鉛用ではダメ!リチウムバッテリーに専用充電器が必要な理由とは?

寒くなってくると低温でも大電流が取り出せて始動性に優れるリチウムバッテリーが羨ましくなって来るもの。
価格もこなれて来て普通の鉛バッテリーを購入するのと大差なくなって来ています。
次はリチウムかな……って思ってません?

しかーし!
リチウムバッテリーって専用充電器で充電する事が指定されていますよね?
充電器代まで含めると結構高いし、何とか手持ちの充電器で充電できないものか……。
車載では普通に充電出来るんだし平気なのでは?
皆様にささやかな幸せとバイクの知識をお送りするWebiQ(ウェビキュー)。
今回はリチウムバッテリーはなぜ専用充電器が必要なのか?です!

リチウムと言ってもイロイロある


リチウムバッテリーを名乗るバッテリーは世の中に各種ありますが、全部同じではありません。
バイク用のリチウムバッテリーとしてよく目にするだけでも「リチウムイオン」「リチウムポリマー」「リチウムフェライト」の3種類があります。
現にWebikeで検索してみると、リチウムイオンでは181件、リチウムポリマーでは58件、リチウムフェライトでは23件がヒットしてしまいます(2020年12月現在)。

基本的にリチウムポリマーとリチウムイオンは同じ物で、リチウムフェライトだけは少し異なる物です。
つまり、大きく別けると2種類のリチウムバッテリーがある事になります。

リチウムポリマー(=リチウムイオン)はLi-PoやLi-ion、リチウムフェライトはLi-Feと記載されています。
Li-Poは「リポ」、Li-Feは「リフェ」と呼ばれる事も多いですね。

ただ、大きな枠では全てリチウムイオンとなる為、種類を問わずリチウムバッテリーとも呼ばれてしまい、ややこしさに拍車を掛けています。

リチウムバッテリーの構造


従来型の鉛バッテリーは液入りでも密閉式でも鉛と希硫酸を使っている事に変わりは無く、1.2Vの電圧を発生するのが基本です。
これ(1セルと言います)を10個直結すると12.0Vになり、馴染みのある電圧になります。

ところがリチウムバッテリーは1セルで3.8Vの電圧を発生するのが基本です。
全然違うやんけ……。
このセルを3個直結して11.4Vを発生させるのがリチウム電池の基本です。

種類の異なるリチウムフェライト系は1セル3.2Vの電圧が基本で、このセルを4個直結して12.8Vを発生させます。
やっぱり全然違うやんけ……。

あと、普通のリチウムバッテリーは電圧が12.0Vに届いていないし、リチウムフェライトは12.0Vを飛び越えちゃってるし、こんなのでホントに良いの??と思うかもしれませんが、 従来型の鉛バッテリーも12.0Vと言いつつも実際に電圧を測ると状況によっては13.0Vを超えている事もあったりします。
ですので、メーカー技術者の方は大変ですが我々一般ユーザーはあまり気にしなくて大丈夫。

でも、この時点で従来型充電器が使えなそうな雰囲気がプンプンしています。

リチウムバッテリーは管理がシビア!


1セルの発生電圧が鉛バッテリーと全然違うリチウム電池ですが、直結した合計電圧はだいたい12V前後で、鉛バッテリーと同等になります。
だから従来型バッテリーと置き換えてバイクに使えるのですね。

しかし、リチウム電池には鉛電池と決定的に異なる特性がいくつかあります。
大電流が流せる低温でも性能低下しにくい、エネルギー密度が高いので小さくて軽い自然放電(自己放電)しにくい、といったバイクにとってメリットのある特性が有名ですが、もちろんその裏側にはデメリットも潜んでいます。
それは電池残量と充電が非常にシビアな事!

まず最初に大事な事。
リチウムバッテリーは過充電(フル充電になった後も充電を続けること)や過放電(貯蓄してある電気が空っぽになってしまうこと)を行うと、一発でバッテリーが使えなくなったり充電できなくなったりします!

