カスタム車ならではのメンテナンス。ブレーキローターは引き摺り確認

ブレーキ強化には様々な方法がある。機種専用のスペシャルパーツなら「完全ボルトオン」で取り付けられる商品もあるが、同じボルトオンキットでも、アダプターを介したブレーキ強化などでは、その取り付け方によって、ブレーキローターとブレーキパッドが引き擦ってしまうこともある。このGPz900Rニンジャには、ローター外径が大きな他機種用純正パーツが流用され、フロントブレーキ強化が行われていた。ここでは、取り付け状況の再確認とクリーニング&メンテナンスを実践してみた。

メンテ好きなら絶対に欲しいフロントスタンド

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本来なら大型モデル用でしっかりした作りのフロントスタンドを使いたいところだが、ここでは、手元にあった小型車用を何とか利用(もちろん自己責任に於いて)して、前輪を取り外してみた。このような作業時にブレーキキャリパーはS字金具などで引っ掛けてブラ下げると落ち着きが良い。ポーチに入れて部品に傷がつかないようにするメンテナンスツールもある。また、前輪を取り外した「ついで」に、ホイールバランス、ブレーキローターの歪みなどを、ジャイロスタンドで確認点検しておくのも良い。

合マークを入れてから分解メンテナンスが基本

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ディスクローターを取り外すときには、ローターの締め付け位置とホイール側の固定位置を再現できるように、分解前にマーカーペンでマーキングしておくのが基本である。このニンジャの場合は、ローターとホイールの間にオフセットスペーサーが組み込まれるので、このスペーサーもマーキングしておこう。分解前にローターとブレーキパッドが引き摺っていない時には、尚更、そんなマーキングが復元時に大きな役割を果たす。ローターの締め付け面が汚れていないか、しっかり確認しながらクリーニングしよう。

オフセットスペーサーもマーキングで位置再現

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単純にスペーサーを噛ませて締結ボルトを長くしたのではなく、締結PCDの異なる ディスクローターで大径化しているため、スペーサーへのボルト孔数が2倍になっている。この締め付け座面の汚れもしっかりクリーニングしよう。

潤滑スプレーを吹いてからオイルストーンを利用

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読んで字のごとくオイルストーンはオイルに浸した「湿間」で利用しなくてはいけない。乾燥状態で利用すると、締め付け座面に無用なキズを付けてしまうことになるからだ。ここでは防錆浸透スプレーを塗布して利用したが、エンジン組み立て時などは、小さなトレイにオイルを注ぎ入れ、そこにオイルストーンを浸して作業待ちすると、効率良く作業進行することができる。

ロータースペーサーは汚れやキズに要注意

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オイルをしっかり塗布した湿間状態で利用することで、オイルストーンのありがたさ、使い易さを実感することができる。スムーズに滑りながら締結座面のクリーンナップを行うことができる。多少こびりついた紙ガスケットなどは、オイルストーンで磨くことで、簡単に除去することができる。エンジン部品の組み付け時などは、是非、このような方法で利用してみてほしい。マーキングが消えないように注意しながら締結面をクリーニング。そして、ネジロック剤を塗布して、締め付け復元しよう。

トルクレンチで確実な締め付け

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ローター復元時もオイルストーンで締結座面の面出しを行い、マーキング位置を確認しながら締め付けよう。ディスクローターやブレーキキャリパーなど、重要保安部品を組み込む際には、トルクレンチを使い規定値通りに締め付け復元しよう。また、締め付けの際には、1か所のボルトを一気に締め付けるのではなく、すべてのボルトを通してから、対角に順序良く平均的に締め付け、最後にトルク管理しよう。

