ブレーキキャリパーピストン揉み出しの必需品。フルード漏れを防ぐラインストッパーで作業効率がアップする

知識と経験が必要ですが、正しくメンテナンスすることでレバータッチや制動性能を維持できるのがディスクブレーキです。キャリパーピストンの揉み出しやシール交換の際はブレーキホースを外しますが、外したホースからブレーキフルードがダラダラ垂れ流しになって焦った経験はないでしょうか? そんな時に用意しておきたいのがラインストッパーです。これがあればフルードの流出を最小限に抑えられ、メンテ作業の締めとなるエア抜きの手間も軽減できます。

ブレーキメンテナンスは経験と実績がなければ手を出さない

02.jpg マスターシリンダーとブレーキキャリパーの高低差によって、キャリパーにつながるホースのバンジョーボルトを緩めればブレーキフルードが流れ出す。ブリーダープラグを緩めてブレーキペダルを踏み続けてフルードを抜こうとしても、マスターシリンダーが空になればエアー噛み状態になってホース内のフルードは動かなくなってしまう。ホース端から流れるフルードはキャリパーやスイングアームに付着するため洗浄しなくてはならない。

ブレーキキャリパーピストンの揉み出しやキャリパー本体のオーバーホールなど、ブレーキパッド交換以外にもディスクブレーキシステムの性能を維持、回復するための作業はいくつもあります。愛車のメンテナンスを自分の手で行いたいというライダーは少なくありませんが、ブレーキに関しては注意が必要です。

たとえ原付バイクであっても100kg以上の重量の車体が30km/hで走行する際のエネルギーは大きく、ブレーキの力なくして制動、停止することはできません。ましてや排気量が大きく速度が速くなれば、ちょっとした不注意や作業ミスによる結果が取り返しの付かない結果につながることもあります。「やってみたい」という興味と正しく作業できるか否かは別問題です。

ブレーキホースをキャリパーにつなげるバンジョーボルトを締め忘れたなどというのは問答無用ですが、「ブレーキホースは外さないでパッド交換だけやってみよう」という場合でも、パッドスプリング方向の誤組みやパッドピンの緩みがトラブルにつながることもあります。失敗も含めて経験することで学べることもありますが、軽い気持ちで危険に直結するブレーキ周りに触れることは絶対に止めましょう。

ただ、それではいつまで経ってもできるようにはなれないので、最初は経験者のアドバイスを受けるなどして、要点を理解した上で作業するといった慎重さを持っておきましょう。

POINT
  • ポイント1・わずかなミスが重大な結果につながることもブレーキメンテナンスは、興味があっても経験が少ないうちは実践しない方が良い

キャリパーからブレーキホースを外せばブレーキフルードは垂れ流しになる

03.jpg 画像は工具ショップストレートで販売しているラインストッパーセット。クリップタイプ2種類と太さが異なる3本のプラグで1セットとなる。

04.jpg 洗濯バサミの先端にゴムのプラグがセットされている。バンジョーに傷が付くとフルード漏れの原因になるため、弾力性のあるゴムが採用されている。またブレーキフルードで冒されないよう、本体は樹脂製で金属製スプリングも表面をコーティングしてある。

ブレーキキャリパーからブレーキホースを外す作業は、ブレーキメンテナンスを行う際にたびたび遭遇します。作業自体に危険が潜んでいるのは前述の通りですが、変質したブレーキフルードでフリクションロスが大きくなったキャリパーピストンシールを交換したり、シール溝をクリーニングすることはブレーキ性能回復にとってとても有効です。

ブレーキホースをキャリパーに取り付ける方法には、ホース先端のバンジョーにバンジョーボルトを通してキャリパーにねじ込むパターンと、金属パイプの先端のナットをねじ込むパターンがあります。バイクでは前者を採用する例が多いようですが、絶版車の中には先端が広がった金属パイプをナットで固定する機種もあります。また現行車でも、ABS装着車のABSユニットにはパイプ+ナット固定の例があります。

ここではABSのない1970年代のディスクブレーキ車をサンプルにしていますが、ブレーキホースとキャリパーの接続部分に注目すると、バンジョーボルトでもナットでもそれらを緩めるとホース内のフルードが流れ出します。すると流れたフルードはキャリパーを伝ってホイールリムやスイングアームに付着します。

