旧車オーナー直伝!旧車・マイナー車との付き合い方のコツ

ネオクラシック、人気ですよね。
昔ながらの雰囲気を残しつつ、車体は最新の電子制御満載で安心。
インジェクションなので始動前のコツなども要りませんから、そりゃあ人気が出るのも解ります。

しかし本物の旧車や、ネオレトロとして発売されそうもないマイナー車が好きな場合はどうでしょうか?
正直なところネオレトロのように購入には踏み切れず、二の足を踏んでしまう方も多いのでは?

では躊躇してしまう理由は何でしょう?
もしかして躊躇する理由がある程度排除できる方法があるなら、本物の旧車の方が良いと思っている方も居るかもしれません。
マイナー車に至っては買うのか買わないのかの決断を迫られる重要項目のはず。
そこで、今回は購入するにあたって気になるポイントごとに、傾向と対策をお教えします!

筆者は30年物のド旧車を現在も元気に走らせていますが、特別恵まれた環境があったわけではありません。
ハッキリ言えば貧乏なので(泣)、「あまりお金を掛けずに」という部分ではかなり参考になると自負しています。(泣)

本物の旧車の魅力とは?


最近のネオクラシックは見た目はクラシックですが中身は最新です。
そしてそれこそが魅力です。

しかし本当に古い車両の場合は現代の便利な機能は一切ありません。

ABSもトラクションコントロールもインジェクションもジャイロセンサーも高度なコンピューターもありません。
そんな欠点だらけの旧車ですが、だからこそ得られる魅力があるのも事実。

それは現代の車体では絶対に不可能な「音」「振動」「匂い」「デザイン」
ファッション系の方はこれらの魅力にノックアウトされている例が多いですね。

また、乗りこなす事そのものが難しいので、上手く乗りこなせた時の達成感がスゴイ事も魅力です。
そういったライディングの比重が大きい方はリアルタイムでそれらの旧車を経験した歴戦の勇士が多いように感じます。

ようするに『自分の培ったテクニックを駆使してコンピューターの介入無しにダイレクトに操作する事の楽しさ』が現代の最新型を凌駕しているのが魅力と言って良いでしょう。
誰にでも乗れるワケではない、ましてや乗りこなすとなると……。
そういうのがロマンなのです。
形だけソックリな最新型では納得できない理由がソレです。

マイナー車の魅力とは?

マイナー車は元からマイナー車になるために生まれて来たわけではなく、設計者の熱い想いが凝縮され過ぎた結果、大多数の方には理解できなくなっただけの事が多いです。
逆に言うと設計者の意図と波長が合った場合、他の何物にも代えがたい唯一無二の存在となります。

しかも技術者の夢と希望が詰まった車体。
嗚呼、しかし残念ながら夢と希望が壮大すぎて一般人には理解できなかったり、夢とは違う部分に大問題を抱えてしまっていた為に「ウリ」の部分は正しく評価される事もなく歴史の谷間に消えていったモデルも多数……。

だがしかし!
大多数の人には理解できなくても俺にはコイツの魅力が解る!
多少の欠点なんかクソクラエ!

それがマイナー車に根強いファンが居る理由でしょう。
そして、そんな特別な車体に巡り合えた人は幸せに決まってます。
似たような車両は後にも先にもソレ1台しか無いので、オーナーは絶対に手放しません。

また、どこに行っても絶対に誰とも被らないとか、そもそもレア車を所有している事そのものに悦びを感じるタイプの方も居るはずです。

旧車・マイナー車で困る事、心配な事

そんなこんなで旧車やマイナー車に惚れ込んでしまったとしましょう。
ああ欲しい、でもでもでもでもやっぱり不安……。

そんな不安要素は大まかに下記の項目になると思います。
項目ごとに傾向と対策をまとめました!

