気がついたときには紛失…復元再生可能な「サイドカバー」の突起修理

サイドカバーをセットしようと押込んだら、バキッと割れてしまったり、押込む突起部分が折れてしまったりなどなど、そんな状況に遭遇したことがあるライダーは数多いはず?バイク整備や磨き込みが好きなサンデーメカニックほど、そんな経験が多いのではないかと思う。そのような不幸に見舞われる原因の多くは、突起を受け止めるゴムグロメットの硬化劣化である。ここでは、突起固定部分を折って紛失してしまったサイドカバーを修理するテクニックをリポートしよう。

デイトナの「型取くん」が威力を発揮

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最近ではホームセンターの工芸商品売り場でも取り扱っている例もあるようだが、我々バイク乗りのあいだでは、デイトナが取り扱っている「型取くん」が有名だろう。お湯で温めることでチューインガムのような柔らかさになる型取り用の樹脂粘土がそれ。沸騰に近いお湯に沈めることで、簡単に柔らかくなりパーツ形状をコピーできる。

破損していないサイドカバーの突起をコピー

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柔らかくなった樹脂粘土をしっかり練り込み、サイドカバー3箇所の突起部分に強く押し付けるように被せた。粘土の量が足りなかったので、このようなやり方になったが、もっと広範囲に巻き付けて突起形状をコピーした方が、後々の作業は楽になる。今回は複製サイドカバーに突起を付けるため、純正サイドカバーの突起をコピーすることにした。

模型屋さんで購入した樹脂素材のハイキャスト

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コピーで新規製作する突起部分はハイキャストレジンを利用した。模型店などで売っている、自作フィギア作りには欠かせない商品である。電子秤を使って規定の比率でA液とB液を紙コップに取り、しっかり混ぜ合せよう。プラスチック部品のワンオフに欠かせないのがレジン樹脂だが、耐ガソリン部品作りには、エポキシ系樹脂を利用するのが良い。使用量が少量なので樹脂レジンを買うのは……、と思われる場合は、この突起再生にもプラリペアを利用するのが良い。じっくり時間をかけて作業することで、完全硬化を得ることができ、強度的にも安心できるものとなるはずだ。

樹脂粘土の弾力性を利用して抜き取ったコピー突起型

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A/B液を割り箸でしっかり混ぜてから、コピー型の突起空間にレジンを流し込む。流し込みながら、型を横向きに寝かせたり、コツコツと軽く叩いたりしてエアー抜け促進を行うことで仕上がりは確実に良くなる。油粘土を使って、コピー型を自立させつつレジンの硬化を待とう。30分も待たないうちにほぼ完全硬化する即硬性なのが嬉しいハイキャストレジン。この後のことを考えれば、もっと広範囲に型取りするべきだったと後悔するも、作業はこのまま進めることにした。

厚紙を使って突起の位置を再現できるように

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純正サイドカバーの突起部分を厚紙に押し付け、3箇所の位置関係を明確化してみた。突起位置を再現しにくいときには、同モデル用サイドカバーを借用して、このように位置関係を明確にすることで確実な仕上がりを得られる。突起3箇所の位置決めができたら、マーキング部分を穴ポンチで抜いておく。突起部分をサイドカバーに接着する際には、最終確認でこの厚紙を治具にして突起を差し込むことで位置関係を確認することができる。

複製した突起はプラリペアで固定

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型に流し込んだハイキャストが乾燥したら、樹脂型を指先で広げて複製した突起を抜き取る。樹脂型の合せ部分が羽根付き餃子のようになっているので、羽根部分をニッパでカットしてサイドカバーの所定の位置にセット。プラリペアを使って仮接着しよう。周囲を含めてもっと広めにコピーしておけば、サイドカバー本体との接続時に樹脂型をセットしやすかったかも知れない。突起を仮接着したら、ここでもう一度、位置決め確認で厚紙治具に突起を合わせて確認しよう。位置関係がズレてしまうと車体側のゴムグロメットに突起が刺さらなくなってしまうからだ。位置確認が間違ってなかったら、樹脂板の破片を突起下に縦向きにセットして接着。強度アップを図ることで、後々、突起部分が折れてしまうことがない。位置が決ったらプラリペアで補強しよう。

POINT
  • ポイント1・簡易型取りツールとして使える型取り用樹脂粘土を応用することで様々な部品をコピー=複製できる
  • ポイント2・ハイキャストレジンのようにA液とB液を混ぜてかためるものは、その混合比率をしっかり守って慎重に作業しよう
  • ポイント3・ 接着突起の強度を高めるために、樹脂板のリブを追加接着することで確実に全体強度を高めることができる

現代のモデルは、ボルトやビスでしっかり固定されているサイドカバーやカウル類が多い。70年代以降、プラスチック部品が数多く使われるようになってからの各種カバー類は、ゴムマウント(ラバーマウント)によって部品を振動から保護できるという利点もあって、突起部分の付いた部品をゴム製グロメットに差込む簡単な固定方法が多用された。しかし、ゴム部品は経年変化による劣化で硬化してしまうもの。いわゆるプラスチック化によって弾力性を失ってしまい、サイドカバーなどの突起をスムーズに差し込めなくなることが多い。力強くグイッと押込んだことで、サイドカバー面に亀裂が入ってしまったり、突起部分のマウントが割れて、欠落してしまうなどのトラブルを起こしてしまう。

割れや亀裂の修理にお勧めなのがプラリペアである。樹脂粉末の色には数種類あるので、近似色を利用することで目立たなく補修接着再生することもできる。見た目だけではなく、あくまで高強度に接着したいなら、小型ハンダゴテや樹脂溶着器を利用し、亀裂部分を突き合わせ、双方ともに樹脂を溶かすことで溶着補修もできる。溶着熱によって部品表面の塗装にダメージを与えてしまうこともあるが、樹脂亀裂の接着には最強の補修方法と言うことができる。

ゴムグロメットの弾力性不足に起因したトラブルは多いが、そんな場面に遭遇したとき、第一にやるべきことは「ゴム部品=純正部品の交換と確保」だろう。新品部品に交換することで弾力性が一気によみがえり、その後しばらくは、確実にホールド性と振動吸収性は高まるもの。長年乗り続けていきたいバイクと巡り逢ったときや、今後10年15年以上乗り続けたいと思ったバイクが出現したときには、まずはスペアパーツとして「メーカー純正ゴム部品」の確保から始めるのが良いだろう。

ここでは、樹脂製サイドカバーの固定突起が折れて紛失したときの……。そんな部品の再生修理手順をリポートしているが、型取くん(樹脂粘土)とプラリペアやハイキャストレジンを応用することで、想像した以上に高品位かつ確実な強度を得られる補修作業が可能である。今回のように突起程度の再生や複製なら、プラリペアを利用できるので、サイドカバーや各種カウル類の樹脂部品が割れたり欠落してしまった時などは、何よりも早めの対応で、しっかり修理再生しよう。


取材協力:モデルクリエイトマキシ


 
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