各種ケミカルの上手な利用で作業効率を高め良い仕上がりを目指そう!!

化学技術の発展進化によって、様々な用途で高性能ケミカル(液体ガスケットや潤滑グリスなど)が登場している昨今。今でこそ「シリコン系液体ガスケット」は当たり前の商品だが、日本製高性能モデルの進化には、各種ケミカルの存在が、幅広くしかも大きく寄与してきた。バイクメーカーの製造現場でも、高性能ケミカルが登場すると、テスト結果によっては積極的に採用してきた歴史もあった。また、本来なら使うべき部分ではなくても、何故だかオイル漏れが、オイル滲みが……、雨漏れが!?といったトラブルに直面したときに、本来とは違った使い方だと理解してはいても、応急処置で何とか修復=何とかなってしまった、などなどの経験を持つベテランサンメカも数多くいるのではないだろうか。ここでは、液体タイプの各種ガスケットに今一度注目してみよう。

本来ならガスケットは不要。しかし……

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オイルラインの接続には様々なタイプがあり、フランジ部分にはOリングを組み込み、各種カバー類にはガスケットや専用Oリングを組み込むなど、本来ならガスケット類がセットされる部分に液体ガスケットを併用する必要は無い。しかし、オイル滲みや漏れがどうしても発生してしまう場合や「転ばぬ先の杖」として、液体ガスケットを併用するケースもある。また、オイルラインのフィッティングは、精密加工された金属同士(アルミ部品同士やアルミ部品に鉄や真鍮部品など)を組み合わせ、しっかり押し付けつつ、リングナットで固定するため、オイル漏れや滲みは発生しないものだ。ところが、ゴミ噛みに気がつかずに締め込んでしまい、接合部分にキズが入ってしまったり、部品をしばらく放置していたことで、フィッティングに腐食が発生。それらが原因で、オイル滲みが発生してしまうこともある。そんな時には、部品を完全脱脂してからシリコン系液体ガスケットを少量塗布し、締め付け復元する応急処置法もある。

雨天走行後にヘッドライトが曇る……!?

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変形ヘッドライトが当たり前の現代のモデルは、樹脂レンズとボディを組み合わせ、ブチルテープや防水シーラントなどでヘッドライトをコンプリートにしているため、ヘッドライトボディ内には水滴が侵入しにくい構造である(たまに高年式車でもありますが……)。しかし、モデルによってはガラスレンズのヘッドライトの中でメダカを飼えそう?なんてお話しが出ほど雨水が溜まってしまうような例もある。そんなヘッドライトは、レンズとボディの接着や気密低下によって雨水や水分が侵入してしまう。そんなトラブルに出逢ったら、風呂場のタイルメジなどで利用するシリコン製充填剤を利用することもできる。


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大量の雨水が浸入するわけではなく、雨天走行後に、ガラスレンズのエッジが曇ることが何度かあった。そこで、レンズエッジの隙間にシリコン充填剤をつま楊枝の先端で押込み充填したことで、その後、ガラスは曇らなくなった。

ガスケットリムーバーは使い方いろいろ

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クランクケースカバーやシリンダーベースガスケットなど、紙タイプのエンジン用ガスケットは、キレイに剥がれないと後々の除去清掃が大変な作業になる。あちこちへこびり付いてしまうと、スクレパーだけでは簡単に除去できないことも多い。そんなときにあると便利なのがスプレー式のガスケットリムーバーだ。刺激性のある溶剤をエアーゾールに詰めてあるため、広範囲に吹き付けたいときには、古新聞の上にパーツを置き、患部へ向けてスプレー。なかなか剥がれないときには、吹き付け後にラップやビニール袋を各部へ載せて押し付けしばらく待つことで、ガスケットがふやけてスクレパーで剥がしやすくなる。無理にスクレパーでガリガリやり過ぎると、ガスケット座面にキズを付けてしまい、オイル漏れや滲みの原因を作ってしまうので要注意だ。


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ガスケットリムーバーは、ピストントップや燃焼室に堆積したカーボン除去にも最適。スプレー後、しばらく放置してから(ラップ巻きでさらに効果大)、ウエスで拭き取ることでヌルッと剥がれやすくなる。何度か繰り返すことで、カーボン汚れは除去することができる。

POINT
  • ポイント1・ 本来の使い方だけではなく、応用することで液体ガスケットは応急処置用としても利用できる
  • ポイント2・ 水漏れ修理には風呂場用のシリコン充填剤をりようすることもできる
  • ポイント3・作業進行中に「こりゃ面倒だ……」と思ったときには、ケミカルが使えないものか、検討してみるのも楽しい

高性能ケミカルの登場によって、製造現場はもちろん、プロメカニックも我々サンデーメカニックも、大きな恩恵を受けているのは明らかな事実だろう。その中でも、顕著な商品と言えるのが、各種「液体ガスケット」である。
その昔は、動物性たんぱく質=コラーゲンをベースに製造された「にかわ」を液体ガスケットとして利用していたが、60~70年代には溶剤系接着剤が主流になり、80年代に入ると様々な分野でシリコンが普及。我々バイクいじりの世界では、シリコン系液体ガスケットが登場した。シリコンと言えば、ブレーキフルードとして「シリコンオイル」を標準採用するバイクメーカーも登場。従来型ブレーキフルードはDOT3からDOT4へと進化し、シルコン系ブレーキフルードは、DOT5として分類されるようになった。ちなみにDOT5.1といった商品もあるが、これはDOT4を数値的に高性能化したグリコール系ブレーキフルードである。いずれにしてもブレーキフルードを購入する際には、その規格およびグリコール系か?シリコン系か?を明確にしなくてはいけない。グリコール系とシリコン系は分離するため、混入利用は危険である。

さて、液体ガスケットは大きく分類すると「シリコン系液体ガスケット」と「溶剤系液体ガスケット」がある。何でもかんでも「シリコン系が良い」という訳ではなく、封孔したい相手が、仮に、ガソリンもしくは混合気の場合は「溶剤系液体ガスケット」を利用しよう。
具体的には、インテークマニホールドの二次空気防止目的や2ストロークエンジンのクランクケースの合わせ目(特に一次圧縮室周辺)やシリンダーベースガスケットには、溶剤系液体ガスケットを利用しなくてはいけない。シリコン系液体ガスケットは、その名前の通り、完全硬化後にはゴム状態になるが、ガソリンに対して膨潤する特性があるため、そのうちブヨブヨになって、剥がれ落ちてしまうことが多いのだ。

エンジン分解時に紙ガスケットのカスがこびり付いたり、断片的に紙ガスケットが切れて剥がれないときには、無理してスクレパーを使わず、ガスケットリムーバー(エアーゾールタイプ)を利用し、付着したガスケットをふやかすのが良い。このスプレー溶剤は、塗装の剥離剤成分と同タイプなので、何も考えずに塗装済みエンジンに吹き付けてしまうと、塗料が剥げて大変なことになってしまうこともある。使い方には注意が必要だが、その効果は極めて高い。吹き付け塗布したくないときには、紙コップ内にスプレーし、ハケ塗りで患部へ塗布するのが良いだろう。こびりついたガスケットが剥がれにくいときや、気温が低くなかなか反応が鈍いときには、塗布後にラップや薄いビニール袋を押し付けることで剥離反応しやすくなることも覚えておこう。

 
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