純正部品に設定のない部品も開発するキースターは、キャブレターメンテナンスの頼れる味方!!

キャブレターはエンジンコンディションに大きな影響を与える部品です。ジェットやニードルで簡単にセッティング変更できるのが魅力ですが、それ以前に空気やガソリンが通る通路が貫通していることが重要。それゆえ不動状態が長い絶版車や旧車ではオーバーホールが不可欠ですが、中には分解時に必要なパーツが純正部品として設定されていない場合もあります。そんな時に頼りになるのが、独自でキャブレターパーツの開発を行うキースターの存在です。

キャブレターの劣化のパターンは百車百様

002-5.jpg 並列二気筒エンジンの1987年型スズキRG250ガンマ用のミクニ製VM28キャブレター。フロートチャンバーを外してフロートバルブやジェット類を取り外し、ボディ上部からスロットルバルブやジェットニードルを引き出すことはできるが、ガスケットが純正部品に設定されていないため前後2ピースのボディから前面カバーを外すことはできない。

チョークを引いてもエンジンが始動しない。スロットルを戻すとアイドリングせず止まってしまう。特定のスロットル開度から上が吹けない。ひと言でキャブレターの不調や不具合といっても、その原因はさまざまです。キャブの不調だと思い込んでいたものの、実は別の場所に原因があるということも少なくありません。

スロットル開度とエンジン回転数に応じて空気と燃料を適切に混合するキャブレターは、構造や機能はフューエルインジェクションに比べてシンプルに思われがちです。しかし実際には、スロットルバルブが閉じている時はパイロット系、徐々に開いてくるとジェットニードル、さらに開度が大きくなるとメインジェットと、受け持ち分野を自動的に乗り換えながら機能するキャブはとても精密でありデリケートです。これに比べれば、センサーや制御技術など電気的な機能は高度ですが、ひとつのインジェクターの噴射時間だけでアイドリングから前回までの燃料供給量を決めているフューエルインジェクションの方がよほど単純と言えるかも知れません。

流れる空気の量と負圧に応じてフロートチャンバー内の燃料を吸い上げて供給するキャブレーターにとって、空気と燃料が流れる通路の状態はきわめて重要です。直径1mmにも満たないジェットの穴に汚れが詰まったり劣化したガソリンが固着すれば、必要な燃料が吸い出せず満足な性能は出せません。空気の通路が閉塞しても同様で、やはり必要な性能は出せません。

空気の通路というと、キャブレターの真ん中に大きく開いているメインボアばかりに注目しがちですが、実際の混合気を作る際にはパイロットエア通路やメインエア通路など、メインボアと並行して空気が通る狭い通路の状態が重要です。キャブレターのオーバーホールやセッティングを行ったことのあるライダーならお分かりだと思いますが、スロットル全閉時のエアースクリュー(またはパイロットスクリュー)調整によってエンジン回転は大きく上下します。スロットル全閉時にはキャブレターに加わる負圧が最大になるので、狭いパイロットエア通路を流れる空気への依存度が高くなるのです。

そんなデリケートで重要な部分だけに、長期放置や不動状態が長く続いてガソリンが劣化して通路を塞ぐと厄介な問題になります。スロージェットやメインジェットの詰まりやジェットニードルの表面に発生したワニスや腐食は、それぞれの部品を取り外してキャブレタークリーナーなどに漬け込んで洗浄することで、症状の改善を期待できます。

ジェット類を取り外した後のキャブレターボディも、多くの場合はスプレータイプや溶液タイプのキャブレタークリーナーを活用して通路を洗浄できるので、徹底分解することがメンテナンスの第一歩となります。

POINT
  • ポイント1・キャブレター内を通過する空気の量と負圧の大きさ応じて最適な混合気を作り出すキャブレターは、構造は複雑かつ精密
  • ポイント2・空気や燃料の通路内に詰まった異物や汚れを取り除くには、外せる部品をすべて取り外してクリーナーに漬け込むのが有効

非分解設定のガスケットが劣化すると修理不能の危機に陥る場合もある

003-5.jpg 岸田精密工業=キースターの燃調キットは、1960年代から2000年代までの国内4メーカーの原付から輸出車まで幅広い市販車用にラインナップを取り揃えている。メインジェット、パイロットジェット、ジェットニードルは純正サイズを中心に前後数種類が入っておりセッティングが可能。キット価格はキャブレター1個あたり税込4400円(機種により例外もあり)。RG250ガンマの場合は2セット必要なので税込8800となる。

004-4.jpg メーカー純正部品としては存在せず、岸田精密工業が独自に製作したガスケット。純正と同様の素材、厚みでカットされている。ガスケット付き燃調キットという形態で販売されており、価格は税込4950円。ガスケット代金としては税込550円相当なので、RG250ガンマ用燃調キットを購入する際はガスケット付きにした方が絶対にお得。

