洗うのは最終手段!バイク洗車のメインは拭き掃除です!

「洗車」という文字からしてそうであるように、洗車は水をかけて「洗う」のが一般的です。
まず最初に水をかけて表面の汚れを洗い流し、水分を拭き取り、ワックスを掛けて、ツヤツヤの外装を見て大満足!
大多数の方のイメージする洗車はコレでしょう。

しかーし!
それは表面的な部分がキレイになっただけ。
本当に大事な部分は全然洗えていません

皆様にささやかな幸せとバイクの知識をお送りするWebiQ(ウェビキュー)。
今回はバイク洗車の常識を覆させていただきます。

「洗車する」と聞いてイメージする事


大多数の方が理想とする洗車は、上記の画像のようにピカピカでテッカテカでぬらぬらの綺麗なボディに仕上げる事なのではないかと思います。
確かに素敵ですよね。

実はバイクの塗装は車の塗装なんか比較にならないほど表面が平滑で、バイクのガソリンタンク表面を見た後で高級車のボディ表面を見ると表面の凸凹っぷりに驚くと思います。
車は塗装面が大きいので全体ではヌルテカに見えますが、一部を切り出して見てみるとボコボコ。
もともとバイクの方が圧倒的に綺麗な塗装面なので、ワックスやコーティングの効果も抜群!

でも、そこに落とし穴があります。
ついついボディ表面やホイールのリムを綺麗にする事が洗車の目的になってしまいがちですが、それでは表面が綺麗になっただけに過ぎません。

何のために洗車するのか?


確かに見た目がキレイになる事は大事です。
小汚い車体では大事にしようとする気が失せるので。
汚いという事は整備していないという事ですが、汚いままだと更に整備しなくなるし、多少の転倒もいとわなくなるのでボロさが加速して行くからです。

極論を言えば車体が汚いと愛車を大事にしようとする意識が低くなり、結果として「絶対転倒しないぞ!」という安全意識の低下を招いて事故に合う確率にまで影響すると思います。
極論とは言え、あながち間違っていないのでは?

そして、安全性を意識するなら、見た目だけを綺麗に洗車してもダメだと直ぐに気が付くでしょう。
安全意識は車体表面の見た目から生まれるかもしれませんが、安全の為に大事なのは表面からは見えない部分です。

ようするに「洗車」で最も大事なのは車体の機能を損なわないように車体を整備する事です。
整備の最終仕上げに外装もピカピカにするだけで、そっちがメインではありません。

外装をピカピカにするのが主目的の4輪車の洗車イメージでバイクを洗車するのは片手落ち。
バイクはもっともっと繊細な乗り物です。

洗うべき場所は車体

上記のような理由により洗うべきは車体側だと理解してもらえたと思います。

ところで、車体側は外装と違って水を掛けて拭き上げただけでは全く綺麗になりません。

ではどうするか?
これは濡らす前に拭いて掃除します。
濡れてしまうと一気に掃除しにくくなるので、「洗車するぞー!」といっていきなり車体に水を掛けてしまってはダメです。
表面のホコリくらいは掃除できますが、油汚れは水を掛けた「洗車」では落ちません。

例外はこの時期だと凍結防止剤や融雪剤の塩化カルシウムで真っ白になっている場合や、表面の花粉を洗い落とさないと花粉症の症状で掃除どころではない場合や、オフロード走行で泥だらけになっている場合など極一部。
そうじゃない場合はいきなり車体を濡らさず、細部を拭いて掃除する事を優先します。

そうなって来ると、「洗車」と言いつつ実態はほぼ拭き掃除になります。
また、奥まった場所の拭き掃除の為には分解整備が必要になる事が多く、「洗車」と言うより整備に近くなります……というか、ほぼ整備です。

つまり、バイクの洗車 = 軽整備と拭き掃除! です。

洗車(整備)に必要な物


バケツと水道とワックスではありません。
それは最後。

必要なのは油汚れを落とすためのパーツクリーナーと乾いた布やペーパータオル、グリスアップするための簡単な工具とグリス、奥まった場所の汚れを掻き出すための使い古した歯ブラシ、こういった物が重要です。

4輪車で使うような、いわゆる洗車セットは最後の最後で外装の仕上げに使うだけ。
繰り返しますが、バイクの洗車で重要なのは軽整備と拭き掃除です!

ここを洗うべし!【スイングアームピボット周辺】


見えにくい場所ですし、容易に手が入らない場所なのでとんでもなく汚い事になっている場所です。
リヤタイヤが巻き上げる路面のゴミと砂によって見えない部分がガビガビになっているはずです。

ここはパーツクリーナーを吹きかけてもほとんど汚れが落とせません。
手で磨くしかないのです。
すごく大変ですが、スムーズなサスペンション作動の為にも掃除は大事!