修理部品が無いのでは…


『人気のある旧車』という特殊なジャンルは特に部品には困りません。
カワサキだとZ系やNinja系、スズキならKATANA系や油冷系、ホンダならCB系やCB-F系、ヤマハならRZ系やSR系などがそうでしょうか。
比較的最近の車種だとNSR250なども比較的部品のある部類かと思います。

これらの人気車種は社外パーツも多く、特に昔から旧車で昔から人気のあるZ、KATANA、CB-F系は走らせる為の部品で苦労するような事はまずありません。
ホントに何でもあります。

ただし、オリジナル(メーカー純正)に拘ると、突然難易度が跳ね上がります。
フレームは再塗装されていないオリジナル塗料でなければダメ!等になると、車体を確保するのも至難でしょう。

どちらにしても、これは事故車を購入しておくのが最も手っ取り早い方法であったりします。
マイナー車でも全く同じです。

ネットオークションなどで部品を少しづつ集めればお金は安く済むかもしれませんが、それに掛かる時間まで考慮すると、時間のある若い方以外はオススメしかねます。
何か問題が起こった際に使える部品を引き剥がせるかもしれない車体があると言うのは、時間短縮と安心感に絶大な効力を発揮します。
可能であれば1台と言わず2台でも3台でも確保しておきたいところ。

壊れるのでは…


これは難しい問題です。
壊れると言えば壊れますし、壊れないと言えば壊れません。

例えば新型ネオクラシックのように、乗りっぱなしでも数年は壊れる心配が無いといった事はありません。
なぜなら既にその「数年」は経過しちゃっているから。

ですので、乗りっぱなしにするとかなりの確率で壊れます。
機械は使っていれば減ったり傷んだりするので、何もしないでそのまま使い続けたら壊れるに決まってます。

しかし……。
一度しっかりメンテナンスし、新車並みとは言わないまでも消耗部品をキッチリ交換すれば(単に部品交換すれば良いというものではなく、組付け方などにも工夫は必要ですが)単なる『良く整備された中古車』になります。
そんなに簡単に壊れるものではありません。

「壊れる」という話は旧車オーナー特有の「壊れた自慢」が大きくなっている場合と、しっかりメンテナンスが完了していないまま乗り続けてしまっている場合のどちらかです。
もう一度書きますが、キッチリ整備されていれば単なる中古車です。

維持費が心配…


「キッチリ整備」と言ってもお金が掛かるのが心配……。
これも大きな不安材料でしょう。

これは各々の整備技術が強烈に関わってきます。
自分で出来れば無料の整備も、バイク屋さんに依頼すれば当然お金が掛かります。
また、そもそもどこを整備したら完調になるのかわからない、もっと言えば現在の状態が完調なのかどうかが判断できない、そんな問題もあるでしょう。

そういった判断も含め、古いバイクの修理も受け付けてくれるお店に最初は丸ごと整備を依頼してしまうのが最も手っ取り早いです。
もちろん車体丸ごとの整備なのでかなりのお金は掛かります。
しかし、結果としてこの方法が最も安上がりだったりします。


アマチュアでプロ級の整備技術と整備環境がある人はハッキリ言ってほとんど居ません。
自分では自信があるつもりでも、プロの目から見るとまるでダメなんて事はよくある話です。
ネジの締め付けトルクにしても中古のネジと中古の部品を使う事になるので、メーカーのマニュアルに書いてある規定トルクでは最適ではないなど、かなり特殊なコツが必要になります。
トルクレンチで規定値で締め付けたからOKという新品の世界ではありません。

そこで、百戦錬磨のプロに最初にビシッ!と整備してもらえば、そこが正しいスタート地点とする事ができます。
あとは自分で挑戦してみても大丈夫。
調子を崩しても最初の段階に戻るようにすれば良いだけ。

また、自分で元に戻すのが無理でも、バイク屋さんに再度持ち込めば悪い部分を的確に見抜いてその部分だけを再びキッチリ整備してくれるのは間違いありません。
なにしろプロなので、一見「そんなので良いの?」という整備に見えても、その裏には確かな経験とカンに基づいた根拠があるものです。

また、予想だにしない他車パーツ流用知識を持っていたり、未経験の車体でも構造から判断して流用出来そうな部品を探し当てるなど、 長年バイクショップを営んで来たからこそ出来るプロならではの技が炸裂しまくること請け合いです。
ネットの知識だけでは決して得られない地味な知識や技がてんこ盛り!

