不用意にバッテリーを上げないように、電気アクセサリーはイグニッションキー連動回路に組み込もう

USB電源やフォグランプ、ドライブレコーダーなどに電源を供給する際は、バッテリー直結ではなくイグニッションキーがONのポジションで電気が流れる部分に接続するのがセオリーです。その電源を探すのが難しいという人もいますが、電気回路の理屈を少しだけ理解すれば、想像以上に簡単に見つけ出すことができます。

バッテリー充電器用の常設リード線はバッテリー直結が必須

002-1b.jpg トリクル充電(フロート充電)などで、保管時に繋ぎっぱなしで維持充電できるバッテリー充電器を用いる場合は、リード線はバッテリーターミナルにダイレクトに接続する。防水、防塵仕様のカプラーを使用していても、リード線がどこかに挟まってショートした際に安全なように、プラス側にはヒューズが組み込まれている。

フューエルインジェクション仕様のバイクにとってバッテリーの重要性は、キャブレター時代の比ではありません。バッテリーが弱っていてもキャブ車なら押し掛けでエンジンを始動できますが、インジェクション車は燃料ポンプにもECUにも電力が必要なので、押し掛けでエンジンが掛かるとは限りません。原付スクーターやヤマハSR400などキック始動が可能なFI車も、始動時にクランクシャフトを回すのはキックペダルでも、燃料ポンプを作動させるのはバッテリーです。

その一方でアフターマーケットには、USB電源を筆頭にドライブレコーダーやグリップヒーターなど、バッテリーを電源として作動する魅力的な用品が数多くあります。それらを満載にすることで、エンジンのオルタネーターの発電量とバッテリー充放電量のバランスが釣り合わなくなると走行中に放電過多になるような場合が、特に発電量に余裕のない小排気量車や旧車では発生することがあります。そのような場合は併用する用品を取捨選択することも必要です。

さて、そうした用品を取り付ける場合、必須となるのが配線作業です。電気が苦手なライダーは、用品側に電源スイッチがあればとりあえずバッテリー端子に直結すれば良いのでは、と考えがちではないでしょうか?ケーブルとスマホを接続しなければ電気が流れないUSB電源ならなおさらです。確かに毎回確実にスイッチを操作して電源を切れば問題はありません。USB電源なら降車時にスマホを取り外すから大丈夫でしょう。しかしフォグランプやグリップヒーターなどのアイテムは降車時に切り忘れる可能性があります。ショッピングモールの駐車場でハザードランプが点きっぱなしで停めてある車がありますが、あれもハザードが常時ONの回路に組み込まれてるために発生するわけです。

つまり、後付けの用品の電源は常時通電可能なバッテリー直結ではなく、イグニッションキーに連動した回路(これをアクセサリー電源という場合もあります)から取り出すのがセオリーということになります。ただしバッテリー充電器で、ガレージ保管時などに常時充電するための専用リード線を取り付ける際は、バッテリーターミナルに直結すべきなのは言うまでもありません。

余談になりますが、バッテリーターミナルに直結した充電器用のリード線をシート下に収納しておく場合、シートやサイドカバーなどでリード線を押しつぶさないよう取り回しに注意が必要です。バッテリーにリード線をつなげておけば充電器をつなぐのに便利ですが、窮屈な取り回しでリード線が潰されてショートすると車両火災につながるリスクがあります。それを予防するためにヒューズが組み込まれているわけですが、プラス側のリード線の被覆が剥けてフレームに接触すればそこで通電してしまいます。

後付けの用品も同様で、常時通電してしまうバッテリー直結状態で使用すれば、配線がフレームに接触してトラブルにつながる可能性は多分にあります。イグニッションキーに連動するアクセサリー電源に接続すれば、用品の配線がショートしても車体側のヒューズが切断することで最悪の自体は回避できます。つまり、バッテリー上がりだけでなく車両火災防止の観点からも、イグニッションキー連動の回路からの電源確保は重要ということができるわけです。

POINT
  • ポイント1・USB電源などの用品を取り付ける際にバッテリー端子に直結すると、バッテリー上がりだけでなく車両火災の原因になることもある
  • ポイント2・車体各部に配線を取り回す際は、無理に引っ張ったり押しつぶさないように注意する

イグニッションキーONで通電する回路を探すにはどうする?

003-1b.jpg ウインカーリレーの電源側の端子を分岐すれば、イグニッションキーONで通電するアクセサリー電源が取り出せる。リレー端子はBの刻印がある方がバッテリー(電源)で、Lの刻印がウインカースイッチとなる。ウインカースイッチを操作してウインカー球につながる回路が成立した時点で、リレーからの電源が断続する。その時点でもB端子側はバッテリー電圧が一定に入り続けているので、分岐した電源電圧が断続することはない。

004-1.jpg テスターを使ってアクセサリー電源を探す際は、キーONで電圧が掛かる配線やカプラーを探す。バッテリーからイグニッションスイッチに向かう配線は常にバッテリー電圧が検出できるが、これはバッテリー直結と何ら変わりが無いので、必ずキーOFFで0V、キーONでバッテリー電圧となる配線を探すこと。