目で見て、手で掃除していると、普段は気付かなかった部品の痛みを発見する事もできます。
リンク式サスペンションならリンクからのオイル漏れ(油滲みがある場合は問答無用で要整備)、ツインショックならシャフトのキズなどが容易にチェックできます。
少し古い車両なら「バンプラバーが粉々になって消失しているのを発見した」なんて事もありがちな話。

ホイールブラシなどでは届かない事が多いので、古いタオルなどを使ってとにかく裏の裏まで擦りまくって汚れを取ってあげましょう。
何か問題を発見したら洗車は中止して整備に移行です。

ここを洗うべし!【ブレーキキャリパー】


ブレーキキャリパーは命に直結する重要保安部品の一つなので、自信が無い方は表から掃除するだけにしておいてください。
ただし、ブレーキキャリパーが汚れているのは当然ながら内側です。
できれば外して洗いたいところではあります。

外して洗う場合、油脂ケミカル類はできるだけ使いません。
キャリパーは油圧を保っているピストンシールというゴム部品がブレーキシステムの要なのですが、このゴムを犯す可能性がある溶剤系ケミカルは使用厳禁です。

キャリパーは台所の食器用洗剤と歯ブラシで汚れを取りつつ水洗いします。
もともと水が直撃する事を想定されているので、洗剤と歯ブラシでゴシゴシ洗った程度では大事なゴムシールが傷んだりはしないのでご安心を。

ただし、汚れたままのピストンを無理に押し込んだりするとオイルシールが破損する可能性大です。
あくまでも「そのままの状態を維持したまま洗剤入りバケツに浸けて丸洗い」となります。

表がキレイなキャリパーでも外して洗ったらバケツの水なんか一瞬で真っ黒になるほど汚い場所です。
掃除の満足度は非常に高いですよ!
パッド残量もイヤになるほどチェックできます。

しかもココをしっかり掃除するとブレーキフィーリングが好転するほど効果的な場所でもあります。
洗車後は足元がビシッと引き締まるので見た目も非常に良くなるからキャリパー掃除はオススメです。
※ブレーキキャリパーは掃除(=整備)に失敗すると命に関わります、自信の無い方は安易に取り外さず、表から掃除するだけにしてください。

ここを洗うべし!【ブレーキディスク】


常に擦れていて銀色の面が見えているのであまり意識が行かない場所ですが、ブレーキパッドの削れたカスが大量に付着している場所です。

カスが付着しているのは主にブレーキディスクに開いている「穴」の中。
マメに掃除してあればホイールブラシで擦るだけで綺麗になりますが、掃除した事が無いならビックリするくらいカスが溜まっているはずです。
ドライバーに頑丈なウエスを巻きつけて抜き差しするのが最も簡単な掃除方法かと思います。

穴の掃除が終わったらディスクの縦方向の面も掃除しましよう。
タイヤに空気入れようとしたら袖口が当たって真っ黒になってしまう部分ですね。

できればディスクのインナー側にある穴の端面も拭き上げておきたい場所です。
ディスクは様々な端面がキレイだと足元がグッとキレイに見えます。
と言うより、ディスク端面が汚いと、どんなにボディ表面をキレイにしても汚らしい印象から脱却できません。

また、掃除していると嫌でもディスクの減り具合がチェックできます。
目視できるほどの段差が出来ている場合は残厚を測ってみてください。
ディスクは両面から減るので、一見大して減っていないように見えても摩耗限界に達していたりするものです。

ここを洗うべし!【ブレーキ&クラッチレバー周辺】


ここはレバーの付け根にあるピボットがしっかりグリスアップされている事が重要な場所です。
ただ、しっかりグリスアップしてあったとしても構造上オイルシールなどは無い場所なので、使用しているとグリスがはみ出してくるものです。
レバーやレバーホルダーはアルミ製の事が多いので、アルミが削れて黒くなったグリスをしっかり拭き取っておきましょう。

ところで、はみ出たグリスを拭き取ったという事は、最初にあった潤滑グリスが減っている事を意味しています。
そして、はみ出したグリスがアルミの削り粉で黒くなっているなら、ピボット内に残されたグリスも黒くなっているという事。
出来れば分解して内部まで掃除し、再度グリスアップし直したいところです。

そこまで行かなくても、レバー周辺を拭き掃除しているとクラッチワイヤーが油分ゼロな事を発見したり、ワイヤーの根本がほつれ始めているのを発見したりできます。
そういうのは流水洗車ではなかなか気付けないものです。

ここを洗うべし!【ドライブスプロケット周辺】


チェーンの掃除をマメに実施してドリブンスプロケット(ホイール側の大きなスプロケット)もキレイにしているという方でも、ドライブスプロケット(フロント側、エンジン側の小さいスプロケット)まで掃除している方は稀だと思います。
なぜならエンジン側はスプロケットカバーがあって見えないから。

