ワックスは手に負えないカサカサのガソリンタンクは、極細目のサンドペーパーで下地を作り直そう

普段から小まめに手入れしてバイクは何年経っても美しさが持続しますが、洗車やワックスがけをサボり続けた結果、いつの間にか塗装面がザラザラでカサカサだった……ということは珍しくありません。ワックスをかけてもツヤが戻らなければ、思い切ってサンドペーパーを使ってみると、想像以上の結果が得られるかもしれません。

ペーパーが使えるのはクリアの塗膜がある場合だけ

どんな状況で保管してあったのかは不明だが、細かな傷が入っているわけでもいたずらされたわけでもないのにクリア塗装の艶がなく、カサカサになってしまったホンダCB750Fのガソリンタンク。上塗り塗装が明らかに傷んでいれば再塗装する気になるが、紺と白の2トーンもHONDAのロゴマークの状態も悪くないから逆に悩ましい。


バイクやクルマの塗装にとって雨風や紫外線は大敵です。新車当時は愛着を持って接していたのに、何度かの立ちゴケを経て1年もすれば、雨に濡れても濡れっぱなし、砂ぼこりが付着してもそのまま、という例は少なくありません。

そんなかわいそうなバイクの塗装は、本当にあっという間に劣化していきます。まず最初に表面の滑らかさが失せ、雨水の痕がウォータースポットとして残り、そこからカサカサ化がいっそう進行します。このあたりで改心してワックスを掛けたりコンパウンドで磨けばツヤと輝きが回復する場合もありますが、手入れを怠れば状態はさらに悪化します。

ここで紹介するホンダCB750Fのガソリンタンクはそんな一例です。いつから洗車していないのか分かりませんが、誰かが嫌がらせで傷をつけたのではないかと思えるほどカサカサで、水洗いしても普通のワックスを掛けてもツヤ感はまったくありません。目立つ傷や大きな凹みがあれば、もうちょっと程度がマシな中古タンクに交換してもよいほどですが、あいにく基本的なコンディションが悪くないから始末が悪い。

塗装の劣化の中には、1960年代後半から70年代頃の絶版車にありがちな、キャンディ塗装のクリアカラーの褪色というパターンもあり、それはそれで自然なヤレ感として珍重されることもあります。しかしそうした積年の風化とは異なる、単なる手入れ不足によるガサガサの塗装面は残念なだけです。

そんなガソリンタンクの見栄えを少しでも良くしたいと考えた時、クリア層を研磨するという手段があります。これは色の入った上塗りのさらに上からクリア塗装を施してあるタンクだけに可能な作業です。このCBの場合なら、紺や白の塗装の上からクリア塗装の塗膜があり、カサカサの劣化がクリア塗装で留まっていれば研磨が可能です。

逆に、そもそもクリア塗装がない旧車や廉価な小排気量車の場合は、研磨によって塗色自体が落ちてしまうためこの方法は使えません。研磨力が強めのコンパウンドで目立たない部分を磨いてウエスに塗色が移ってしまう場合は、クリア層がない、あるいはクリア層の劣化が顕著と判断できるので、深追いしない方が無難です。


POINT
  • ポイント1・紫外線や雨水は塗装にダメージを与えるので、洗車やワックス・コーティングによる表面保護が有効
  • ポイント2・劣化した塗装を磨く際はクリア層の範囲でとどめることが重要

サンドペーパーはクリア層から下を削り込まない

目の粗いペーパーを使うと傷が深くなるので、本来であれば仕上げ用の極細目ペーパーを使用する。チョーキングの程度がひどく極細目では削れないときは、徐々に目を粗くしていく。粗目から細目ではなく、できるだけ細目で済ませるのがクリア塗装磨きのポイント。

極細目ペーパーは目詰まりしづらいが、水研ぎで研磨を行う。平面をムラなく磨くにはペーパー裏にあて板を付けるのが有効だが、角部分は指で優しく磨く。

ツヤがないのは作業前と同様だが、ペーパーを掛けることでツヤ消し具合が均一になっているのが分かる。一度塗装面を研ぐことでコンパウンドの効果がアップする。


クリア塗装からツヤがなくなり、カサカサになる状態の中にチョーキング現象と呼ばれる症状があります。これは紫外線や水分によって塗装面の分子が破壊されて粉末化した結果です。路上のガードレールやフェンスの表面を擦った時に、白い粉末状の塗料が付着することがありますが、それも塗装のチョーキングの例です。

このCBの場合、タンク表面を指で擦っても粉末化したクリア塗装がつくことはないので、チョーキングまでには至っていないと判断できます。このような場合は研磨によるクリア塗装の回復が期待できます。とはいえ再塗装を行うわけではないので、研磨量は最低限にとどめることが重要です。

目の粗いサンドペーパーで深く傷つけてしまうと、クリア層を超えて上塗り層まで削ってしまう恐れがあります。すると研磨するほど上塗り色を落とす結果になるのでまったくの逆効果となってしまいます。ペーパーで研磨する場合はクリア層の範囲でとどめなくてはなりません。