イグニッションキーをONにすると、メーター照明やニュートラルランプが点灯し、ECUや燃料ポンプにもバッテリー電圧が掛かります。ではUSB電源などの用品はどの配線から電源を取り出せばよいのでしょうか。

サービスマニュアルの配線図や電装品の役割が理解できるライダーであれば、電装品ごとにどのような電源が必要であるかが分かるかもしれません。例えばニュートラルスイッチはキーONで点灯しますが、ギアを1速にシフトすると消灯します。オイルランプも同様です。このような回路から電源を取ると、キーをONにした時には作動しますが、エンジンを始動して走行を開始すると電気が流れなくなるので使えません。

イグニッションスイッチ部分から電源を取る場合も注意が必要です。ここにはイグニッションスイッチをONにした時に車体各部に電気を送る配線がありますが、一方でバッテリーからヒューズボックスを経由してイグニッションスイッチに入る配線もあります。この入る方の配線はキーの位置にかかわらず12Vが流れているので、ここから分岐するとバッテリーターミナルから電源を取ったのと同じで常時通電してしまいます。そのため、イグニッションスイッチ周辺から電源を取る場合は、必ずスイッチをONにした時に12Vが流れる配線から分岐しなくてはなりません。

常時点灯式ヘッドライトであれば、ヘッドライトカプラーが一目瞭然で分かりやすいのでヘッドライトバルブの近くから分岐することを考えたくなりますが、ハイビーム側につないでしまうとハイビーム時しか電気が流れません。ロービーム側も、ハイビームに切り替えた際に消灯するタイプだとその間は電気が流れません。もしヘッドライト系の回路から分岐するなら、ハイ/ロービームを切り替えるディマースイッチの入り口から取り出すのが良いでしょう。この部分ならヘッドライトの点灯状態に関わらずキーONで電気が流れます。

アクセサリー電源を取り出すのにも、いくつかの決まりがあることが分かると思います。

POINT
  • ポイント1・イグニッションキーに連動して作動する回路には、常時通電するものとオンデマンドで通電するものがある
  • ポイント2・作動時のみ通電する回路から後付け用品の電源を取ると、常時作動しない場合もあるので要注意

ウインカーリレーやブレーキスイッチの電源側はキーONに連動する

005-1b.jpg アクセサリー電源を見つけてギボシ端子を使って自分で配線を作る場合、電源側(プラス側)はメス端子を使うのが鉄則で、用品のプラス配線はオス端子になっているはず。万が一ギボシが抜けた際、車体側がメスならスリーブで絶縁されているが、オス端子だと露出した端子が車体に接触するとショートしてとても危険。用品側のプラスがオスなら、抜けると同時に電源が切れるので、車体に触れても危険はない。

前段で「やっぱり電気は分からない」と諦めたくなったライダーに向けて、アクセサリー電源を簡単に確保できるリード線を開発したのがデイトナです。具体的には、同社のUSB電源用品の数種類にブレーキスイッチ分岐用の専用ハーネスを同梱しています。

イグニッションキーをONにすると、エンジン始動やヘッドライト点灯の有無にかかわらずブレーキスイッチ部分には電気が流れます。同様にウインカーリレーにも電気が流れます。ブレーキとウインカーの回路を簡単に説明すると、バッテリーからイグニッションスイッチを通った電源はブレーキスイッチに入り、レバーを握って接点が触れると回路が成立してブレーキランプが点灯します。前後ブレーキとも同じ回路になっているので、イグニッションキーをONにすれば常にバッテリー電圧が取り出せるわけです。ウインカーも同様で、キーONでリレーにバッテリー電圧が加わり、スイッチ操作で左右いずれかのウインカーと回路がつながると点滅が始まります。

つまりどちらの装備も、キーONでバッテリー電圧が入り口側までは流れる仕組みなので、入り口側から分岐すればキー連動の電源が取り出せるというわけです。デイトナの分岐ハーネスはブレーキスイッチの平端子で製作されていて、スイッチ部分で純正端子に割り込ませるだけでUSB電源が取り出すことができ、分岐したハーネスの一方をブレーキスイッチにつなぐことでブレーキランプも点灯します。

これならキーONで通電する回路をテスター片手に探す手間はありませんし、バッテリーを上げてしまう失敗もありません。ブレーキスイッチ周辺でハーネスを追加して目立つのを避けたければ、ブレーキスイッチやウインカーリレーの電源側の配線からスプライス端子やギボシ端子で分岐して電源を作っても良いでしょう。

アクセサリー電源を作ることでイグニッションキーに連動して用品を使えるようになりますが、用品の電源配線の取り回しにはバッテリー直結配線と同様の注意が必要です。既存のハーネスと一体化させたり狭い隙間に配線を押し込む際に、無理に曲げたり挟み込んだりしないよう、配線のレイアウトを充分に考慮して作業しましょう。

POINT
  • ポイント1・ブレーキスイッチやウインカーリレー配線の電源側は、ブレーキやウインカーを作動させなくてもキーONで電源が取り出せる
  • ポイント2・バイク用品メーカーによってはアクセサリー電源取り出し用の分岐ハーネスを用意していることがある
 
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