ギズ隠しの「タッチアップペイント」で黒フレームを美しく仕上げ直す

外装パーツを脱着する際や工具先端を滑らせてしまった時など、また、ライディングブーツ内側で繰り返し擦られたことで、フレームにはスクラッチキズや深いキズが入ってしまうことが多い。そんなキズが入ってしまうことを想定していれば、あらかじめクリアのカッティングシートなどで傷つきやすい部分を養生しておくことができるが、なかなかそんな心遣いは先立たないものだろう。ここでは黒フレームのタッチアップと部分的ペイントの実践アイデアをご覧頂こう。

「この違い」をどう感じるのか?



【画像上は作業前→下は作業後】
ステップバーにはつま先寄りから足の指の付け根あたりを載せて、ブーツのかかと側でフレームをホールドすることで下半身の重心は安定させることができる。ガソリンタンクのニーグリップばかりではなく、こんなライディングポジションでスポーティな走りを楽しんでいるライダーが実は多い。そんなライダーのバイクは、かかとの内側やヒールのエッジによってフレームにキズを付けてしまっているケースが多い。
そんな走り方のライダーは、保護フィルムやカッティングシートのクリアを購入して、走り始める前に貼り付けるのが良い。

油汚れや樹脂汚れはクリーニング


キズが付くぐらいだからキズ部分やその周辺には間違い無く汚れている。中性洗剤を利用し、思い切ってブラシやウエスで泡立てながら洗浄し、水道水で洗い流してから乾燥させよう。油汚れや靴底のゴム擦れが残っているときには、パーツクリーナーを吹き付けてしっかり拭き取ろう。



フレームのガセットや補強の重なりや溶接部分に堆積したドロ汚れや油汚れはなかなか除去しにくい。特に、隙間へ入り込んでしまった汚れは除去しにくいものだ。そんな箇所の洗浄は、使い終わった歯ブラシを利用して、汚れをかき出すように洗浄するのが効果的だ。

「ウレタンペイント」がお勧め



タッチアップするペイントは、一液仕上げのアクリルラッカーではなく、硬化剤とシンナーを混ぜて利用するアクリルウレタンがベスト。完全乾燥後の塗膜強度や硬度はラッカーとは違いより頑強だ。ここでは、ペイントネタを利用して、ブラック、硬化剤、シンナーを混ぜてタッチアップペイントを準備。模型店で少量購入できる硬化剤を混ぜて使う2液ペイントでも効果的。

耐ガソリンペイントで広範囲補修!?


別室に分かれたアクリルウレタンと硬化剤をボトルの中で混ぜてから使うのが、2液アクリルウレタンの缶スプレーで知られるデイトナの耐ガソリンペイント。タッチアップ程度で使うのにはもったいない容量なので、使うときには事前段取りをしっかり進めてから作業しよう。2液ウレタンの耐ガソリン缶スプレー「ブラック」を利用し、フレームの広範囲を補修仕上げできる。「やり方次第」「段取り次第」で驚きの素晴らしい仕上がりを得られる。

新聞紙養生でもいい感じに仕上がる!?

フレームのツヤが全体的に落ちていたのと細かなキズが広範囲に拡がっていたので、ここでは広範囲にフレームをペイントしてみた。しかもバイクはコンプリート状態。このようなマスキング(というよりも養生)によって、フレームパイプの見える側2/3~3/4は広範囲補修することができる。以前はこのように方法で、中古車を仕上げるのが多かったが……。

まずはタッチアップから始める


キズが深く入ってしまった部分などは、部分補修ペイントスプレーを上から吹き付けても「ペイント段差」が目立ってしまうことが多い。そんな深いキズにはあらかじめタッチアップの筆差しを入れておくのが良い。段差を消してからスプレーで補修するのだ。

模型ファンなら知っているエアーブラシ利用


小さな部品を仕上げたり、大きな部品でも部分的に補修ペイントを吹き付けるのに大変便利なのがエアーブラシ。今回はエアーブラシを利用して、少量のペイントを広範囲に無駄なく利用した。紙コップ1/3程度の塗料があれば、大型車フレームの露出部分の補修なら可能な量だ。缶スプレーと比べて、比較にならないほど「緻密な補修吹き付け」が可能になるのがエアーブラシだ。

マスキング+拭き取りも重要


アクスルシャフトやボルトの頭など、黒く塗りつぶしたくない部分にはあらかじめマスキングテープを巻いておく。しっかりマスキングすればしただけ仕上がりも良くなるが、どうしてもハミ出てしまうぶぶんもある。そんなハミ出し部分には綿棒にシンナーを浸し、拭き取るように仕上げるのがよい。