正直、費用はピンキリです。
車両の状態が各々で全く違うのと、どこまでキッチリ整備するのかで激変してしまう部分でもあります。

あくまでも私の感覚になってしまいますが、通常の数年落ちの中古車と比較しておおよそ3倍の整備費が掛かるイメージです。

これを高いと感じるか安いと感じるかは人それぞれだと思いますが、仮に新車で購入した車両を乗り続け、数十年後も完調で乗ろうとしたらそのくらいは掛かりそうな気がしませんか?
旧車やレア車ならではの魅力代だと思えるかどうかと、通常の3倍という整備費が捻出できる余裕があるかがキモです。

修理してくれる店が無いのでは…


ではバイクショップにお願いしよう!と思っても、今度はお願いできるショップを探すのが一苦労です。
なにしろ古かったりマイナーだったりするので、並みのショップでは丁重にお断りされてしまいます。

そんな時こそインターネット!
いきなりショップを探すのではなく、欲しいと思っている車両を整備しているオーナーの日記などを見まくるのがコツです。
すると、自分では出来ない事をショップに依頼している日記があるはず。
更に探せばショップの名前や、場所などが書いてあるかもしれません。

『腕の立つメカニックが一人でやっている小さな店』は自社ホームページを持っていなかったり、持っていても全く更新されていなかったりします。
中古車情報サイトなどにも掲載されていないので(そもそも販売用の中古車を持っていない事も多い)、実際のオーナーの書く整備日記はほとんど唯一のショップへの道しるべだったりします。

購入前にこれらの整備日記を探して見まくるのは、旧車やレア車を購入する前の大事な儀式です。
オーナーはそういったデキる店を隠したがるクセがあるのと、小さなショップは様々な方から依頼された整備で業務が溢れるのを嫌う傾向があるので、オーナーの日記では店名が隠語になっている事も多々あります。
まるでパズルのように情報を組み合わせないとショップ情報に辿り着けないのが普通ですので、パズルを解くのも楽しみの一つだと思ってください。

尚、ツーリングスポットなどで探していた車両に乗った人が偶然居た場合、オーナーに直接相談してみるのが最も近道です。
最初は邪険な態度を取られるのがお約束ですが、本当に購入を検討している事が伝われば、表向きは渋りながらも嬉々として教えてくれるでしょう。
敢えて旧車やレア車に乗っているライダーは概ねそういう傾向なので。

修理してくれそうな店が(店主が)怖い…


やっと見つけたウデが立つ(と思われる)ショップ。
ところがそういう店は新車ディーラーや大型店や街のバイクショップとは異なり入店に勇気が必要な外観をしている事が多いです。

「カンバンが無い」なんて序の口。
店の場所が奥まっているので入ったが最後黙って戻る事ができないとか、全くバイクショップには見えないとか、油汚れが染み付いていてやたら汚いとか、常にシャッターが下りているけどちょっと持ち上がっているので営業しているっぽい、などという激しい店まであります。
とても入りにくい……。

しかも経営者=メカニックとして一人で切り盛りしている事が多く、気難しそうな顔で真剣に整備している姿などが見えると、気軽に声を掛けられる雰囲気ではなかったりするのもお約束です。
中が見えない地下のBARに入店したり、一人で焼肉店に入店したりするのと同じで、敷居の高さはハンパではありません。

ただし、全てに共通するのは入ってしまえば何という事は無く、慣れてしまえば全く躊躇しなくなるという事です。
例え店主が怖そうに見えても、何年もバイク屋を経営しているという事は中身はマトモだという証です。

店構えがアレな事が多いのは、そもそも多数のお客様に車両を販売する気が無いためである事が多いです。
どのみち一人で作業しているので大量にお客様が出来ても依頼に対応できないので、他のお客様に迷惑が掛からないように軽い気持ちのお客様を排除するのが目的だったりします。
ようするに商売っ気が無くて真面目なのです。
そうと知ったら途端に店主の人柄に愛着を感じたりしませんか?

