エンジンバラさずオイルシール交換!! 無駄ないメンテが理想的!!

あれっ!? エンジンが汚れている……?

ウエスで油汚れを拭き取っていたら、キックシャフトやギヤチェンジシャフトの付け根にある「オイルシールがダメになっていた!!」そんな経験、ありませんか? キックシャフトのオイルシールを交換するには、エンジンオイルを抜いてからクラッチカバーを取り外して…… の手順が一般的だろう。

クランクケースに打ち込まれているギヤチェンジシャフトの場合は、さらに様々な部品を取り外し、クラッチユニットなども取り外してから、ようやくチェンジシャフトを抜き取って…… となるものだ。ここでは「手抜き作業」でも何とかなる? オイルシールの交換方法をレクチャーしよう。


オイルシールからのオイル滲みやオイル漏れは、可能な限り早く直したいものだろう。例えば、オイルシールが打ち込まれている部品なら、まずは各種カバーを取り外してから、オイルシールが圧入される反対側 (裏側) を棒などで叩き、取り外すのが一般的な方法だろう。しかし、場所や状況によっては、エンジン部品を敢えてバラさずに「オイルシール交換」することもできる。

一般ボルトをディスクサンダーで削ってみたら……


お気に入りのスライディングハンマーは、ヤマハ純正特殊工具90890-01083ロッカーアームシャフトプーラーと90890-01084ロッカーアームシャフトプーラーウエイト。この2品は、間違い無く使いやすいお勧めサイズのスライディングハンマーだ。購入以来30数年以上使っているが、いまだかつて本来の利用目的である「ロッカーシャフト抜き」では使ったことがない!!



大型オイルシールには通用しないサイズ!? かも知れないが、使い勝手に応じて様々なサイズの先端ピースを自作すれば良い。スライディングハンマーのネジサイズ(M6P1.00)に合せて、同サイズのボルトで引き抜きピースを自作。オイルシールリップ内側にピックアップの先端部分を滑り込ませて、ウエイトの重さでスコッ!! とオイルシールを引き抜く段取りだ。


ディスクグラインダーを使ってボルトの頭を削り、オイルシールリップに滑り込ますことができるサイズに加工。抜き取り作業の際に、シャフト側のオイルシールリップ摺動部にキズを付けない形状にしてみた。

シャフト側はリューター砥石でバリ取り研磨が理想的


ディスクグラインダーを使って形状成形してみた。ここから先は、エッジのバリ取りや表面研磨を砥石軸のリューターで行うのが理想的。リューターが無いときには、紙やすりを使ってバリ取りを行い。表面を磨いても良い。


ホンダ横型エンジンの保守では使う機会が多いオイルシール引き抜き自作工具。これはキックシャフトのオイルシール抜き取りの様子だ。スーパーカブ、シャリィ、ダックス、モンキーシリーズなどなどは同タイプ。シャフト側にダメージを与えないように工具先端をシールリップの内側へ滑り込ませてから抜き取り作業開始。

1箇所ばかりではなく全体的に引き抜く


工具の軸を立ててシャフトに押し付けるようにスライディングウエイトをスコッ、スコッ!! とやってみよう。するとオイルシールはスポッと抜ける。これまでに様々なエンジンでキックシールやチェンジシール、大きめな先端ピースを別途作ってドライブスプロケット裏にあるドライブシャフトシールの抜き取りにも成功している。先日は、軽自動車のカムシャフトシールの抜き取りにも使うことができた。


POINT
  • ポイント1・柔軟に考えると、違った使い方やアイデアが拡がる特殊工具。
  • ポイント2・特殊工具を自作することでバイクいじりが楽しくなる。
  • ポイント3・目的達成だけではなく、他の部品に「ダメージ」を与えない配慮も大切。

新品オイルシールを組み込んだのに、何故だかオイル滲みが発生……。オーバーホールを終えたエンジンを車体に搭載し、エンジン始動。特に異音やトラブルはなく、作業完了したつもりだった。ところが翌日、エンジン下にはオイル溜まりができていた……。ベテランサンデーメカニックなら、一度や二度はそんな経験、ありますよね? 新品オイルシールを組み込んでも、組み込みの際に肝心のオイルシールリップを切ってしまうと、オイル漏れが発生してしまうものだ。念には念を入れて組み込んだつもりでも、そんなことは起こってしまうものだ。

オイルシールを組み込む際の手順や要注意ポイントは以下の通りだ。
  • 注意1
    シャフト側の汚れや先端コンディションをまずは確認しよう。先端をしっかり洗浄したら指先で触れ、引っ掛かりや違和感が無いか確認しよう。
  • 注意2
    シャフト側とオイルシールリップ、さらにオイルシールのテンションスプリング周辺にはゴム×金属の摺動箇所に使うための「ラバーグリス」を塗布する。
  • 注意3
    上記の2点を注意すればほぼ大丈夫だが、それでも心配なときには、オイルシールを差し込む前のシャフト先端に薄いビニールを被せ、オイルシールリップを保護しよう。極薄のラップ破片を利用しても良い。

今回のレクチャーを実践する際には、バイクを倒して交換するオイルシール側を上にすることで、エンジンオイルが滲み出てしまうことはない。車体を傾ける際、例えば、車体右側を上にしたい時には、ハンドルを左に末切り状態にしてから右側グリップを作業台や脚立の足場などで受けると良い。さらにタイラップやカットチューブでブレーキレバーを握った状態にすれば、車体は安定して作業性はさらに良くなる。 オイルシールを打ち込む際には、シールリップの保護と同時にオイルシールをスムーズに圧入できるように、エンジン側シールホルダー側をしっかり脱脂し、オイルシール外周には液体ガスケットを薄っすら塗ろう。こうすることでオイルシールが滑って圧入しやすくなり、ガスケットが乾燥した後はオイルシールが保持される。メンテナンス経験者には当たり前の作業テクニックだが、これぞまさに「メンテナンスノウハウ」そのものである。

 
今回紹介した製品はこちら
 
関連キーワード
バイク用特殊工具に関連した記事