塗りっぱなしではなく段差磨きも有効


補修ペイントで薄く被せた程度の塗膜なら比較的短時間でも自然乾燥するが、それでも作業完了から数時間は触れたくない。今回のケースでの参考になるが、吹き付け後、30~40分は自然乾燥させ、その後にボルト頭などのマスキングを取り外して綿棒処理。さらにハンディヒーターでペイント部分に熱風を当てて強制乾燥させ(熱風ガンの先は30cm以上離す)、その後、フレームが冷えたらスプレーで補修したパイプ箇所を400~800番の耐水ペーパーで軽く研ぐ。目立つ段差がある箇所、そうでもない箇所に合せて粒度番手を変更するのがよい。最後に細目コンパウンドを利用してウエスで磨き、仕上げに極細目コンパウンドを利用すれば、驚きの輝きを得られるはずだ。


POINT
  • ポイント1・ タッチアップや補修ペイント前には、ドロや油汚れを徹底的に除去しよう
  • ポイント2・ボルトの頭はしっかりマスキング。マスキングしやすいようにボルトの頭はしっかり洗浄。歯ブラシの利用も効果的だ
  • ポイント3・ ペイントのハミ出し部分は綿棒にシンナーを浸して拭き取るのがベスト。ウエスむで拭き取らない
  • ポイント4・ 吹き付け完了後はマスキングや養生新聞紙を慌てて除去するのではなく、しっかり自然乾燥させてから取り除こう

単純な筆入れ修正でも、想像以上に良い仕上がりを得られるソリッドカラーに対して、メタリックカラーには「キラキラ粒子」あるため、普通に筆入れで補修しても、輝き方の違い=メタリック粒子の並び方のバラツキによって、見た目がムラに仕上がってしまうことが多い。そんな奥深いペイントの世界だが、ソリッドカラーであれば、仮に外装ペイントでも、比較的良い仕上がりを得られることは以前にリポートした。

ソリッドカラーを美しく上質に仕上げるのに一番良い方法と言えば、やっぱり「エアーブラシ」の利用だろう。エアーブラシとは、超小型のスプレーガンのことを言う。微量の塗料でも、薄~く、薄~く、塗り重ねていくことで、深みのある仕上がりなるのだ。ベースの塗装面と色合わせがしっかり行われていれば、補修箇所が何処なのかわからなくなる仕上がりになるのがエアーブラシでもある。

仮に、補修箇所が極小さな範囲=小さな面積なら、エアーブラシの利用が圧倒的に使い勝手が良い。しかし、フレームの広範囲を補修したい際には、汚れ落とし後に美しく仕上げたい、塗りたい部分をマスキングし、全体的に新聞紙で養生しながら缶スプレーで仕上げることもできる。こんな特に利用したいのが2液ウレタン樹脂塗料の缶スプレーである。缶スプレーを利用するときには、ある程度以上の広範囲のペイントに適している。画像解説では、黒色塗料と硬化剤とシンナーを混ぜてペイントネタを作って作業進行したが、2液缶スプレー仕上げでも、重要なのが前段取りである。ドロや油汚れをしっかり落とし、マスキング&新聞紙養生を実施。つまりペイント目前までの段取りをしっかり済ませてから肝心のペイント仕上げに取り掛かろう。

フレーム周辺の養生が完了したら、2液缶スプレーの使用前段取りを行い、ブシュッと硬化剤とネタを混ぜたらしつかり攪拌しよう。最低でも2~3分はしっかり振ることをお勧めしたい。しっかり振って混ぜることできめ細かな作業を行えるようになる。また、そうは簡単に硬化剤と反応して硬化しない=乾燥しないので、慌てて作業する心配も無いだろう。しっかり攪拌を終えたら、最初は紙コップの中にスプレーを吹き付けよう。そして紙コップの底に溜まった塗料をハケに取り、フレームの深いキズや目立つキズにハケでタッチアップ作業を行う。そのような作業を繰り返し行い、深いキズが目立たないようになったら、再度、缶スプレーをしっかり攪拌し、一気に厚塗りせず、薄く何度も塗り重ねるように心がけよう。ペイント前に、ホコリやチリなどがフレームに載っていないか、再確認することも忘れてはいけない。また、缶スプレーの内圧を高めると吹き付け作業性が良くなるので、そんな際には、お風呂のお湯と同じくらいの暖かさのお湯をバケツに用意し、2液缶スプレーを温めながら作業することをお勧めしたい。

 
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