カケや欠損がある大切なバイクパーツは、樹脂用ケミカルで肉盛り修正

気が付いた時には部品が欠けていたり、亀裂が入ってしまっていた……といったケースがあるプラスチック=樹脂部品。旧車系外装部品や樹脂部品には、ABS樹脂と呼ばれる素材を採用している例が多い。ここでは、そんな樹脂部品の欠落箇所を肉盛り充填することで、デザイン再生にチャレンジしてみよう。

医療の世界から生まれた樹脂充填補修剤

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瞬間接着剤が医療の現場からフィードバックされた商品であることは、数多くのユーザーに知られている。実は、プラリペアも同じ医療現場から誕生したケミカルだと言われている。粉末の樹脂粉にプラリペア溶液を染み込ませて化学変化を待つことで、粉末サラサラだった樹脂粉が、硬化一体化するのがプラリペアの特徴である。ABS製部品の欠落や亀裂の接着に威力を発揮するのが、プラリペアである。

何よりも重要な段取りが「患部の洗浄」

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樹脂部品に限らず部品同士を接着する際の段取りとして、もっとも重要なのが「患部」の汚れ取り=脱脂作業である。油分や汚れが残っていると、せっかくの接着充填を完璧に行うことができなくなってしまうのだ。ここでは、紙ウエスにアセトンを染み込ませて拭き取ることで脱脂作業を行った。「ふりかけ式」と呼ばれる方法でプラリペアを利用するため、ふりかけた樹脂粉末がサラサラと流れ落ちてしまわないように、セロハンテープで土手を作って粉末樹脂を落とさないようにした。

さらさら流れる樹脂粉で充填

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粉末樹脂をノズルから患部にふりかけたが、狙った位置に対して散ってしまったので、指先でセロハンテープを弾いて粉末樹脂をまとめてみた。その後、プラリペア溶液をニードル容器に移し入れ(ここでは市販シリンジ+ニードルを利用)、一滴ずつ溶液を垂らして染み込ませるように作業進行。溶液の量が多過ぎるとなかなか硬化せず、少ないと巣穴ができてしまうため、溶液の吸い込み状況を確認しながら一滴ずつ染み込ませていった。

接着液を染み込ませて硬化待ち

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ある程度硬化したところでセロハンテープを外したら、充填不足箇所を発見。樹脂ボトルのノズルから粉末を追加でふりかけ、さらにシリンジで一滴ずつプラリペア溶液を染み込ませた。慌てて作業せず、一歩一歩確実に、一滴一滴を慎重に染み込ませていこう。

完全硬化を待たないと失敗する造形加工

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暖かい部屋で作業進行していれば、30分も経過すれば造形可能な硬度に達するはずだ。出っ張った羽根のような箇所は削り落とすのではなく、刃先が鋭いニッパを利用してカット。しかし、ここから先の微妙な成形作業は、しっかり乾燥硬化待ちしてから作業進行するのが良い。完全硬化していないと、切削加工時に、充填部分がまとわりついて剥がれてしまうことがあるのだ。半日以上硬化待ちした後に、平ヤスリとサンドペーパーを利用し、徐々に形状を仕上げていった。

樹脂光沢剤の威力には驚き!!

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樹脂光沢復活剤は、白っぽくなってしまった樹脂部品特有の劣化を表面コーティングによって防ぐケミカルだ。形状修正を終えたら、スポンジにケミカルを染み込ませて、樹脂部品の表面を滑らせるようにコーティング層を徐々に厚く仕上げていく。一層塗り終えたら15~20分程度待ち、さらに一層塗り重ねる、といった具合だ。より多く塗り重ねた後に、キレイなウエスで磨き込み仕上げた。光沢が気になったら、ケミカルをさらに塗布し、乾燥させてみよう。

樹脂光沢復活剤は様々な場所で使用可能

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樹脂色成形で仕上げられ、ペイントされていない部品の場合は、経年変化で白化(白くなってしまう)ことが多い。そんな部品は、樹脂光沢復活剤を塗布することで、美しさを維持することができる。数多くの樹脂部品を使った御オートバイやスクーターの輝きアップには、このケミカルを効果的に利用するのがお勧めだ。

POINT
  • ポイント1・旧車のプラスチック部品にはABS樹脂やPE樹脂が多く、プラリペアケミカルはしっかり反応する
  • ポイント2・どんな「修理作業」時でも、まずは患部の脱脂洗浄から始めるのが基本
  • ポイント3・樹脂磨き、光沢復活ケミカルを利用したときには、ケミカルを塗布してからしばらく待ち、磨き込んでさらに塗布&磨き込みを繰り返そう

欠落樹脂部品の充填接着や亀裂部品の補修時には、作業を急がず、まずは補修患部の「脱脂洗浄を徹底的に行う」ことが、成功への近道。今回の作業時には、紙ウエスにアセトンを染み込ませて、患部をしっかり拭き取ることで脱脂洗浄したが、全体的に油汚れがあったり、部品が汚い場合は、濡れスポンジに中性洗剤を付け、しっかり泡立たせてから部品全体をゴシゴシ洗い流そう。何よりもしっかり泡立てるのが重要で、さらに洗い流す際には、湯沸かし器のお湯を使うのがベストである。作業前の段取り洗浄をしっかり行わないと、接着能力が明らかに低下してしまうからだ。

欠落患部および周辺を洗浄したら、樹脂充填ケミカルのプラリペアを使って欠落箇所に樹脂粉を盛りながら接着液を染み込ませる。ここでは「ふりかけ法」と呼ばれる上天作業方法を採用したが、補修箇所によってはニードル法などもあるので(商品説明書に詳細作業方法の解説がある)、やりやすい方法で作業進行すれば良いだろう。

プラリペアによる樹脂充填は比較的容易だが、成功への近道は、補修患部を徹底的に乾燥させることだろう。充填後の硬化は数分後から開始し、数時間後にはほぼ乾燥したような印象を受ける。しかし、ここで作業を慌てて進めるのではなく、最低でも半日以上の時間を費やし(特に寒い時期や作業環境によっても完全硬化までの時間は異なる印象)、完全硬化後に切削作業に取り掛かるのがお勧めだ。肉盛り充填量によっても大きく異なるが、完全硬化後の切削作業は、切削しやすい特徴もある。完全硬化していないと、削り進めていくと、切削部分がまとわりつき平面を作りにくいこともある。そんな印象の時には、作業を中断し、完全硬化するまでしばらく待つのが良い。

金属部品の切削と同様に、番手小の320番あたりから、番手大の1500番前後のサンドペーパーを利用して磨き込み、思い通りの形状に仕上げられたら、ここで使いたいのがデイトナの「樹脂光沢復活剤」である。パッケージ同梱のスポンジに液体ケミカルを染み込ませ、部品表面を滑らせるように、表面に光沢膜を形成させる。塗布後に15~20分乾燥させ、再度、スポンジでケミカルを塗布する。そんな作業を3~4回繰り返し、乾燥させてからキレイなウエスで吹き上げることで、黒樹脂部品の光沢は、黒々しながらも落ち着きがあって、いい感じの印象に仕上げることができるのだ。ペイント仕上げではなく、樹脂素材色仕上げの部品には、是非ともこのケミカルを利用し、光沢維持にチャレンジしていただければと思います。

 
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