内側が汚れているのは知っていてもカバーを外すのは面倒だし、掃除しても見えないし、走行に支障があるワケでもないし、また今度ね!
大多数の方はこうでしょう。

気持ちはわかります、カバーの内側は飛び散ったチェーンルブに砂が巻き込まれてドロドロの惨状になっているので、出来れば一生触りたくないくらい汚いですから。
見えないのを良い事に掃除していない方は非常に多いと思います。

もちろん普通の流水洗車ではスプロケカバー内側の油汚れなんて全く洗えません。
高圧洗車機のノズルを至近距離からブチ当てたとしても根本的にはキレイになっていませんし、スプロケットの裏にはメインシャフトのオイルシールがあるので、そもそも高圧の水を掛けたくない場所です。

しかしココも洗車(掃除)しておくべき場所です。
幸い、カバーはボルト数本で外れる事がほとんどです。
サクっと外して掃除しましょう。

ホントにとんでもない惨状になっている事が多いので、あまりにヒドイ場合は拭き取り掃除では追いつかない事もあります。
パーツクリーナーなんか使ってたらそれだけで10缶くらい使っちゃいそう!

そんな強烈すぎる汚さの場合は「灯油洗車」がオススメです。
真っ黒い灯油がボタボタ垂れるので車体下には段ボールと新聞紙が必須ですが、不要な入れ物に灯油を入れ、歯ブラシを浸してゴシゴシ擦るのです。

灯油も歯ブラシも真っ黒になってしまってエンジンやスプロケットが全く本来の色になりませんが、そんな事は無視して黒い灯油で洗いまくり!
ひとしきり擦って固着しているチェーンルブが無くなったら、最後に汚い灯油を洗い流すためだけにパーツクリーナーを使えば良いのです。

ここを洗うべし!【チェーン】


普通の「洗車」でも洗車の後に掃除と注油される事が多いチェーン。
拭き上げを勧める今回の洗車でも、濡らす濡らさないに関わらずチェーンは重要なので普通に掃除します。

でもチェーンルブでしっかり潤滑されている場合、チェーンは拭き掃除できるものではありません。
極端に粘性の高いベトベトの油が全面に塗ってあるので拭き上げるのは絶対無理。
というワケでチェーンだけはケミカルのお世話になります

水性のクリーナーと油性のクリーナーがありますが、吹き付けた後でブラシで擦るのは同じ。
汚れがダラダラ垂れてくるので地面が汚れないようにしておく必要があるのもの同じ。
手間はそんなに変わらないので、お好みで選んで大丈夫。

また、チェーンを掃除すると飛び散った洗浄剤がどうしてもホイールに掛かるので、飛び散った廃液を掃除するついでにホイール掃除もする事になります。
ディスクやキャリパーの掃除でも汚れがホイールに掛かるので、何にしてもホイールは拭き掃除する事になりますね!

あと、残念ながら既に油分が切れてサビている場合は諦めて交換してください。
サビたチェーンのサビ落としは実質不可能です。
Oリングを痛めずにワイヤーブラシで擦ってサビ落としするのは不可能ですし、サビ置換材を塗る場所でもありません。

そもそもサビているという事は腐食している部分があるという事なので、仮にサビが落とせたとしてもチェーン本来の強度はもうありません。
切れると重大なトラブルに発展するパーツなので、掃除なんかしないで素直に買い替えましょう。

チェーンは安いものではないので、サビで交換する羽目にならないためにもマメな注油はとても大事です。

最後に外装もキレイにしよう!

上記のような主要部分の掃除が終わって、その後でやっとボディの「洗車」です。

でもここまで来れば勝ったも同然
なにしろ残ってるのは見栄えに関わる部分だけなので。

私は基本的にボディ外装も水を掛けないで拭き掃除する派なのですが、このあたりはお好みで良いかと思います。
高価なセーム皮を使った拭き上げでも、最高級カルナバワックス仕上げでも、最近主流のガラスコーティングでも、何でもOK。

ただし、水を掛けて洗った場合は「その後」が大事です。
キレイに水分を拭き上げたとしても、これまた目に見えない部分は拭き上げられていないからです。

どういう事かと言うと……、
バイクが各種パーツをボルトで結合した乗り物である以上、そこには必ず隙間があります。
その隙間が狭ければ狭いほど、毛細管現象で水が入り込んでしまうのです。

フロントフォークとブラケットの隙間、フロントフォークダストシールの内側、フレームとエンジンの結合部、そういった『拭き上げる事が出来ない隙間』に水分が入り込み腐食を招きます。

拭き上げる事はできないので、対策は『蒸発させる』以外にありません。
でもこれは簡単で、洗車後に近所を走ってくれば良いのです。

いったいどのくらいの時間で毛細管現象で隙間に入った水分が蒸発するのかは検証はしていませんが、感覚的に30分ほど走れば水分を飛ばせるのではないかと思います。

それでは皆さん、良い洗車(洗わないけど)を!

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