リコイルキットでナメてしまったネジ山を復活させる方法
メンテナンス中にボルトを緩めたり、締め付けたりすることは多々あるが、
締め付けたときにトルクが掛からず!? いつまでもくるくる回ってしまうこと、ありませんか?
ここでは、ネジ山の中でもナメてしまうとエンジン性能を大きく左右してしまう、
スパークプラグの「ネジ山修理」にチャレンジしてみよう。

一番なめやすいネジ山がスパークプラグ山。大丈夫ですか!?

新規ネジ山を挿入する恒久的な修理道具は複数あるが、このリコイルは修理に必要な周辺ツールが1セットになっている。これも多くのメカニックに支持される理由だ。シンプルで使いやすく、失敗しにくいのも良い。


絶版車や旧車ユーザーが増える中で、今再び注目されているパーツがスパークプラグだ。

その昔は、スターターやチョーク機能を効かせ過ぎた結果で、スパークプラグをカブらせてしまうケースが多々あった。
現代のバイクを所有するユーザーの多くは、スパークプラグの存在すら知らない者がことが多く、それはフューエルインジェクション の普及によってプラグをカブらせてしまう機会が少なくなったのだ。
スパークプラグに触れる機会が皆無になりな「その部品、なに?」ってなってしまうのだ。

しかし、90年代以前の絶版車や旧車だとお話は大違いになる。スパークプラグのコンディションによってエンジン性能が様変わりするし、高性能プラグ=着火力が 標準プラグよりも強いスパークプラグを利用することで、その走りが変貌するほど、 トルクフルなフィーリングを体感できるケースも多々ある。
旧車の中でも80年代以前に登場した2ストロークモデルは、全体的なコンディション 低下によって(例えばキャブの汚れやキャブ通路の詰まりが原因)、頻繁にプラグを 脱着したことが原因で、プラグのネジ山にダメージを与えてしまうことが多々ある。

走行中にスパークプラグが吹き飛んでしまった!? というのは、まさにネジ山痛みが原因だ。
 
  • プラグのねじ山が痛んでしまう一番の原因は、汚れたねじ山のプラグをそのまま締め込んでしまうこと
  • また、斜めにねじ込み無理にプラグレンチで締め付けてしまうことも大きな原因

ねじ山修理の最終兵器、それがリコイル!!



最初に購入する時はオールイン1のリコイルキットがお勧めだ。各商品をバラで揃えるのではなくセットで揃え、挿入するリコイルが不足してきたら買い増しすればよい。各ネジサイズに合せてキットがラインナップされている。

ネジ山修理工具として高い評価を受けているのがリコイルだ。

傷んでしまったネジ山そのものを再生する道具ではなく、本来使いたいネジ山のサイズに 合わせた専用タップ(ネジ山作りの道具)を利用し、痛んだネジ穴をまずは拡大する。

まずは下穴拡大を行い、次に専用サイズのタップをハンドルで回して新たなネジ山を切る。
完成したオーバーサイズのネジ山にリコイルを挿入し、使いたい寸法に合せて仕上げるのだ。
挿入を終えたら先端のタンと呼ばれるねじ込み用曲げ部分を軽くたたいて切り落とせば良い。
 

実際にねじ山を修理してみた



道端でプラグ交換して、熱いプラグを路面に置いたり、熱くて路面に落としたりすることでネジ山に砂利が付着してしまう。
そんなプラグを復元=ネジ込むことで、このようなダメージを受けてしまう。

先端の細い部分が本来のプラグネジ山と同じサイズで、途中のテーパー部分が食い込んでプラグ穴を拡大。
穴が1サイズ大きく、太くなったことで、リコイルを挿入する下穴ネジ山が完成する。
 

パイロットタップを食い込ませてた状態で止め、裏側(燃焼室側)から見るとこのような感じ。
シリンダーヘッドのプラグ穴のような箇所は、確実な作業進行のために部品を「単品」にして作業しよう。
 

ネジ山サイズ(M14P1.25)のリコイルは、手持ちに「1.5D」しか無かったので(1.5Dとはネジの太さの1.5倍という意味)、ネジ山の数(深さ)に合わせてニッパでカットして寸詰めすることにした。
 

シンプルで使いやすい専用の挿入治具にリコイルをセットして作業開始。
燃焼室側(裏側)も上側もリコイル端部がネジ山から飛び出しては決死は手いけない。
端部が半山から1山もぐっているのが良い。
 

90度に曲がったタンと呼ばれる挿入工具の引っかけ部が飛び出さないように注意。
上側端部がネジ山で約1山分、潜った位置で仕上がるようにカット長を調整するのがベスト。
失敗したらやり直し!!
 
  • リコイルキットに付属されるパイロットタップを利用すれば、痛んだねじ山をガイドにして、あらたにリコイルを挿入するための下ねじ山を作ることができる
  • ただし、部品形状や底があるねじ山では利用できないこともある。

エンジンカバーやクランクケースでも利用機会は多い!!



数多くのネジ山があるクランクケースでも利用できる機会は多い。
締め付け組み立ての際にトルクが掛からず「ボルトが滑ってしまった!?」なんて経験をしたことがあるサンデーメカニックは多いはず。

市販リコイルがネジ穴やネジ寸法に合致していれば問題はないが、作業箇所が 薄板だったり、底があるネジ穴の場合は、専用サイズを用意、もしくは リコイル寸法を「あらかじめネジ山数に合わせて調整=ニッパでカット」してから 利用することになるので、覚えておこう。

メンテナンス経験者なら リコイルの長さ調整は決して難しくないので、リコイル修理の機会があるときには ベストなネジ山作りにチャレンジしてみよう。
 
  • 一番よく使うM6P1.0(6ミリねじでねじピッチ1.0ミリ)は常備必須!!

 

ここでおさらい。バイクでよく使うねじサイズ



 
  • ◎旧車に多い2ストエンジン用スパークプラグ
    「NGK製Bプラグ」ネジ山 →M14P1.25 
  • ◎モンキーやエイプのホンダ4ミニ
    「NGK製Cプラグ」ネジ山 →M10P1.00 
  • ◎10ミリソケットや10ミリスパナーを使うボルト 
    →M6P1.00 
  • ◎12~13ミリ(旧車は14ミリ)のソケットレンチやスパナーを使うボルト 
    →M8P1.25 
  • ◎8ミリのソケットやレンチを使うボルト 
    →M5P0.8 

*旧JIS規格はピッチが異なります*

ねじ山の深さによってリコイルを使い分けよう。
リコイルには長さ違いがあり、ねじ山深さに合わせて利用したい。
ピッタリサイズを求めるときには、ベテランメカニックになれば今回のように長さ調整で対応することもできる。
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