もはや絶滅危惧種!?ポイント点火車の基本メンテナンスと点火時期調整

70年代後半以前に登場したモデルの多くは、点火信号の制御をメカニカルなコンタクトブレーカー=俗称ポイントにて行っている。点火系の不調には様々な理由があるが、点火タイミングうんぬん以前に、ポイントおよびポイント周辺機能のコンディションチェックから始めよう。不具合が改善されると、アイドリングの安定ばかりではなく、加速性能もスムーズで気持ち良くなるはずだ。さぁ、チャレンジしてみよう!!

スパークプラグの着火確認

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スパークプラグから力強い火花が出なければ、エンジンコンディションは快調にならない。特に、アイドリングが不安定な時に電気系を疑うのなら、スパークプラグのねじ部分をシリンダーヘッドに押し付け、キーをONにしてキックペダルを空踏みしてクランキングしてみよう。しっかりプラグを押し付けているのに、力強い火花が出ないときやビリビリッと手に電気が流れて漏電しているときには、イグニッションコイル周りのコンディションを再確認してみよう。

プラグキャップのネジ込みゆるみに注意

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イグニッションコイル周りのコンディション回復確認時には、ハイテンションコードからプラグキャップを取り外し(ネジを緩めるように取り外す)、コード末端を5ミリ程度ニッパでカットしてから、再度、プラグキャップをしっかりねじ込む。プラグキャップとコード芯線の接続部分は、プラグキャップ側に木ねじが立っていて、コート芯線に食い込むことで結線される。カットしたコード端末に少量の給電系グリス(銅粉が練りこまれたグリス)を塗布し、スムーズにねじ込めるようにしても良い。

たかがポイント、されどポイント!!

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旧エンジン時代のスーパーカブ90やMD90はバッテリー点火方式を採用しており、ポイント=コンタクトブレーカーはカムシャフトエンドカバー内にレイアウトされている。ポイントベースを取り外す前にベース板と締め付けヘッド部分にマーキングしてからポイントベースを外そう(ポイントベースを復元しやすいようにマーキングする)。点火制御はエンジン回転数によって変化するスパークアドパンサー(ガバナーとも呼ばれる点火進角装置)が正しく作動するか?ポイントカムをつまんでグイっと回転させてみよう。スプリングを引っ張りながらポイントカムがスムーズに動いて正解だが、固着していたり、逆に節度がなくフラフラ動くときには、進角装置を取り外して分解洗浄し、作動不良の原因を追究して修理しよう。

接点汚れ清掃は紙を挟んで引き抜く

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スパークアドパンサーの作動性を確認したら元通りに復元し、ポイント接点の汚れをクリーニングしよう。その際は、ポイントが閉じた状態になるクランク角までキックをゆっくり踏み込み、ポイントが閉じたら(ポイントヒールがカム山への乗り上げからベース円部分になったら)、ポイント接点部分に2つ折りにしたコピー紙を挟んで、スーッと引き抜くのが良い。そうすることでポイント接点の汚れを簡単に除去でき、さらに汚れていた様子を知ることができる。

接点の脱脂。オイルフェルトは何故必要?

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ポイント接点のクリーニングを終えたら、汚れている部分をパーツクリーナーで軽く洗い流して乾燥させ、ポイントヒールとカム山の摩耗を減らすオイルフェルトにグリスを染みこませよう。ポイント制御のモデルにはポイントカムが必ずあり、そのカム山とポイントヒールとの摺動抵抗を無くすために常時グリス供給する役割を果たすのがオイルフェルトなのだ。このフェルトが外れて紛失している場合は必ず取り付けよう。また、汚れてカチカチに乾燥しているときには、かたまりをほぐしてからグリスを染み込ませよう。

インナーローター式の交流発電機

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旧型カブ90はアウターローターではなくマグネットインナーローター仕様。アウターローター仕様はローター裏側にポイントが隠れているため、ここまで実践した作業を行う際には、専用工具を使ってアウターローターを取り外さなくてはいけない。

「F」マーク通過の瞬間にポイント開放

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合わせマークとなる刻線を回転するFマークが通過した瞬間にポイントが開くように調整すると既定の点火時期になる。一般的な4ストロークエンジンは、アイドリング時におおよそ上死点前10~12度で、点火進角後には上死点前30~35度程度になる。ハイチューンドエンジンやレーシングエンジンの場合は、さらに進角度数が高まる。ちなみに4ストロークレーシングの50ccツインカムエンジンのホンダCR110レーシングは、ガバナー無しの固定進角設定で上死点前55度となっている。如何に高回転エンジンだか理解できるはずだ。

POINT
  • ポイント1・ポイント車のアイドリング不安定時は、プラグ→キャブ→ポイントの順に点検して目星をしけよう
  • ポイント2・ スパークアドバンサー=ガバナの作動不良は、エンジン吹け上がり不調の原因
  • ポイント3・ ポイントが開いたその瞬間にスパークプラグが火花を飛ばす原理を理解できると、点火系メンテナンスが楽しくなる

バッテリー点火モデルの場合は、発電機とポイント(コンタクトブレーカー)機能がセパレートにレイアウトされている仕様が多いが、フラマグ点火(フライホイールマグネット点火)モデルの場合は、アウターフライホイールの中にポイントがレイアウトされているモデルが多い。原付クラスや排気量が大きくても単気筒エンジンの場合は、後者のフラマグ点火システム車が多いようだ。部品が別々にレイアウトされていると、点火タイミングを示す「F」マーク(ファイアー=点火マーク)が、タイミング刻線を通過する瞬間を確認しやすいが、ローター(フライホイール)の内側にポイントがレイアウトされているフラマグ点火車の場合は、ローター側面の確認穴を覗き込むことでポイントが開く瞬間を目視確認する。それと同時に、ローターを動かしながら外周のタイミング刻線を通過する瞬間に「ポイント接点が開く」ように調整すれば良いのだ。

ベテランサンメカなら、このようなポイント調整経験も豊富だと思うが、Fマークにピッタリ合わせるのは、実に大変な作業。写真解説では利用していないが、こんな点火時期の調整作業時にあると絶対に便利なのがタイミングライト(点火ライトや点火ストロボとも呼ばれる)である。エンジン始動中のハイテンションコードにタイミングライトのクリップをセットして(電気の流れ通りに⇒マークを合わせる)、タイミング刻線へ向けてストロボ照射することで、Fマークの合わせ調整が楽になる特殊工具だ。固定刻線に対してローターのFマーク刻線が早い場合は、ポイントベースを動かしてタイミング調整。フライホイール内側にポイントがある場合は、エンジン停止後にポイントギャップを微妙に調整し、再度エンジン始動してから再確認を繰り返し、Fマークを一致させれば良い。

決められた通りに部品を組み付けてさえいれば、点火時期がビシッと決まる現代のエンジンとは異なり、タイミングが狂っていることで、エンジンの調子が今ひとつになってしまうのがポイント式の旧車エンジン。旧車のコンディション維持は「電気を制すことから始まる」といった言葉があるが、そんな電気を制するためにもタイミングライトは所有していたいものだ。

 
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