無駄な時間を過ごすよりも「高性能ケミカル」で効果的にカーボン除去

一歩踏み込んだメンテナンスを楽しむサンデーメカニックになると、様々な工具はもちろん、ケミカルも色々試してみて「こうすれば良いのでは!?」「ああすれば、もっと良くなるのでは!?」などなど、その場面、その場面で苦労しながら、メンテナンスの楽しさを身で覚えていくものだ。分解したエンジン部品が汚れていたら、組み込み以前にクリーニングしておきたいものだが、ひとつ間違えると好結果を得ることができないケースも多々ある。ここでは、シリンダーヘッドの燃焼室に堆積したカーボン汚れを除去しよう。

金属ブラシでゴシゴシする前に

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燃焼室のカーボン落としは、ピストントップに堆積したカーボン落としと同様、エンジン部品の分解メンテナンス時に於いては重要な作業である。最初から金属ブラシを使ったり、スクレパーの先端やカッターナイフを使ってゴリゴリ削るのではなく、カーボン落としに効果絶大なケミカルやガスケットリムーバーケミカルをスプレーし、しばらく放置してから真鍮ブラシを利用するのが良い。同じ金属ブラシでも、鉄やステンレスと比べて、部品に対して攻撃性が低い真鍮ブラシは使い易い。スプレーを吹き付けてはしばらく放置し、固着が緩んだところでブラッシングすることで、こびりついていたカーボン汚れを除去しやすくなる。

バルブも分解してクリーニング

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バルブスプリングコンプレッサーを準備し、スプリングリテーナー外径に合わせたコマをセット。そして、バルブスプリングを圧縮する。この際には、大型万力にシリンダーヘッドもしくはバルブスプリングコンプレッサーをクランプして、その状態でスプリングを縮めてコッターを取り外すのが良い。どちらをクランプするのかは、作業性が良い方を判断すれば良いだろう。スプリングを縮めたら、2つ割りのコッターをフッ飛ばさないように、マグネット棒で吸着させて抜き取るのが良い。紛失しないように要注意!!

バルブは無理して抜かないこと!!

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バルブスプリングコンプレッサーを利用してコッターとコッターが収まる皿状リテーナーを取り外したら、スプリングを抜き取る。インナー、アウターともスプリングのセット向きをマーキングしておこう。純正新品スプリングへ交換する際には、スプリング座に色が塗られた方を上向きにセットしよう。また、抜き取った部品は、インテーク、エキゾーストがごちゃ混ぜにならないように、ビニール小袋(チャック付きがオススメ)に入れて保管管理しておこう。バルブが引っかかって抜けない際は、無理に平ポンチなどでステムエンドを叩いて抜くのではなく、オイルストーンを使ってバルブステムエンドのバリを当たってみよう。タペットアジャスターによってバルブステムエンドが叩かれ、僅かにエッジにバリが出ていることもあり、それが原点でスムーズにバルブが抜けないこともあるのだ。オイルストーンで外周エッジを磨くことで、スムーズに抜き取れることが多い。バルブ分解時にはバルブステムシールを必ず新品部品に交換するのが原則だ。

二股先端ツールが使い易い

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ステムシールを取り外したいときには、自動車内装のクリップを引き抜く際に利用するツールが使い易い。交換前提なので、先が長い平ペンチなどを利用し、バルブガイド側にキズを付けないようにステムシールをつまんで取り外そう。先が長い平ペンチはステムシールをつまみやすく使い勝手が良い。

ホンダ4ミニ愛好家なら自作しよう

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シリンダーヘッドに組み込まれる部品を、整理整頓しながら保管できる木製パーツトレイ。このトレイは、過去に編集スタッフのアイデアで製作販売した実績もある。単気筒エンジンなら250ccクラスでも利用することができる。

吸排気バルブの傘は不織布シートで磨く

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分解した吸排気バルブの傘部分、燃焼室側もポート側も、その双方にはカーボンが焼き付き堆積していることが多い。特に、排気ガスの高熱にさらされる排気バルブは、カーボン汚れが堆積しやすい。バルブの傘磨きに使える工具がボール盤だ。バルブステムをチャッキングして、カッターの刃やスクレパーでバルブ傘の燃焼室側にこびりついたカーボンを除去。不織布研磨シートを利用して、さらに磨き込むと良い。吸気側も不織布研磨シートの粗さを使い分けると磨きやすい。このように工作機械を利用する作業時は、素手で行うのが安全面で基本中の基本となる。十分な注意が必要だ。ここでは大型工作機械の旋盤を利用しているが、卓上ボール盤で同じ作業を行うことができる。

POINT
  • ポイント1・ 金属ブラシやスクレパーを使って無理にカーボンを削り取らないこと
  • ポイント2・ ガスケットリムーバーのようなケミカルはカーボン汚れの分解に最適
  • ポイント3・ 吸排気バルブ周りそれぞれの部品はごちゃまぜにせず、必ず小袋に分けて整理しよう

カーボン汚れでまみれているピストンを手にすると、ワイヤーブラシやサンドペーパーで磨いてみたくなってしまうのが人としての本能!?なのかも知れないが、そこはグッと我慢して、ダメージを与えることなくカーボン汚れを除去したいものだ。ワイヤーブラシでキズをつけてしまったり、さらにその仕上げでサンドペーパーや耐水ペーパーを利用することで、少なからずピストン寸法は減ってしまうもの。特に、2ストエンジンでスカート部分を磨いて美しくしてしまうと、ピストンクリアランスが大きくなってしまい、ピストン音(スラップ音)が大きくなってしまい、残念な結果になってしまった……との経験をしたことがあるサンメカも数多いはず。

燃焼室のカーボン汚れもブラシやサンドペーパー、スクレパーなどなどを利用して、無理に除去するのではなく、ガスケットリムーバーなどのケミカルを利用することで、意外とスムーズにカーボン汚れを除去することができるので知っておこう。そもそも汚れていない状態を復元するようにクリーニングすれば良いのだ。チューニングの一環で燃焼室内をピカピカに磨き上げることで、後々のメンテナンス時にカーボン汚れが付着しにくく、付着したとしても簡単にクリーニングすることができるようになるが、磨き過ぎると燃焼室容積が変わってしまい、実圧縮の低下になるため、シリンダーの面研磨やシリンダーヘッドの面研磨、さらにはバルブタイミングの調整などなどを念頭に置いたチューニングを施すと、また違った楽しみ方を実践することができる。そんなトライを繰り返し行うことで、4ミニエンジンチューニングの底なし沼にハマっていくサンデーメカニックが数多いのだ。事実、楽しめますよ~♪

 
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