具体的には、最初に磨く段階で、クリア塗装を研磨できる範囲でもっとも目が細かいペーパーを使います。ここでは1600番から始めてみました。製品のパッケージにも記載がありますが、1600番といえば超仕上げレベルの細かさで削る能力はとても低いです。チョーキングやスクラッチの程度によってはまったく傷が消えないかもしれません。

しかし様子見としてはそれぐらいの慎重さは欲しいものです。結果として1600番では細かすぎて、1000番まで目を粗くしないと効果が出なかったという場合もあるかもしれません。それでも、少なからずダメージを受けているクリア層に追い打ちを掛けないためには、目の細かいペーパーからスタートする方が無難です。

研削力が弱いペーパーは目詰まりもしづらいので、空研ぎでも水研ぎでも切れ味に大差はつきづらいですが、ここでは削れたクリア層が分かりやすいように水研ぎで研磨します。途中で研ぎ汁に上塗り色が混ざってきたら、その部分はクリア層を貫通してしまっているのでそれ以上追い込むのはやめましょう。

全体的に研磨が進むと、チョーキングやスクラッチ状態とは異なるツヤ消し状態になります。その後に3000番のペーパーに交換して研磨を続けても良いのですが、カスタムペイントを鏡面仕上げにするのならさておき、カサカサの塗膜を改善する目的であれば3000番まで進んでも目に見える効果は無いかもしれません。とはいえ、3000番のペーパーを掛けることで1600番で研磨した凹凸の山を低くすることはできます。そうすれば次にコンパウンドで磨く作業は確実に容易になります。


POINT
  • ポイント1・目の粗いサンドペーパーはクリア層に深く食い込むので、研削力は低くても目の細かいペーパーで磨く

ポリッシャーを使えば細かなスクラッチも取り除くことができる

榮技研の花咲かGはレストア好きの開発者が自らの経験と希望を反映して、クリーニング、研磨、ワックスの3つの効果を1本に盛り込んだ万能ケミカル。金属、樹脂の塗装面はもちろん、クリアのカウルスクリーンも研磨できるのが特長。

極細目のペーパーで研磨した後なので、コンパウンドで軽く磨くだけでクリア塗装の光沢が出てくる。花咲かGを硬い布で擦りつけると小キズを増やしてしまうリスクがあるので、当たりが柔らかいマイクロファイバークロスを使用すると良い。

花咲かG成分が付いていない面で拭き取ると、ツヤ消し状態から艶が復活する。ペーパー研磨なしでワックスだけを塗り込んでも、これだけの艶の深みは出ない。


3000番のペーパーで研磨したクリア塗装は、トレーシングペーパーで覆ったかのような均一なツヤ消しになります。同じツヤ消しでも、作業前のカサカサ感はありません。この状態になったところで、ようやくコンパウンド入りワックスの出番です。

本来研磨用のコンパウンドと表面仕上げ用のワックスは別の商品ですが、クリーナーとポリッシャーとワックスの3つの機能を合わせ持つ榮技研の花咲かGワックスを使えば、ペーパー目を消しながら艶を出すことができます。柔らかいマイクロファイバーウエスで花咲かGを塗り広げて擦るように磨きます。このとき、ただ撫でるだけでは研磨力が発揮できないので、力を加えながら磨くのがポイントです。

さらにペーパー目を効率良く消すために、電動ポリッシャーを活用する手もあります。モーターのトルクが強い専用品が用意できれば理想ですが、自動車鈑金と違ってパーツのサイズが小さいバイク用ガソリンタンクの磨きなら、充電式のドリルドライバーに小径のパッドを組み合わせても手磨きより数段力強く磨けます。

ポリッシングパッドにはウールやスポンジなど素材が異なるものがあり、それぞれで研削力が異なります。一般的にウールパッドはスポンジパッドより研削力が強いので、仕上げ用ペーパーの後に使うならスポンジパッド、それも超微粒子用パッドがあればそれを選びます。

こうして研磨したクリア塗装は、ツヤ消し状態から水を掛けたかのような艶がよみがえりました。この艶はクリア塗装表面の小キズが滑らかになった効果で、ワックスを厚塗りしたから得られるものではありません。よく見れば透明感のあるクリア塗装の中に筋状の痕跡は残っていますが、作業前との差は歴然です。ワックスを掛けても光沢が鈍くなってきたと感じたら、極細目ペーパーで下地を整えてからコンパウンドで磨くことで状況が改善するかもしれません。

電動ポリッシャーがあれば、手磨きより短時間で深く磨くことができる。モーターのトルクとモーター自体の重量を生かすことで研磨部分の熱が上がり、花咲かGの研磨力が向上する。

ポリッシャーを特定の場所に押しつけすぎると加熱して塗装が焼ける場合があるので、パッドを動かしながら研磨する。

作業前後を比較するために貼ったマスキングテープを剥がすと、下地から整えて磨いた手前は紺色が深く見える。ここまで回復すれば、しばらくは再塗装せず使い続けても良いだろう。

POINT
  • ポイント1・コンパウンドは手磨きでも効果があるが、電動ツールを使うことで作業効率がアップする
  • ポイント2・極細目ペーパーの研磨痕を消す場合、研磨パッドはウールではなく超微粒子用スポンジパッドを使用する
 
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