ローレット加工とは?どんな効果があるの?

バックステップなどで良く見る言葉
実は良くわかってないけど何だかスゴそうな加工、ローレット加工。
うん、いやまぁ何となくはわかってるんですよ?
アレでしょ?ギザギザになってるヤツ。
やっぱ良いよね、ローレット加工。
アッハッハー!

しかーし!
ギザギザに加工されてりゃ何でもローレット加工ってワケではないのですよ。

皆様にささやかな幸せとバイクの知識をお送りするWebiQ(ウェビキュー)。
ヤスリだってギザギザだけどローレット加工じゃないぜ!

とか言いいつつ実は……


金属表面が幾何学的なギザギザに加工されていれば何でもローレット加工です。
なんだとこの〇〇野郎!騙したな!
……と言われてしまいそうですが、まぁ落ち着いて。

「ローレット加工」と言う言葉

そもそもローレット加工という言葉は別にバイク業界の専門用語ではなく、金属表面の加工形態を示す言葉として普通に使用されている言葉だったりします。
もちろん大多数の一般の方は金属加工に関わらないのでそんな事は知った事ではないですが。

とりあえず金属加工後の形状として滑り止め効果を狙って表面に規則的なギザギザを付ける事を総称して「ローレット加工」と言います。

例えば高級オーディオのボリューム調整ダイヤルとか、ベンチプレス用シャフトの握る部分とか、精密ドライバーの軸とか、高級シャープペンシルの握り部分とか、わりと幅広く使われています。



お気付きかもしれませんが、ステップバーのように網目状にギザギザ加工された物だけでなく、縦筋だけのローレット加工もあります。
精密ドライバーの軸とか、モロにこの縦筋ローレット加工ですね。



これが広義のローレット加工です。
なので、金属表面がギザギザに滑り止めされていれば、それが網目状だろうと筋状であろうとブロック状であろうとローレット加工になります。

バイク業界の「ローレット加工」

ところが、バイク業界という狭義に絞ると少し事情が変わってきます。
金属表面に滑り止めのギザギザを付けるとしても、そのギザギザの付け方(金属表面をギザギザにする加工方法)によって呼び方が変わるのが一般的です。

高級なバックステップなどで採用されれいるステップバーは滑り止めの為に表面をマシニングセンターで加工されていたりしますが、そういう加工は「削り出し加工」とか「切削(せっさく)加工」と呼ばれるのが一般的です。
ローレット加工とはあまり言われません。



ではバイク業界でのローレット加工が何を指すかと言うと、削り出しではないギザギザの滑り止めを指す事が多いです。
世間一般の広義では削り出しでも削り出しでなくてもローレット加工なんですけどね。



でも呼び方を変える事で差別化を図れるのと、その滑り止め加工がどのような方法で製造されているのか?という判断がしやすくなるので別に構わないと思います。
削り出しで製造されたステップバーを指して「これもローレット加工だぜ」と広義の知識自慢をしたところで何のメリットも無いですし。
意味が伝わりやすい方が良いに決まってます。

削り出しでないローレット加工とは?


上記のようにバイク業界で「ローレット加工」といえば、一般的には削り出しや切削でない加工形態を指します。

その製造方法は、『ギザギザにしたい模様とは逆配置で凸凹になっている超硬いローラーをローレット加工したい部分に押し付けて凹ませる』という、なかなかビックリな原始的方法を使います。

イメージしにくい方のために強引な例で言うと、ハンドルグリップを外してパン生地の上をコロコロ転がしたらパン生地の表面にハンドルグリップとは逆パターンの模様が残りますよね?
これはパン生地よりハンドルグリップの方が硬いからそうなるのですが、それと同じ事をやっているのがローレット加工です。

ちなみに原始的と書きましたが綺麗な模様を付けるのは言うほど簡単ではありません。
ギザギザを形成するための超硬いローラーは素材に押し当てて一発でギザギザを形成する事は稀で、押し当てたまま何度も転がして深い溝を刻むのが一般的です。
綺麗なギザギザを形成するには超硬いローラーが毎回同じ位置を正確に通過しなければなりません。
これが難しい。
適当に作業すると必ずズレてしまい、エッジが甘いローレットパターンが刻まれてしまいます(そういう状態を「眠い」とか「甘い」と言います)。