特に過放電はシビアで、ある電圧を下回ったところで2度と充電が出来なくなります
空っぽになるまで放電してもすぐに充電すれば復活する鉛バッテリーと大きく違う部分です。
自己放電しにくいとはいえ車体に搭載したまま長期間放置したりすると、メインキーがOFFの状態でも僅かに流れる電流(イモビライザー動作用など)で電圧が下がって行く事があるので要注意。

過充電や充電電圧の上昇もシビアで、14Vを超えるような充電電圧を掛けると、これまた2度と充電できなくなります

だから、リチウムバッテリー専用充電器は絶対にその電圧を超えないように、絶対に過充電にならないように、常にバッテリーの状態をモニターしながら充電を行っています。
専用充電器が高価な理由です。
従来型鉛バッテリー充電器との違いはそこで、充電電圧、充電電流、充電停止の管理方法が全然違うのです。

専用充電器とバッテリーを組み合わせた場合、ブランドによっては+や-の端子から充電せず、専用の充電コネクターから充電する物もあります。
これはバランス充電と呼ばれるもので、バッテリー内にある3~4個のセルごとに単体で充電を管理し、充電終了時には全てのセルが均一に満充電になるように制御を掛けている充電方法です。

また、通常の端子から充電を行うバッテリーでは、バッテリー内部に各セルの状態をモニターする装置を内蔵しており、これによってどこかのセルだけが過充電状態に陥って機能停止する事を防いでいます。
こういった機能はBMS(バッテリー・マネージメント・システム)と呼ばれています。
各社で微妙に名称や役割が違う事もあるのでややこしいのですが、『リチウムバッテリーは充電時に何らかの制御をしている』と思ってもらえればOKです。

ところで、使っているうちに各セルの電圧レベルがバラバラになってくるのはバッテリーの宿命みたいなもので、鉛バッテリーでも起こる事です。
鉛バッテリーでは各セルで多少バランスが崩れていても影響は少ないですが、リチウムバッテリーの場合はセルのどれかが過充電になっただけで終了してしまいます。
だからこそリチウムには専用充電器が必要になるのです。

鉛バッテリー用充電器が使用できる場合もあるが・・・


専用充電器が必要と書きましたが、従来型の鉛バッテリー充電器でも「条件さえ揃えば」「ある程度は」充電することが可能な場合があります。

長たらしく書いていますが、『条件さえ整えば』という部分が物凄く大事で、ちょっとでも条件から外れると良くて2度と充電できなくなりますし、わりと簡単に発火や爆発の領域に達します
正直、全くオススメできません!
メーカーで専用充電器を使うようにしつこく書いてあったり、各社が専用充電器を用意してあるのは、従来型の汎用充電器で充電するのが激しく危険だからです。

従来型の鉛バッテリー充電器は「接続している間は一定電圧を流し続ける」という単機能で安価な物は稀で、大半の充電器は何らかの機能を持っています。
パスル充電、トリクル充電、サルフェーション除去、バッテリー活性化……、そんな機能が付いているのが一般的ですが、これらの高機能が全てリチウムバッテリーの破損につながります。

パルス、サルフェーション除去、活性化を謳う充電器は14Vを大きく超える高電圧を断続的に流す事を意味しており、リチウムバッテリーに致命的な損傷を与えます。
トリクル充電は弱小電流が流れ続けますが、リチウムバッテリーはもともと自己放電しにくいので、僅かとはいえ充電し続ければ過充電となってリチウムバッテリーに致命的な損傷を与えます。
充電完了後に自動的に充電を終了するオートカット機能を持っている充電器も多いですが、充電器が「満充電になった」と判断する条件が鉛バッテリーとリチウムバッテリーでは異なるので、オートカットが効かず過充電となってしまってリチウムバッテリーに致命的な損傷を与えます。

というワケで、従来型の鉛バッテリー充電器が使用できるのは下記の条件に合致した場合のみ!

 ■ 接続している間は一定電圧を流し続ける単機能充電器である事(過電圧防止)
 ■ 急速充電器ではない事(大電流防止)
 ■ バッテリー本体にBMSが内蔵されている事
 ■ バッテリー満充電までの予測時間が計算できる状態にある事(過充電防止)
 ■ 満充電手前80%程度のタイミングで充電終了できる事(過充電防止)

どうです?!
条件的に実質不可能ですし、やる意味も無いですね!

専用充電器はエライ!


このように、鉛バッテリーとは全く異なるリチウムバッテリーの特性に合わせた充電器がリチウム専用充電器です。
リチウムバッテリーの性能を無駄にしなくないなら、高価なリチウムバッテリーを一発でゴミにしたくないなら、絶対に専用充電器を使うべきです。
いやホント、マジで。

 
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