2ストマフラーの未燃焼カーボンは「しっかり焼いて」完全除去しよう!

もはや絶滅危惧種と呼ぶに相応しいのが2ストエンジン搭載モデル。高性能な水冷エンジンを搭載していたモデルでも、マフラー膨張室内やエキスパンションチャンバー内には、燃え残りのカーボンスラッジが大量に残留してしまうもの。最新(とはいっても20世紀末のお話し)モデルでもそうなのだから、旧車2ストモデルともなれば、マフラー内には大量の燃え残りが滞留しているケースが多い。ここでは、そんな2ストエンジンのマフラーメンテナンスを自己責任に於いて実践!!


プロパンバーナーで焼いてみたら

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工場作業場の屋外で、プロパンバーナー(その昔は野焼きなどで使われたが今は禁止されている。手曲げマフラー製作などでも使われるのがプロパンバーナー)を使って旧車2ストモデル用のエキパイとマフラー本体を焼いてみた。焼き始めは勢いよく未燃焼エンジンオイルが燃えて火が出たが、その後はチリチリと、ゆっくり燃えているようだった。このように勢いよく火が出る作業なので、十分な安全確保を行おう。特に、冬場の乾燥時は尚更である。

燃えかすはコンコン叩いて取りだそう

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ある程度燃え尽きたことを確認できたら(火が消えたところで)、マフラーやエキパイエンドをコツンコツン軽く叩いてみよう。鉄ハンマーで叩いたり、地面にエキパイを叩き付けると口金が変形してしまうため、木ハンマーや木っ端を用意して作業進行するのが良いだろう。

未燃焼ガスの煙が出続けるときには

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内部のカーボンが完全に燃え切ってない場合は、煙がモクモクと立ちこめる。これはマフラーやエキパイ内部が酸欠状態になっている証拠でもある。焚き火の火起こしと同じ要領で、エアーガンでマフラーやエキパイ内部に軽くエアーを吹き込むと、再び勢い良く燃え始めることが多い。こんな感じの作業を何度も繰り返すことで、エキパイやマフラー内部の汚れを完全に焼き切ることができる。

真っ黒ベタベタから金属地肌へ!!

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猛然と火を噴いたエキパイ内部は、ご覧の通り金属地肌が見えるようになった。今回はプロパンバーナーで一気にカーボンを焼き切ったが、アウトドアで使うハンディバーナーでも十二分に火力が強いので、残留カーボンを焼き切ることができる。


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ここでカーボンを焼いたマフラーは60年代の空冷2ストエンジンモデル。ペイントするにも、再クロームメッキへ依頼するにも、内部がカーボンで真っ黒に汚れたままでは作業を請け負ってくれないし、そのまま依頼したら明らかにマナー違反である。このマフラーは再クロームメッキに依頼するため、より一層、徹底的なカーボン洗浄をしないといけない。汚れたマフラーのままでは、メッキ溶液が汚れてしまいNGなのだ。また、内部隔壁が数多く、メッキ溶液が抜けにくいマフラーも請け負ってくれないケースが多い。

焼却炉や薪ストーブを利用できる

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このマフラーはバッフルを抜き取ると内部が筒抜けになる旧式設計のため、再クロームメッキは引き受けてもらいやすい仕様。抜き取ったバッフルの汚れは、プロパンバーナーでおおよそ焼き切ったが、焼却炉に放り込んだり、薪ストーブを利用することで、より一層、キレイにカーボンを焼き切ることができる。最後はエアーブローで汚れを完全除去しよう。


POINT
  • ポイント1・ 2ストエンジンのマフラーに詰まる残留カーボンは、しっかり除去しないと本来のエンジン性能を発揮できない
  • ポイント2・ 残留カーボンはバーナー火炎で焼ききることができるが、状況によっては脱脂洗浄ケミカルのカーボンクリーナードブ漬けでも良い。

ガソリンに2ストオイルを混ぜた「混合ガソリン」と「空気」を混ぜた混合気を、爆発燃焼させるのが2ストエンジンの特徴である。ガソリンと空気を混ぜただけの混合気を爆発燃焼させるのが4ストエンジンで、このあたりが大きな違いと言える。ガソリンにエンジンオイルを混ぜることで、クランクベアリングやシリンダー&ピストンリングを潤滑させているのが2ストエンジン。一方では、エンジンオイルをガソリンと共に燃焼させるため、排気ガスからは煙が出て、特有のオイル焼け臭もする。

60年代の中頃、エンジン回転やスロットル開度に合わせてエンジンオイルを送り込む自動潤滑装置=オイルポンプが開発されてからは(ヤマハのオートルーブやスズキのCCIがそれ)、適量にエンジンオイルを自動混合することができるようになった、しかし、それ以前は、ガソリンスタンドで「混合ガソリン」が購入できる時代でもあった。また、好みのエンジンオイルをライダー自身が準備し、ガソリン給油時にオイル量を計算して混合する例もあった。一般的には、ガソリン20~30対オイル1で混ぜる混合モデルが多いが、スロットルの開閉が多く全開走行が続かないモトクロスの世界では、オイル混合量を限りなく減らし、スロットルレスポンスを良くしてパワーを引き出す取り組みもなされている。街乗りの90年代以降でも、イタリアのベスパや2ストエンジンの農機では、混合ガソリンを利用している。ガソリン給油時、シートを開けるとオイルの計量カップを標準装備していたのがベスパでもあった。

今回、マフラー内の残留カーボンは、バーナーの火力で焼き切り、燃やして排出したが、強烈な汚れではない際や、レーシングチャンバーのように内部に隔壁が無い場合は、カーボンクリーナーをお湯で割り、その中へマフラー部品を浸して洗浄することもできる。エキパイとマフラー本体を分離できる、真っ直ぐなデザインのマフラーサイレンサーなら、太い塩ビ管を用意し、その中にマフラーを入れ、さらにその上からお湯で割ったカーボンクリーナーを注ぎ込むことで、ベットリ付着したカーボン汚れを洗浄によって除去することもできる。この際は、数日間洗浄液に浸したままにするのが良いが、最低でも1日に1度はマフラーを引き上げ、マフラー内をシェイクするのも効果的だ。

マフラーコンディションや形状によってもクリーニング方法は異なるが、内部に汚れが詰まったままでは、間違い無く本来のエンジン性能を発揮できない。マフラーサウンドに弾け感が無く、こもり音が目立つ場合は、マフラークリーニングにチャレンジしてみよう。今回は自前の作業場屋外でバーナー焼きを実践したが、一般的にはケミカル洗浄の方が安全第一で作業進行できるかも知れないことを、お断りしておきたい。

残留カーボン焼き切り後の再クロームメッキ

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ここに紹介する2台の2スト混合ガソリンエンジンのモデル。左はカワサキ125B8福島県限定のフルーツカラー仕様車、1963年モデル。右はヤマハ125YA5デラックス、1962年モデル。いずれも旧マフラー内部の残留カーボンをプロパンガスバーナーで焼き切り、内部洗浄後に再クロームメッキ処理に依頼。ご覧のように美しい仕上がりで完成した。こんなバイクの楽しみ方は「フルレストア」でないと絶対に味わえない!!

 
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