旧車や絶版車のウインカーやホーンの配線が1本だけ!?そんな時はアース線の追加で作動性改善の可能性あり

交流でも直流でも、電源から出た電流は負荷を通ってもう一度電源に戻ることで回路が完成して作動します。その回路の一部に車体やフレームの金属を使うのがボディアースです。そのため旧車や絶版車の中には、電源側の配線はあっても負荷からの戻り線がない部品も存在します。ウインカーなのに1本線でおまけに作動状態もイマイチなら、アース線を追加するのが効果的な場合もあります。

車体アースなら1端子で理屈は通るしコストを抑えられる利点もあるがが……

002-4.jpg 左右ウインカーで配線色が異なるが、電源側の1本しか配線がない小排気量車用ウインカー。新車時であれば本体アースで回路上の問題はないが、ステーや車体側のサビなどの経年劣化が作動性に影響を与えることがある。外した部品が錆びている場合、復元時にはワイヤーブラシや不織布でサビ取りを行うだけで性能低下を予防できる。

0003.jpg フレームアースの例。バッテリーマイナス端子の配線はスターターモーターにつながり、その先はエンジンアースとフレームアースとなる。一方、メインハーネスのアース線は車体各部の電装部品から次々と配線が集合して、最終的に丸端子にまとまってフレームにボルト止めされている。

バイクや自動車のバッテリーを観察すると、マイナス端子につながる太い配線はクランクケースやボディのフロアに取り付けられていることが分かります。これがフレームや車体を電気回路の一部に使用するボディアースです。バッテリーに直接つながっているのにフレームやエンジンに触れても感電しないのは、私たち側に電源がないからです。もし、メインハーネスで常時通電している配線の端子をフレームに接触させれば、バチッ!!と通電して火花が飛び散ります。燃料タンクの下に集中しているハーネスの束の中で、プラスに通電している配線の被覆が剥けたり端子カバーがずれてフレームに触れると、ヒューズ切れならまだラッキーで、最悪の場合は車両火災につながるおそれがあります。

プラスの電源から配線を伝って電装部品に流れた電気は、部品を通過した後に配線を通じて丸型端子などで車体につながることで回路となるのが一般的です。ウインカーやホーンなどは本体につながる2本の配線のうち、マイナス側はすべて律儀にバッテリーのマイナス端子にまで戻っているというわけではない、ということです。これはサービスマニュアルに掲載されている配線図を見ても明らかで、車体各部の電装部品を通過した配線は束になり、最終的には車体の金属部分に取り付けられていることが分かります。

この理論をさらに合理化、または低コスト化しているのが1本配線の電装部品です。具体的には1980年代以前の機種のウインカーやホーンなどで見ることができました。ウインカーの場合、バッテリーからウインカーリレー、ウインカースイッチ、ウインカーの電球までの回路は配線がありますが、電球を通った後のアース側、マイナス側は配線ではなくウインカーボディ自体が配線代わりとなってフレームやステーに取り付けられることで回路が完成します。

ホーンも同様で、バッテリーからホーンスイッチ、バッテリーの電源側までは配線があり、マイナス側はホーン自体の金属部分を車体に取り付けることで回路としています。この1端子のホーンは現在でも軽自動車や小型車では一般的に使用されています。

POINT
  • ポイント1・バイクや自動車の電気配線で一般的なボディアースの中でも、電装部品自体でアースを確保する例がある
  • ポイント2・ウインカーやホーンなどの電装部品に配線が1本しかない場合は本体がアースされている。ニュートラルランプやプレッシャースイッチも配線1本+直接車体アースで回路が成立する

アースの抵抗値が増えて作動性が悪くなるのが1端子電装の弱点

003-4.jpg 1本線のウインカーレンズを外すと、電球のソケット部分のマイナス側とウインカーボディの間を平編線でつないである。これだけでも相当手が込んでいるが、しかし車体に戻すアースはウインカーボディ頼みとなっている。アース線として新設する黒白n配線は末端処理をしていない側をウインカーステーに通してウインカー内部のビスに配線し、反対側の丸端子をフレームのボルトで締め付ける。現代的な2本線のウインカーも、一方はアース線でフレームに取り付けられるのだが、2本線にすることで取り付け部分が樹脂製カウルであっても回路が成立する。