それぞれの特徴

このように広義では同じローレット加工でも、バイク業界では「削り出し(切削)加工」と「ローレット加工」がある事がわかりました。
もちろんそれぞれには特徴があるので、ザックリとまとめておきます。

いわゆる削り出し(切削)の場合


滑り止め加工を施したい部分に溝を掘っていく加工になるので、溝の端がシャープで尖っているのが特徴です。
細かいピラミッドを並べたようなパターンであれば、そのピラミッドの頂点は鋭利に尖った形状になりますし、溝を掘るタイプであれば、溝と素材平面との段差はカチッ!とした段差になります。

何しろエッジがシャープなので食いつきは抜群。
滑り止めという本来の効果を考えれば最高の引っ掛かり性能を発揮してくれます。
ステップバーなど、本来はブーツの底で踏まれた際に最高の滑り難さを発揮するように設計されている物であれば、手で握ると血が出るほどエッジがシャープです。

弱点は加工の為には1品づつ機械加工しなければならず、非常に手間(時間)が掛かる事に尽きます。
このため、価格が上昇してしまうのです。

いわゆるローレット加工の場合


超硬いローラーに刻まれたパターンにもよりますが、基本的は「押し付けて模様を転写する」事になります。
ギューっと押された部分は凹んで、押されてない部分に逃げていく事になり、この結果として凸凹のパターンが転写されます。

ただし、押し出されて盛り上がった部分は周りから押された素材の集合体なので、段差などのエッジはどうしても丸くなりがちです。
細かいピラミッドを並べたようなパターンであれば、そのピラミッドの頂点は四方から盛り上がってきた素材が集まっただけなので鋭利で尖った形状にはなりにくいです。
と言うより、完全に盛り上がりきれず頂点は凹んでいるのが一般的。

溝を掘るようなパターンでは溝と素材平面との段差が切削加工ほどシャープにはなりません。
エッジが丸いという事は食いつきが悪いという事でもあり、同じパターンであれば削り出し加工の場合よりも滑り止め効果は低くなりがちです。

ただし、超硬いローラーを転がすだけでパターンを量産できるので製品価格が安くなります。
これはこれで魅力的……。

特に比較的短期間で消耗する事が前提の部品であれば(例えばレース用のステップバーなど)、高価な削出しである必要は無いという考え方もあります。
また、アルミ製のハンドルバーでは左側のグリップが抜けないように滑り止めとしてローレット加工されている場合が多々ありますが、そんな場所はローレット加工の滑り止めで十分効果があり、ワザワザ高価な削り出し加工をする意味は実質的にありません。

このようにそれぞれ一長一短ありますが、欲しい性能と価格のバランスを見つつ、用途に合わせて選択できれば幸せになれるはずです。

オマケ:そういえばヤスリってローレット加工なのでは?

同じパターンが繰り返しされている表面で凸凹した突起でザラザラを形成している……それがヤスリ。
これだけ見ると「広義のローレット加工」に相当する気がしますよね?
ところがコレが全く違っていて、ヤスリは超特殊な製法で作られています。

残念ながらヤスリマニアを自称できるほどヤスリに詳しくはないので、もしかすると切削加工でヤスリ歯を形成したヤスリがあるかもしれませんし、ローレット加工で目立てしたヤスリも存在するのかもしれません。
しかし、ヤスリの大部分はそういった製法で作られていません。

ではどうやってあのザラザラを形成しているのかというと……、なんとあのザラザラ1個1個についてタガネを打ち込んでササクレ立てているのです。(!)
もちろん機械化されて連続してタガネを打ち込めるようになったからこそ100均でヤスリが買えたりするのですが、ちょっとビックリですよね。

機械化された目立て作業で製造された量産品でも製造行程で特殊なノウハウが物凄く必要だそうで、全自動でバンバン量産できるものではないそうです。
ローレットもエライけどヤスリもエライ!


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