しかしながら、すべてのキャブレターが完全に分解できるとは限りません。また分解したとしても、元通りに復元できるとも限りません。具体的にはキャブレターメーカーやバイクメーカーの意向や考え方により、分解時に必要な部品が供給されていない場合があるからです。

画像で紹介しているのはスズキRG250ガンマ用のミクニ製VM28キャブレターですが、スロットルバルブ前面のカバーとキャブレターボディの間に入る紙ベースのガスケットは補修用部品として設定されていません。そもそも非分解扱いなので、このカバーの固定にはトルクスビスが使われています。

スロットルバルブ部分からの二次空気吸い込みや吹き返しを防ぐため、安易に取り外せないようトルクスビスを使用し、分解補修を考慮していないためガスケットの設定もしていないのでしょうが、長年に渡る使用や放置期間によってガスケットが劣化しないとは限りません。

このガンマ用キャブの場合、アイドリング時の空気が通るパイロットエア通路は前面カバーからボディに導入され、その間にガスケットが存在します。エア通路というだけあって、パイロットジェットまでは基本的に空気しか通らないことになっていますが、長い年月のうちにエア通路内にどんな汚れが堆積しているかは想像できません。

それゆえキャブクリーナーを充分に使って洗浄したいところですが、ガスケットに影響を与える懸念があります。逆に、経年劣化でガスケットの気密性が低下することで、パイロット系に限らず二次空気を吸ったり吹き返しが発生することも考えられます。

そのような場合にもガスケットが部品として設定されていないことで、これまでは手の打ちようがありませんでした。なかには汎用のパッキン紙から切り出したり、スキャナーとカッティングマシンの組み合わせで高精度なガスケットを自作する器用なサンデーメカニックもいるかもしれませんが、容易なことではありません。

POINT
  • ポイント1・キャブレターの種類によって非分解設定で部品が購入できない仕様になっている場合がある
  • ポイント2・精密なキャブレターの機能を損なうことなく、設定されていない部品を自作することは難しい

独自開発のノウハウを活用してガスケットを製造するキースター

005-4.jpg キャブボディの前面カバーは一般的な六角穴付きビスではなく、トルクスビスで固定されている。花びら型のトルクスビスを回すにはトルクスビットが必要。トルクスの方が六角穴より強いトルクで締め付けてもナメづらく、通常のヘックスレンチでは回せないためいじりづらいという特徴がある。

006-4.jpg 30年以上を経ることで紙製のガスケットはカチカチに硬化しており、カバーとボディに挟まれることで明確な当たり痕が付いている。カバーを外す際に運良く切れたり割れたりしなくても、ガスケットの位置が僅かにずれるだけで気密性が低下する懸念がある。下辺にある小さな穴の一方がパイロットエア通路で、ここに溜まった汚れを取り除く際に新品ガスケットがありカバーを外せるメリットは大きい。

007-3.jpg 新品のガスケットがあれば、分解したキャブレターをクリーナーに漬け込んでも、ガスケットの劣化を心配する必要はなく、より徹底した洗浄が可能になる。エアー通路も燃料通路も完全にきれいになった状態で、はじめてオーバーホールやセッティングの効果がある。

こうした現状に対応して非分解部分のガスケットを製作したのが、燃調キットでおなじみの岸田精密工業です。国内4メーカーの50ccから1000ccオーバーまで、数多くの純正キャブレターのセッティングやオーバーホールに対応するキースターブランドの燃調キットは、絶版車や旧車オーナーにとって頼みの綱のような存在です。

ジェット類やニードル、トップカバーやフロートチャンバーガスケット、エアースクリューやフロートバルブやバルブシートなどの部品をまとめてリーズナブルな価格で提供するのが燃調キットの最大の特長ですが、このガンマ用VM28キャブレターのように機種によってはメーカー設定のない部品まで開発し製造している例もあるのです

新車として製造されてからずっと現役状態で走り続けてきたバイクならフルオーバーホールの必要はないかも知れませんが、強力なクリーナーで汚れを一掃した上で再度組み立てたいという場合には、純正部品としては存在しないガスケットがあるのは大きな安心材料となります。

ここで紹介しているガスケット以外にも、キースターではケーヒン製FCRキャブレターの非分解設定部分のゴム製ガスケットも独自に製造しています。素材が紙製でもゴム製でも、数十年にわたるキャブレターパーツ製造のノウハウがあるキースター製であれば心配は無用です。

愛車のキャブレターのオーバーホールやセッティング変更をしたいが純正部品がない……というオーナーは、キースターのホームページを覗いてみてはいかがでしょうか。

POINT
  • ポイント1・国産車用純正キャブレターのセッティングやオーバーホールに有効なキースター製燃調キットは、絶版車や旧車用のラインナップが充実している
  • ポイント2・バイクメーカーの純正パーツには存在しない非分解設定部分のガスケットも、キースターが独自に開発している例もある
 
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