
ホンダのモンキーやスーパーカブ、エイプやXRモタードなどなど、横型エンジン、縦型エンジンに限らず、メカノイズが気になってしまうことは多い。4ストロークエンジンは、ミニ系だろうがオーバーリッターだろうが、何よりも大切なのがエンジンオイル交換である。オイル交換さえしっかり実践していれば、メカノイズは簡単に大きくなってしまうものではない。ここでは、4ミニエンジンのメカノイズを探ってみよう。
目次
タペット調整は圧縮上死点で行うのが基本


2ストロークエンジンは、クランクシャフト1回転毎に爆発するため、上死点探しはエンジン側の固定刻線(矢印など)とフライホイール側の刻線を一致させることで探り出すことができる。4ストロークエンジンの場合は、クランクシャフト2回転に対して1回爆発するため、圧縮上死点を探すときには、タペットキャップを取り外し、上死点刻線合わせた時に、吸排気バルブ双方のロッカーアームにタペットクリアランスがあることを確認しよう。排気バルブのタペットにクリアランスがなく、ロッカーアームがリフトしているときには、そのポジションは「排気上死点」になる。排気ロッカーアームがリフトしていたら、再度、クランクシャフトを一回転させることで、圧縮上死点を導き出すことができる。タペットクリアランスを調整する時には「圧縮上死点」とし、専用工具とシックネスゲージを使って規定値に調整しよう。
調整したのにノイズが消えないことも……



正しく規定値通りにタペット調整したのに、カタカタ音が消えないことがよくある。そんなメカノイズにはいくつかの原因が考えられる。そのひとつがタペット調整ボルト摺動部の偏摩耗である。エンジンオイルコンディションの低下から、タペット摺動部が偏摩耗し、タペットクリアランスを正規データ通りに調整しても、偏摩耗によってクリアランスが過大になり、ノイズが発生してしまうことがある。そんな事象に気が付いたときには、タペットアジャストスクリューを新品部品に交換してみよう。
タペット周りの可動部分を疑うなら……


作業中のエンジンはOHVの初代C100系スーパーカブだが、図解のイラストは、12V化された後の比較的高年式なスーパーカブやモンキーなどのC50系エンジンを示したものだ。見出し11番がタペットアジャストスクリュー。この部品を交換してもヘッド周りからメカノイズが消えない時には、4番のロッカーシャフトと3番のロッカーアームの軸受け摺動部に摩耗があるとも考えられる。また、ロッカーアーム軸受けがスラスト方向に(軸方向に)ガタが無いかも確認しておこう。アルミ素材のシリンダーヘッド内幅が広がってしまい、メカノイズを発生させることもある。ちなみに初期のヤマハSRに多かったのは、ロッカーアームとカムシャフト摺動部の摩耗だった。当初は、オイルラインのレイアウト変更なども行われたが、最終的には、ロッカーアーム側のカム山摺動部に超鋼チップを装備(ロウ付け)することて、摺動部の摩耗は無くなりメカノイズは出なくなった。
ピストンのスラップ音にも注目

過走行によって起こるのがピストンリングの摩耗とピストンスカートの摩耗である。ピストンスカートの摩耗が進行すると、ピストンが下降端=下死点から上死点へ向き替え移動した瞬間に、ピストンスカートが踊ってシリンダーに叩きつけられ、スラップ音を発生させてしまうことが多い。コトコト音が気になり始めたら、オーバーサイズのピストンとピストンリングを購入し、内燃機加工にてボーリング&ホーニングを施し、規定のピストンクリアランスを得て組み立てることで、スラップ音は消すことができる。
- ポイント1・4ストエンジンの定番ノイズポイントを知っておこう
- ポイント2・タペット音にはタイプがあり、クリアランスに起因したものなら正しい調整作業で音消しは可能
- ポイント3・作動部、摺動部の摩耗によって発生するメカノイズは、部品交換が必要な場合がほとんど
2ストロークエンジンで気になるメカノイズと言えば、ピストンリングのカチカチ打音にピストンクリアランス過大によるピストンのスラップ音。さらに症状が悪くなると、連続的なシャーシャー音が気になってしまうものだ。一般的に、カチカチやコンコンのノイズは、状況再現時のメカノイズで、連続的なシャーシャー音は、連続回転しているベアリングによるノイズが多い。
そんな状況を踏まえると、4ストエンジンに於けるメカノイズはカチカチ音が多いため、ノイズ状況の繰り返しによって発生するものが多い。とはいえ、4ストロークエンジンの場合は、シリンダーヘッド周辺から聞こえるメカノイズ以外に、カムチェーン関連部品による連続的なメカノイズが気にケースもある。カムチェーンの場合は、カムチェーンテンショナーやカムチェーンスリッパーの劣化によるノイズ発生もあるが、カムチェーン自体が伸びていることも多く、チェーンコンディションによって摩耗したカムスプロケットとカムチェーンの?み合わせによるメカノイズも意外と多い。
エンジンオーバーホール時に、気になるノイズを徹底的に消したいのなら、カムチェーンはもちろん、カムスプロケット、カムチェーンテンショナーやラバーダンパーなどなど、部品購入できるうちに、メカノイズ発生の可能性があるパーツは可能な限り交換しておくしか無い。現実的には、多少のメカノイズなら気にする必要は無く、エンジンパワー的にも体感できるものではない。部品交換の執着するよりも、定期的なオイル交換を徹底的に行いたいものである。
ここで注目したいのは「タペット音」と思わしきメカノイズである。カチカチ音が響くので、タペットクリアランスを規定値より詰めてみたものの、ノイズが小さくなるどころか、変化が無いことも多い。そんなときに疑うべき「その1」は、タペットアジャストスクリュー摺動面の摩耗である。オイルコンディションが良くない中で走り続けると、タペットアジャストボルトが偏摩耗してしまうことが多いのだ。仮に、タペットアジャスターを交換しても、メカノイズに変化が無い場合は、ロッカーアームとロッカーシャフト間の摩耗も考えられる。最悪でシリンダーヘッド側のシャフト軸受け孔の摩耗も考えられるので、そうなった場合は、シリンダーヘッドの交換もしくは、ノイズの発生をあきらめる!?もしくは入手困難な部品なら、内燃機加工でブッシュの追加などなど、様々な対策方法を考えることができるが、まずは定期的なエンジンオイル交換を徹底することから始めよう。
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