「いらっしゃいませ!よろこんでー!」な店舗しか経験が無いと最初は相当レベルが高いのですが、大丈夫!
その旧車が欲しい!そのレア車が欲しい!という真剣な気持ちがあれば必ず応えてくれます。

逆にそこまで真剣に欲しいわけでもないハンパな気持ちで訪問すると返り討ちに会うのも確実なので要注意。
もともとそういうハンパな気持ちの方を排除するのが目的なので、当然です。
旧車もレア車も覚悟の要る事が解り切った乗り物なので、その覚悟があれば大丈夫!

カスタムパーツが無いのでは…

無いです。(キッパリ)
修理部品の項目で書いた『人気のある旧車』という特殊なジャンル以外はカスタムパーツなんかありません。
旧車なだけなら探せば少しは当時のカスタムパーツがあるでしょうけれど、レア車に至っては当時からそんな物は無かったので今さら発売される事もありません。

旧車で当時のカスタムパーツが欲しい場合は探すしかないです。
ただし、やっと見つけても状態が良いとスゴイ値段ですし、マトモな値段の物はヒドイ状態な事が大多数。

そこで役立つのが上で書いた一見さんお断りみたいな店です。
ヒドイ状態の部品を再生してくれる可能性もありますし、何ならパーツそのものを持っていたりします。

また、カスタムパーツが無いと言っても、それは『専用設計でボルトオンの物が無い』だけで、他車種流用や汎用品の加工流用でかなりの部分がカバーできます。
電装系などはほぼ流用で何とかなると言っても良いでしょう。
ベアリングやオイルシールといった物も、その多くは規格品なのでかなりの確率で汎用品が使えます。

それに、そういった部品を探すのも旧車やレア車の楽しみの一つだったりします。
全然関係無さそうなメーカーの部品がピッタリ装着できたりすると感慨もひとしお。


それでも無ければ作ります。
というか、作るのは基本です。
ボルトオン生活に慣れている方には衝撃かもしれませんが、ホントに何でも作ります。
マフラー、ステップ、ガソリンタンクなどの大物の他、ちょっとしたステーやスペーサーなどは作った方が早い(結果として安い)です。

そこまで行かなくても、他車パーツを丸ごと流用するカスタムは普通です。
フロントフォーク、スングアーム、ホイール、外装、などなど……。
他車種用部品の流用カスタムは雑誌などで良く見かける手法ですが、やむを得ない事情でそうなっている場合も多々あります。

まぁ何とかなるもんです

いろいろ書きましたが、その車体が本当に好きなら絶対に買うべきです。
仮に維持できなくて売る事になったとしても、所有していた記憶、乗った記憶は残ります。
それってステキな事じゃありませんか?

それに、本当に惚れ込んでいるなら多少の困難は乗り越えられるものです。
もともと乗りこなす事が困難な物、世間にはほぼ無い車種と知っているのにそれでも乗りたいと思ってるワケですから、多少の困難なんて楽しみの一部ですよ。


この記事を最後まで読んでしまった方に対して本質的な事を言えば、旧車にしてもマイナー車両にしても『その車両でなければ得られない魅力』があり、運良くそれに気づいてしまったのならもう逃れられません。
欲しかった車両に良く似たネオレトロで妥協するのは不可能です。
自分は騙せません。
ネオレトロの魅力と旧車・マイナー車の魅力は全く違うところにあるので、そもそも比較する対象ではないのです。

エイヤー!で買ってしまえば何とかなるものなので、沼の深淵に触れてみる事をオススメします。

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