チェーンが伸びるってどういうこと?

そりゃ常に引っ張られてれば伸びるでしょ…

と言いたいところですが、実は伸びてませんと言ったら驚くでしょうか?
明らかに伸びてるやんけ!とツッコミが入りそうです。

しかーし!
常に引っ張られ続ける事が前提の頑丈な金属製の部品が、パワーに耐えきれず段々伸びていくなんて事はないのです。
あれは伸びているのではなく減っているのです。

皆様にささやかな幸せとバイクの知識をお送りするWebiQ(ウェビキュー)。
ええええええ???となっている皆様にチェーンが伸びる真実をお届けします。
チェーン無給油の話も最後にありますよ!
※一般的なシールチェーンの話です

チェーンは伸びない

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チェーンを横から見た時に見えるプレートが俺のバイクの超パワーに負けて少しづつ伸びる……
そんなイメージがあるかもしれません。
しかし、横から見えるプレートは新品時から寿命を迎えるまでの間に僅かでも伸びるような事はありません。

でも明らかに伸びてるよね?

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使用しているとチェーンが伸びてくるのは皆さま経験しているはずです。
車体にはチェーンの伸びに対応するためのチェーンアジャスターが付いているし、伸びたらアジャスターで調整するのは常識です。

確かに全体的に伸びて長くなっているのは間違いありません。

ではどこが伸びてるの?

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チェーンを横から見た際に見えているプレートは伸びないと最初に書きました。
ではどこが伸びて長くなっているのか?

実はどこにも伸びている部品はありません。
あれは部品が伸びているのではなく、部品が減っているのです。

チェーンは伸びず、減る

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なんのこと?という感じかもしれませんが、チェーンという部品は使っていると目に見えない内部のパーツが極僅かづつ減っていくのです。
金属部品を連結した物が常にパワーを受け続けつつゴリゴリ回っているのですから、多少減ってしまうのも納得できると思います。

そして、その僅かな減りが積み重なった結果、チェーン全体が伸びたように見える、という事です。
便宜上『チェーンの伸び』と言っていますが、真実は『チェーンの減り』です。

どこが減るのか?

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横から見えるプレートは伸びない、でもどこかが減ると言われてイメージする場所は上の画像の場所ではないでしょうか?
潤滑のためにチェーンルブを吹く場所ですし、常にスプロケットと接触する場所なのでココ(ローラーブッシュ)が減りそうです。

でも部品が減ってチェーンが伸びる原因になるのはソコではありません。

減るのはココ!

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チェーンの内部にあって目視できない部分(=ピン)が減ります。
1本ごとの摩耗は極僅かですが、チェーン全体ではピンが100~130本もあるので、全部が合わさると数mmの伸びとなって現れます。
100リンクのチェーンでピン1本が0.1mm摩耗すれば、チェーン全体では10mmの伸びとなって現れます。
チェーンはスプロケットを囲んでグルッと1周しているので、これはチェーン引きで5mm分に相当します。

大したこと無さそうに思えますが、チェーンがそこまで摩耗する頃にはスプロケットもかなり摩耗しており、実際のチェーン引きは5mmでは済みません。
恐らく10mmを大幅に超える引き代が必要で、それはつまり寿命ということです。
たった0.1mm摩耗しただけなのにね!!

ちなみに、いかにも減りそうなスプロケットに接触する部分(ローラーブッシュ)も想像通り減ります。
しかしローラーブッシュは摩耗してもチェーンの長さには影響しません。

メンテナンスしているのになぜ減るの?

乗る度に欠かさずチェーンメンテナンスを行い、常に油を切らさない様にしっかり潤滑されているはずなのに……
そう思われる方も多いでしょう。

しかし、残念な事にチェーンが伸びる原因となる最重要部分、
ピンには外部から潤滑油を供給する事はできません。(!)
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なぜ外部から潤滑できないの?

そもそも……、シールチェーンというのは摩耗するピンの摩耗を抑えるために高性能なグリスを漏れないように封入し、常にピンを潤滑する目的で開発されたものです。
内部に封入した潤滑グリスが流出しないようにOリングなどのゴムでフタをしてある、という事です。

内部の物が流出しないという事は、外部から注入する事もできないという事です。

チェーンルブで潤滑してるんじゃないの?

してません。

上で書いたように、シールされた内部にあるピン部分にチェーンルブを注入する事はできません。
潤滑はあくまでもシールチェーンに最初から封入されている高性能グリスのみ!
チェーンルブは最も潤滑したい部分には届きません。
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じゃあチェーンルブは何を潤滑しているの?

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一つはスプロケットと接触するローラーブッシュの潤滑です。

汚れたチェーンを綺麗に洗い、チェーンルブでメンテナンスすると明らかにチェーン音が静かになりますよね?
ジャラジャラ音がしていたのが無音になる、メンテナンスした甲斐がある瞬間です。

ただし、外部から潤滑出来る事からもわかる様に、ここはシールされていません。
しかもピンが0.1mmの摩耗を気にするシビアな場所だったのに対して、ローラーブッシュは新品時からガバガバです。

これには理由があって、封入グリスで潤滑されているピンが駆動力を受け持つのに対して、ローラーブッシュはスプロケットとの噛み合いを円滑にしている「だけ」だからです。
ローラーブッシュで駆動力を伝達しているのではなく、駆動力を伝達する動きをスムーズにする役目なので、ピンとは目的が全然違うのです。
そして、丸出しだから外部から潤滑できるし、潤滑する効果があるという事です。

2つ目はOリングの潤滑です。
重要なピンの為にグリスを封入して流出しないようにしているOリングはゴム製です。
紫外線、熱、雨、ホコリなどに晒らされる過酷な環境にあるので、このゴムを守るためにも潤滑は欠かせません。
何もしないと一気に劣化が進み、細いゴムなので簡単に千切れてしまいます。

Oリングが切れると大事なピンを潤滑しているグリスが流出してしまい、ピンの摩耗が一気に進行して、アッという間にチェーンが寿命を迎えます。

チェーンルブはエラい

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チェーンは高速回転する部品であり、ものすごい遠心力が働きます。
並みのオイルでは一瞬で飛び散ってしまうので、だからこそチェーンルブはあんなに粘着力があるのです。

しかもエンジンオイルなどと違って循環しません。
そこにある僅かな量だけで頑張らねばならない宿命です。
オマケに風雨に晒され、タイヤの巻き上げた砂利を拾い、潤滑としては最低最悪な劣悪環境です。
大事にしてあげましょう。

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コメント一覧
  1. ?s=55&d=mm&r=g 通勤おやじライダー より:

    シールチェーンの耐久性の情報、ありがとうございます。
    当方GROMに7年乗り続けて 54,000Km 走りチェーン及び前後スプロケを交換をしました。
    ノンシールチェーンですので、エンジンオイルを100Km ごとにちょびちょび塗り、40,000Km あたりからチェーンの音が大きめになりました。最後にはローラーの一つがつぶれ、ガチガチというスプロケットからの異音がするため交換しました。
    非力な125ccのバイクですとこんなにも持つものかと思いました。
    チェーン交換後は、走行が静かでこんなにも快適であったことを改めて実感し
    ました。初代GROMですが、まだまだ通勤に頑張ってもらいます。では。

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