マスターシリンダーのリザーバータンク内のフルードが重力で落下することは、マスターシリンダーとキャリパーの位置関係を考えれば頭では理解できるはずですが、意外に何の準備もなく緩めてしまう人も少なくありません。ブレーキフルードが塗装に悪影響を与えると言っても、剥離剤のようにすぐさま塗膜がブクブクと浮き上がるわけではないので、ノンビリ構えているのかも知れません。

しかしブレーキホースから流れ出たフルードを触れた手であちこちに触れれば、そこで二次的な被害が発生する危険性があります。またリザーバータンク内のフルードが抜けてホース内にエアーが噛み込むと、キャリパーを取り付けた後のフルード充填とエアー抜きが必須となり、この作業に想像以上の手間が掛かることもあります。

キャリパーからホースを取り外した際にフルード漏れをできるだけ少量に抑えたいなら、外したホースの先を塞げば良いのですが、先端がバンジョーの場合は両側から挟み込まなくてはなりません。そんな時に重宝するのがラインストッパーです。

POINT
  • ポイント1・ブレーキキャリパーからブレーキホースを外すと、、マスターシリンダーやホース内のフルードが流れ出してしまう

フルード流出を最小限に抑えられるラインストッパー

05.jpg 弾力性のあるゴムで挟むことでフルード漏れをシャットアウト。仕組みはシンプルだが効果は抜群だ。

06.jpg 金属製のブレーキパイプやアダプターの先端を押さえるフレアタイプのクリップ。切り欠き部分にパイプを通して、先端部分を正面から押さえる。

07.jpg フロントフォークのストローク部分は柔軟なゴムで、アウターチューブ部分のジョイントからキャリパーまでは金属パイプという組み合わせのブレーキホース。画像はパイプ上部で切り離しているが、フレアナットレンチでパイプとキャリパーのジョイントを切り離したら、パイプ端からブレーキフルードが流れ出る。

08.jpg フレアタイプと呼ばれるストッパーを使えば、このように液漏れを防止できる。パイプの先端はキャリパーと密着するテーパー形状なので、傷が付きづらいゴム素材が最適だ。

09.jpg プラグタイプのラインストッパーはガソリンタンク着脱時にホース内の漏れ止めに便利。キャブレター一体式の燃料コックからホースを外すとタンク内のガソリンが全部出てしまうホンダスーパーカブには必須だ。

ラインストッパーは洗濯バサミの先端にゴム製の半円を付けたような形状で、その弾性によってバンジョーに密着してフルード漏れを防ぎます。構造としてはとても単純ですが、これ以上ないと思われるほど理に叶っています。適当なサイズのゴムブロックを当ててロッキングプライヤーで挟み付けても同様の効果はあるでしょうが、モタモタしている間にフルードが流れてしまうことを考えたら、1アクションでパチッと装着できるストッパーを使った方がスマートです。

ここで紹介するセット商品にはパイプ先端を止められるフレアタイプのストッパーも含まれています。これは洗濯バサミの一方に溝が刻まれており、ブレーキパイプ端部の正面からゴムストッパーが当たるようになっています。ブレーキパイプの先端はテーパー状のフレア加工が施されているものがあり、これがキャリパー側のシートに密着してフルード漏れを防ぎます。硬い栓を差し込もうとするとフレアを傷める可能性があるため、柔らかいゴム素材が適しているのです。

ブレーキキャリパー内部のクリーニングやピストンシール交換を行った場合、組み立て時にキャリパー内部へのフルード充填とエアー抜きが必要です。その際にリザーバータンクとブレーキホース内にフルードが残っていれば、ホースを取り付けてレバーやペダルを操作するだけでキャリパー内にどんどんフルードが送り込まれるので作業効率がアップします。

リザーバータンク内のフルードが茶褐色になるほど劣化していた場合、せっかくきれいにしたキャリパー内に汚れたフルードを入れるのは気が進まないので、充填は面倒でもマスターシリンダーやホース内を全部空にして洗浄した方が良いでしょう。しかしフルードを定期的に交換している場合、ラインストッパーを活用することをおすすめします。

POINT
  • ポイント1・フルードストッパーによってブレーキフルードの流出を最小限に止められる
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