旧車の「インナースロットル」は部品クリーニングで作動性激変!効果的な洗浄と給油、メンテナンスのやり方

今年で生誕62年になるホンダのスーパーカブ。初代モデルから70年代末までのスーパーカブは、巻き取り式を採用した、現代のバイクのようなスロットル構造ではなく、スロットルパイプの内側に「スパイラルガイド」を持った、通称「インナースロットル方式」が特徴的だった。

ハンドルやボディ内部をケーブルが通過し、外部から各種ケーブルが見えないデザインは、ハンドル周りのスッキリデザインに大きく貢献。このデザインを、後のシリーズモデルに採用したいと考えるカスタムユーザーは意外と多い。しかし、メンテナンスが重要なのも、このインナースロットルの特徴でもある。

スイッチハウジングを外すとスロットルが抜ける


ハンドルスイッチのハウジングを分解すると、スロットルケーブルエンドを固定する保持金具とケーブルのタイコを動かすスライダー部品を分解できる。各部品を紛失しないように保管し、ケーブルのメンテナンスに取りかかろう。


キャブレター側のスロットルキャップネジを外し、スロットル側のケーブルに針金を巻いてキャブレター側からゆっくりスロットルケーブルを抜き取る。レッグシールドやフロントカバーは外して作業進行しよう。

ケーブルインジェクター内部の洗浄&給油


市販のケーブルインジェクターはクラッチケーブル専用サイズが多いため、細いスロットルケーブルでは利用できないタイプが多い。そんなときにはケーブルアウターを脱脂洗浄し、ビニールテープやマスキングテープをアウターに巻き付け「太さを合せて」利用するのがよいだろう。最初はパーツクリーナーで内部洗浄。その後、エアーガンでブローしてからケーブルグリスを吹き付けるのが最適な作業だ。ポイントは、注油前の「内部洗浄」だ。

ハンドルエンドのスライダー溝を磨こう!!


スライドスロットルは、スライド溝とスライダーがスムーズに作動することを確実に点検調整することだ。汚れはパーツクリーナーで洗浄し、バリがあるときにはヤスリで除去し、仕上げにボンスターを使って溝エッジを磨き上げよう。最後にパーツクリーナーで全体を洗浄しよう。


ケーブルエンドの保持金具やスライダー本体も確認し、ハンドルの溝とスライダーがスムーズに動くか確認しよう。その後、各パーツの摺動部に「薄く」グリスを塗布し、最後にケーブルエンドのタイコ部分とスライダーのスパイラル受け溝にグリスを適量塗布する。塗り過ぎは良くない。

スライドスロットルでもスパッと戻る!!


スライドスロットルは、一般的にスムーズにリターンしないイメージがあるが、ケーブルメンテナンスやスロットル側の洗浄摺り合わせやグリスアップ、さらにスロットルパイプの芯出し(転倒などでパイプが歪んでいるケースも多い)で作動性が向上する例も多い。


POINT
  • ポイント1・スロットルケーブルを車体から抜き取る際には、復元時のガイドになる太めの針金をセットしてから下へ抜き取ろう。
  • ポイント2・スロットルケーブル内部はケーブルインジェクターを利用してクリーニングし、その後、注油しよう。
  • ポイント3・スライダー溝に引っかかりが無いか、洗浄後のパーツで作動確認してみよう。この際にはオイルやグリスを塗らずに点検する。
  • ポイント4・転倒などでスロットルパイプ(グリップゴムを差し込むパイプ)が歪んでいるとスムーズに作動しないので、修正可能な歪みは万力に挟んで補修しよう。

どんなバイクでも、スロットルグリップをグイッと開いた後に、スパッ!! とスムーズに戻るのが理想的だし、安心だろう。バネ引きスロットルでも、2本ワイヤーの強制開閉式でも、スロットルの戻りがスムーズなのは安心だ。しかし、70年代以前の旧式モデル、特に、原付モデルは70年代の末まで「インナースロットル」タイプが採用されていた。現代的な「巻き上げ」式スロットルと比べて、フリクションロスを生む摺動部分が多いことから、スロットルグリップの作動性が、今ひとつ良くないのがスライド式の特徴でもある。

50~70年代に生産されたスーパーカブだけではなく、当時はメーカーを問わず数多くの原付モデルや軽二輪、さらに自動二輪でも、実用モデルにはスライドスロットルの採用例が多かった。スライドスロットルの作動抵抗に注目しがちだが、実際にはスロットルケーブルのコンディションが悪いことも多い。例えば、車体内部を取り回すが、部品に押されてアウターケーブルが潰れてしまっているケースもある。また、ハンドルを切った際に、アウターケーブルが挟まれて潰れてしまうことも多いのだ。それらのトラブルが無いことを前提に、スライドスロットル各部を洗浄、摺り合わせ、注油&グリスアップすることで、間違い無く驚くほど作業性が良くなる。

旧スーパーカブを例にすると、スロットルグリップを差し込むスロットルパイプが歪んでいたり、潰れていると、作動性は一気に低下してしまう。クリーンナップ後のハンドルにスライダーをセットし、スロットルパイプを差し込み(注油やグリスアップはしない)、作動性を確認してみよう。スロットルパイプの開閉時に引っ掛かりがある場合は、スロットルパイプの歪みが考えられる。万力に挟むなどしても補正しきれない場合は、スロットルパイプ内側のスパイラル部分を磨き込むと作動性が良くなるケースが多い。その際は、軸ブラシ状のホーニングツールをハンドドリルに取り付けて利用すると効果的に作業進行できるようだ。新品部品や程度の良い旧車部品を入手できない際には、このようなメンテナンスツールで現状最善を目指すのがよい。

ケーブルインジェクターは、クラッチケーブルアウターの太さで製作されている商品が多いが、残念なことにスロットルケーブルの太さに対応した商品が少ない。そんなインジェクターツールしか手元に無い場合は、アウター先端周辺をパーツクリーナーで洗浄&完全脱脂し、ビニールテープやマスキングテープを巻いて太さ調整することで、ケーブル内部を洗浄&注油できるようになるので試してほしい。

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