするためのソケット工具は所有しておきたいものだ。

トルク伝達をさらに確実にするリング

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ナメてしまったボルトの頭にリングをセットすることで、オーバーサイズの工具を利用でき、それによって確実に大きなトルクを伝えることができるのが、このエキストラクターリングの特徴だ。ボルトの頭と触れるリング内側の形状が独特なところに注目。JIS規格=日本工業規格に適合した各種工具は、通常作業時には使い易く、確実にトルクを伝えることができる。しかしその一方で、不具合が生じたときには使えない工具が多いのも正直な印象だ。そんなときには、工業規格などと関係無く、レスキューに特化した特殊な工具があることを知っておこう。

固着ボルトの緩めに効果的な「熱」の利用

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熱膨張を利用することで、固着したボルトは確実に緩めやすくなる。そんなときに利用できるのがヒートガンやバーナーだが、小さな部品のときやスポット的に部品を温めたいときに意外と効果的なのが、ハンディサイズの小型ライターである。特に、通称「ターボライター」と呼ばれる商品は、スポット的な温めには効果を発揮。例えば、ピストンピンクリップを取り外して、ピストンピンをスムーズに抜きたいときなど。なかなか抜けないから、平ポンチや棒を使って叩き抜こうとすることがあるが、こんな作業によってコンロッドやベアリングやピストンにダメージを与えてしまうこともある。

温めることで膨張するのが金属部品

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ヒートガンを利用することもできるが、ピストンピンの抜き取りなどでは、狭い範囲を集中的に温めることができる小型ライターが意外と使い易い。ピストンピンが刺さっているピン穴周辺のボス部分を軽く温めることで、驚くほど簡単に「スーッと引き抜く」ことができる。これが「熱膨張」の特徴である。また、ボルトを緩めようとしたが固く緩まず、なんだかイヤな予感が……。そんなときにはボルトがねじ込まれる相手側を温めることで、ボルトが緩みやすくなる。ネジロック剤効果でしっかり固着したボルトは、温めることでネジロック剤効果が低下し、ボルトは緩めやすくなる。「火気厳禁」な環境下では、使わないこと。

急冷によってボルトを収縮させる手段

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簡単に緩みそうなボルトながら、えッ!?と思えるほど固く緩まないことがある。そんなボルトを緩める際に、意外と効果的なのが「急冷=フリーズ系ケミカル」だ。仮に、ネジ山が見えないようなボルトでも、ボルト頭の締め付け座部分の汚れを除去してから、締め付け座に向けてケミカルをブシューッと吹き付ける。その状態でしばらく待つことで、ボルトが急冷されて縮み、僅かな隙間から「毛細管現象」で潤滑ケミカルが染み込んでいく。そんな作業を繰り返し行い、時間経過を待つことで、あら不思議!?スムーズにボルトが緩んでしまうケースも多々ある。こんな作業時には、使う工具も確実にトルク伝達できるものを利用しよう。ボックスソケットを力強く回せるロングハンドル(ブレーカーバー)も所有していると安心だ。

POINT
  • ポイント1・ しっかりトルクが伝わる工具を利用することが大切。車載工具レベルはあくまで応急用と考えよう
  • ポイント2・レスキュー工具は様々な種類を所有することで、イザという際にありがたい存在になる
  • ポイント3・ 熱膨張と急冷収縮を応用することでボルトは緩めやすくなる

機械は正直なもので、手を抜いたり、間違った作業をすることで、多かれ少なかれ、そのしっぺ返しを「トラブル」で食らってしまうものだ。バイクには様々な箇所に締結部分があり、それを行っているのがボルトやナットである。そんなボルトやナットを確実に緩め、確実に締め付けるには、それに見合った適正な工具が必要不可欠。オープンエンドレンチ(俗称スパナ)よりは、メガネレンチの方が確実な作業が可能だし、スペース的な余裕があるなら、ソケット状のボックスレンチとラチェットハンドルを利用することで、より素早い作業進行が可能になる。そのように、ボルトの緩め、締め付けという同じ目的であっても、様々な工具が存在するのだ。

六角頭のボルトの締め付けや緩めでは、ボルト頭の「角」に工具を押し付けて回すのが一般的とされてきた。しかし、それだとボルトの頭にチカラが集中し、固着ボルトを緩める時などは、ボルト頭の角をナメてしまうことがある。そんな状況を回避するために登場したのが、2面幅の平面部分にチカラが加わるレンチだ。このタイプだと、六角頭の角にはチカラが加わらないため、ボルトの頭をナメにくくなる。現在では、メーカーを問わずこのタイプのレンチが多数なので、その素晴らしさは誰にも認められている。

そんな工具の世界には、普段使いではなく、あくまで非常時=レスキュー時に使う特殊工具として開発された商品ものもある。旧車のメンテナンス時には、ボルトの固着やサビつきで簡単に緩まないケースが多々ある。そんな時には一般工具で無理をするのではなく、適材適所、様々な工具を所有することで「現状最善の手段」でボルト緩めにアプローチすることができるのだ。

工具ではなく、不具合箇所に目を向けることで、また違った角度からアプローチできることも知っておきたい。現実的には、最善の工具をチョイスして、さらに相手にも目を向け「緩みやすくなる手段」を併用するのだ。そんな時に力強い味方になるのが「熱膨張=温度関係」である。ナットが外れない時には、ナット本体を加熱することで熱膨張が発生するため、膨張状態で防錆浸透スプレーを吹き付けることで、ネジ山に浸透ケミカルが入り込み、ナットは緩みやすくなる。固着症状が強くなければ、ケミカルを利用せず、熱膨張だけで緩められることもある。

熱膨張させることができない箇所、例えば、ヒートガンやバーナーやトーチを利用できない部分の場合は(周辺に樹脂部品などがある)、ケミカルでボルトを瞬間冷却して縮め、潤滑剤成分がネジ山へ侵入(毛細管現象で)。それによりボルトやナットを緩めるケミカルスプレーもある。

このように工具やケミカル、さらには熱膨張の原理を応用し、できる限りダメージが少ない中でボルトやナットを緩めたいものだ。

 
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