配線があるのは電源側のみで、アース側は電装部品本体から車体に流すという1端子タイプは、電気回路の原理からすれば間違いではありません。しかし経年変化によって新車時の性能が保てなくなる場合もあります。具体的にはウインカーボディの根元やボルトとウインカーステーのどちらかにサビが発生して接触抵抗が増えれば、電気は流れづらくなるリスクがあります。フロントフォーク貫通型のヘッドライトステーにウインカーが付く機種は少なくありませんが、そのステーがトップブリッジとアンダーブラケットとわずかな点で接触しているだけという場合もあります。

アンダーブラケットに取り付けられたホーンは、ホーンステーとアンダーブラケットはがっちり金属同士ですが、フレームの車体アースにつながるには点接触だったり線接触のステムベアリングを通らなくてはなりません。ウインカーやホーンボタンを通過したマイナス側がハンドルパイプにつながり、そのハンドルパイプとトップブリッジがラバーマウントだった場合、回路としてはかなり心許ない状態かもしれません。

ウインカーの場合、前後左右4カ所のどこか1カ所にアース不良があると、作動が不安定になることが考えられます。この時、ウインカースイッチやウインカーリレーばかりに注目すると、症状が改善できずに悩む羽目になってしまいます。

自動車の例でウインカーではありませんが、テールランプは左右とも点灯するのにブレーキを踏むと片側のテールランプが消えてしまう(ブレーキランプも点灯しない)というトラブル事例があります。ブレーキランプが点灯しないだけならダブル球の一方が切れたと判断できますが、点灯しているテールランプが消えてしまうので混乱します。これこそアース不良の典型例で、バルブソケットの口金から車体に接続するアース線を対策することで症状は治まります。アース用の配線があっても不具合が発生することもあるほどなので、配線のないボディアースが不安定になるのは不思議なことではありません。

POINT
  • ポイント1・1本線の電装部品はサビや導通不良となる要因でアース側が接触不良となることがある
  • ポイント2・自動車のテールランプ/ブレーキランプで発生する不点灯トラブルは、アース不良による電位差不足が原因となることが多い

追加したアース線をバッテリーのマイナス端子に戻すだけで効果てきめん!

004-3.jpg アース線を追加すれば、取り付け部の素材が金属でも樹脂でもウインカーは変わらず作動する。絶版車や旧車の電気モディファイとしてメリットが多い作業である。

ウインカーやホーンやテールランプの金属製本体自体を配線代わりにアースを取っている機種では、専用のアース線を追加するだけで安定感が大幅にアップすることが知られています。ここではプラス側1本線の1970年代のヤマハ原付用ウインカーにマイナス線を追加して、メインハーネスに新設したアース線に合流させました。このアース線は丸型端子でフレームのどこかにビス留めしても、バッテリーのマイナス端子(6V車なのでマイナスリード線を車体に取り付ける部分)に共締めしてもかまいません。

ハンドルパイプにアースされているハンドルスイッチの場合、スイッチハウジング内部のビスにアース線を取り付け、メインハーネスに新設したアース線につなぐことで、ラバーマウントやステムベアリングに影響されない回路が成立します。

1端子か否かが分からない時は、対象となる部品につながる配線の本数を確認すれば簡単に分かります。回路が断絶しているわけではなく、しかし微妙な抵抗が発生する1端子タイプの電装部品の作動性に不安や不満がある場合は、アース線の追加をお勧めします。

POINT
  • ポイント1・1本線の電装部品にアース線を追加することで作動性や安定感が向上する
  • ポイント2・レストアや再塗装によって金属面の露出が減少した際にも専用アース線の追加が有効
 
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