1970年代のシンプルで基本的な点火方式=コンタクトブレーカーのメンテナンス方法

すべてのエンジンにとっての3大必須条件は「良い混合気、良い圧縮、良い火花」です。
このうち火花については、現在では無接点式しかありませんが、1970年代まではメカニカルなポイント接点式が当たり前で、定期的な調整が必要でした。

適切なタイミングでプラグに着火することが良い火花につながるのは、接点式でも無接点式でも同様です。
絶版車や旧車に興味があるライダーは、ポイントのメンテナンスについて知っておいて損はありません。

点火タイミングはどうやって決めている?

サンプル車に用いたのは1970年代のヤマハチャピィ。エンジンは2ストロークで、スクーター登場以前のは通勤は通学に愛用されたファミリーバイク。後期モデルは無接点のCDI点火になるが、初期型~中期型はポイント点火を採用している。

燃焼室内で圧縮された混合気に、スパークプラグで着火することで爆発的な燃焼を起こすのが内燃機関の原理です。空気とガソリンを混ぜ合わせた混合気、ピストンがシリンダー内を上昇する圧縮を経て、最終的に燃焼のきっかけを作る点火が揃うことでエンジンは本来の性能を発揮します。

裏を返せば、この3要素のどれかひとつが欠けるだけでエンジンの調子は悪くなります。それは1960年代の旧車でも2020年の最新モデルでも同様です。点火に注目すれば、現代のバイクは混合気を作るインジェクションとの合わせ技でコンピュータ制御された無接点タイプで、バイクのオーナーが日常的に何かメンテナンスを行う必要はありません。せいぜいプラグ交換を行うぐらいです。

しかし、1970年代以前に製造された多くのバイクが採用するポイント式点火はそうはいきません。

プラグに着火するタイミング=点火タイミングはエンジンの種類や仕様、使用する回転数によって幅があります。4ストロークエンジンの場合、吸排気バルブが両方とも閉じた状態でピストンが上死点を迎える圧縮上死点の手前で着火することで、上死点を越えてピストンが下がり始めたところで爆発的な燃焼が起こり、勢いよくピストンを押し下げることができます。

この点火タイミングは、4ストエンジンの場合はクランクシャフトの角度、2ストの場合は上死点から手前に下がったピストン位置で示されるのが一般的です。適正位置より早くても遅くても混合気にうまく着火できません。現代の無接点式点火では機械的要素がないため使用過程で点火時期がズレることはありません。一方、機械的に点火時期を決めるコンタクトポイント点火は、摩耗や消耗によって点火時期が変わる可能性があるため、定期的なチェックとメンテナンスが必要です。

 
POINT
  • ポイント1・1970年代以前はポイント式点火が一般的
  • ポイント2・ポイント式は定期的なメンテナンスが必要

コンタクトブレーカーの構造は意外に簡単

茶色の部品がベークライトのポイントヒール。一方がポイントカムと接触し、もう一方はイグニッションコイルに流れる電気を断続する接点となっている。ポイント接点が開く瞬間に発生するスパークを別部品のコンデンサーで抑えている。

ポイント点火の主役であるポイントはコンタクトブレーカーとも呼ばれており、クランクシャフトと連動して回転するポイントカムが、クランク1回転に一度ポイントを開くことでプラグに火花を発生させます。つまりポイントは点火タイミングの時にだけ開いて、それ以外は閉じています。

ポイントを開閉するために、カムに接触しているのがポイントヒールです。このヒールはベークライトという樹脂素材でできており、ポイントカムと接触して回転することで徐々に摩耗していきます。するとポイントが開くタイミングがずれていき、エンジンの調子が崩れます。またイグニッションコイルに流れる電気を断続するポイント接点も、開閉によって接点表面が荒れて点火に影響を与える場合があります。

このように書くと、ハイテクで難易度の高いシステムをイメージしてしまうかもしれませんが、コンタクトブレーカーはきわめてアナログな機構です。アナログゆえに後の時代に無接点式に置き換えられたことからも理解できます。

だから理屈を知り要点を押さえてしまえば、日常的なメンテナンスはそれほど難しくありません。むしろ、CDI点火やトランジスタ点火のような電気回路=ブラックボックスがないため、機械的なメンテナンスが通用するので分かりやすい面もあります。

要点としては、クランクシャフトが決められた点火時期に達した時に、ポイントが開くようにコンタクトブレーカーの位置を決めるということです。

フライホイールとコンタクトブレーカー側のマークが合った瞬間にポイントが開くよう、コンタクトブレーカーの位置を調整する。コンタクトブレーカーの長穴分だけ、角度が調整できる。

 
POINT
  • ポイント1・ポイントはクランクシャフト1回転に一度開く
  • ポイント2・機械的な接触部分の摩耗が点火時期に影響を与える

ポイント式のメンテナンス


右がコンタクトブレーカーで左がコンデンサー。メーカー純正パーツが供給されているモデルもあるが、販売終了となっていても社外品が用意されている場合もある。この部品は純正部品ではなくサードパーティ製。




ポイントカムとポイントヒールの位置関係で点火タイミングを合わせたら、ポイントが開いた隙間=ポイントギャップをシックネスゲージで測定する。隙間が指定されている機種では指定のギャップに合わせるが、コンタクトブレーカーの種類によっては点火時期のみ調整可で、ギャップの調整ができないものもある。

サンプル車として使った1970年代の原付2ストロークモデルは、コンタクトブレーカーがフライホイールの内側に組み付けられています。フライホイール内側の中心部分には偏心したカムがあり、ポイントヒールに接しています。

コンタクトブレーカー自体が表に出ていないので仕組みが分かりづらいですが、多くのフライホイールには点火時期を示すマークが刻まれています。またコンタクトブレーカーのネジ穴は長穴となっていて、ベースプレートにセットした状態で一定範囲で角度が調整できるので、フライホイールを細かく動かしながらベースプレート側のマークがフライホイールのマークと一致した瞬間にポイントが開くように調整します。

カム山がポイントヒールを押し上げでポイントが開く瞬間を見極めるにはある程度の経験が必要ですが、クランクシャフトを何回転か回してポイントが開閉する様子を観察すれば、接点が開き出すタイミングが分かるようになってきます。

手動調整で点火タイミングを決めたら、エンジンの掛かり具合や回転がスムーズに上昇するかを確認して、問題がなければ作業は終了です。

ポイントヒールの摩耗で点火時期が調整できない、接点が荒れて密着していないようならコンタクトブレーカーを外して確認しますが、フライホイールの内側に組み込まれたエンジンはフライホイールを外すため、別途フライホイールプーラーが必要になります。

さらにタイミングライトというテスターがあれば、エンジンを掛けた状態で点火時期を確認できるため、静止状態でマークを合わせるよりも正確に調整できます。

原付から750ccクラスまで、かつてはポピュラーだったポイント点火式のメンテナンスを覚えておけば、旧車や絶版車に触れる機会に役立つかもしれません。

タイミングライトがあれば、エンジンが掛かった状態でポイントが正しく開閉しているかを確認できる。プラグコードに電流が流れた瞬間に本体のストロボライトが発光する原理で、ストロボのレスポンスが良いためフライホイールとコンタクトブレーカーを照射するとマーク部分が止まって見える。

 
POINT
  • ポイント1・ポイントカムがヒールを押すタイミングを見極める
  • ポイント2・コンタクトブレーカーがフライホイールの内側にあるモデルもある

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