ホイール復元時はディスクローター面を脱脂する

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ディスクローターを復元したら、ローター面に付着してしまう油分をきれいなウエスでしっかり拭き取ろう。スプレーする際には、キレイなウエスでローター裏側を受け、吹き付けたパーツクリーナーが流れ落ちないようにウエスで吸い込みながらローター面を拭き取ろう。スプレーしにくい裏側は、パーツクリーナーをウエスに吹き付けてから拭き取り作業するのが良い。ホイールをフロントフォークにセットしたらアクスルシャフトを差し込むが、アクスルシャフトの差し込み全面にはグリスを薄っすら塗り、浸水時のサビ発生を防ぐようにしよう。

スムーズなホイール回転がすべての基本

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ホイールを復元したらブレーキレバーをポンピング作動しよう。これによりブレーキパッドが定位置までせり出す。このポンピング作業をしないで走り出してしまい「ブレーキが効かずに慌ててしまった!!」なんて怖い経験は絶対にしたくないものだ。またホイール回転は力強く行い、ブレーキパッドとローターの引き摺りや抵抗感には要注意。ブレーキレバーも力強く握り、ホイールをしっかり回転停止させよう。

POINT
  • ポイント1・ブレーキパッドとローターが引き擦るときには、ローターやキャリパーの取付状況を確認してみよう
  • ポイント2・引き摺りが無くコンディションが良いときには、敢えて分解する櫃作用性は無い。何らかの理由で分解するときにはマーキングを入れておこう
  • ポイント3・締め付け座の汚れは必ず洗浄し、オイルストーンで締め付け座を面出ししてバリなどは取り除こう

純正流用カスタムが流行った90年代。性能アップや見た目を変えられるメーカー純正他機種用品を流用し(メーカーの垣根を越える場合も多かった)、自身の愛車に取り付けるカスタマイズが流行った。センス良く決まった例もある中で、なかには危険な状態を作り出していた例もあった。単に取り付ければOKではなく、安全性や機能性にもしっかり配慮した取り付けやモディファイが重要なのは言うまでもない。このGPz900Rニンジャカスタムは、ロータースペーサーを追加装着することで、他機種用純正ブレーキローターを組み付け大径化を実現。さらにブレンボ製対向4ポッドキャリパーを装備することで、ノーマル仕様とはまた違った、強力なブレーキ性能を獲得している。

状況確認しながら各パーツを組み付けることで、狙った性能を得ることができるが、何も考えずに組み付けたり、分解整備してしまうことで、復元後にそれまでとは違った印象に変わってしまうことがある。本来の性能やフィーリングを維持するために、分解時(分解前)には、ローターの組み付け位置やスペーサーの締め付け位置が変わらないように、マーカーペンでホイール、スペーサー、ディスクローターに明確なマーキングをしておくのが原則だ。何も考えずに分解し、組み立て復元したことで「ブレーキパッドが微妙に引き摺ってしまう……?」といったことになる例も少なくない。組み付け時に微妙なセットアップが行われているケースもあるので、復元時を意識した分解作業は極めて重要なのだ。それがカスタム車特有のメンテナンス実践でもある。

どんな状況であろうと、分解した部品の締め付け面、締結面は、しっかりクリーンナップした後に部品を固定しなくてはいけない。汚れたままやゴミに気が付かずに締め付けてしまうことで、締め付け座面に僅かな歪みが発生し、思い通りの結果を得られないこともある。エンジン部品に限らず、部品を締め付ける際には、しっかり状況を確認し、金属部品で組み立て精度が要求される場合は、オイルストーンを利用して、締め付け座両面を擦って面出しするように心掛けよう。バリを除去し、締め付け座面を平たんにすることで、組み立て精度を高めることができるのだ。それがオイルストーンの役割である。オイルストーンにも大型サイズや小型サイズ、丸棒タイプや三角断面タイプもあるので、利用箇所の状況に応じてオイルストーンのタイプを使い分けるのも良いだろう。

いずれにしても、オイルストーンを利用する際には、オイルをしっかり塗布した「湿間利用」が原則になるので、オイルをしっかり塗布した上で面出し作業を実践するように心掛けよう。

 
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