キットパーツが無いモデルにビッグキャブは取り付けることができる!?

愛車のチューニングやパワーアップを楽しみたいと思っても、市販キットパーツが存在しない例は数多くある。仮に、あったとしても絶版=販売中止だったり、もはやお宝パーツの如く、買いたくても、手が届かないケースもある。ここでは、初代C90シリーズの1974年モデル=スーパーカブデラックスC90K2のノーマルエンジンにビッグキャブを取り付けてみた実例をリポートしよう。

「ポリネシアンブルーメタリック」のC90K2

Psa02.jpg

取り付け実践車両は1974年、昭和49年モデルのスーパーカブデラックスC90K2。 カモメが羽ばたいているような通称カモメハンドルを採用し、左右のエンジンカバー前方にエアー通路がある、通称クジラ型エンジンを採用している。C50やC70と同じボディに見えるが、一回り大きく、フレーム幅も広く燃料タンク容量は1リットル多い。エンジンはS90E系(CS90)のフルサイズ90ccモデル。後のC50/70ベースでスープアップした85cc版のスーパーカブ90とは異なった旧式エンジンを搭載。このエンジンは、郵政モデルの郵便カブことMD90に搭載され続けてきたことでも知られている、タフな実用エンジンとしても知られている。

ノーマルエンジンなので、ちょっとだけビッグキャブ

Psa03.jpg

左がタイケーヒンのPB20。真ん中が国内CT110純正のケーヒンPB20。右がカモメC90K2号純正のPB18。タイケーヒン製は、フロートチャンバードレンが横向きで窮屈な場所でもレイアウトしやすい特徴がある。インテイク側は、ノーマル口径よりも僅かに太いが胃袋形状の純正エアーインレットが使えそう。おそらくタイケーヒンのキャブは、タイカブ110あたりの純正部品かと思うが、ネットオークションで購入した。ベンチュリ径はおおよそΦ20ミリ相当だが、果たして走りが変るものなのか?

エンジンには手を加えずマニホールドで対応

Psa04.jpg
Psa05.jpg

スーパーカブ90のエンジンからノーマルキャブとマニホールドを取り外し、シリンダーヘッド側のマウント部分をオイルストンで面出し。二次空気が入るとエンジントラブルの原因になるし、特に、負圧が高いアイドリング領域ではセッティングが出にくく安定しなくなる。同系列エンジンを搭載するCS90用ガスケットがあったので合せてみた。嬉しいことにサイズはドンピシャ!!まったく問題無いことが判明した。ポート位置がズレていたりフランジの取り付けピッチが違っていたら面倒である。ポート口径が違っているときには、段差部分を合せたいものだが……。

ヘッド側フランジとガスケットサイズは同一!!

Psa06.jpg

マニホールドのエンジン側フランジ部分をガスケットで比べてみたら、まったく問題無かった。組み込んでしまうと内部の様子が見えないが、ガスケットを利用して双方を確認すれば、ポートの段差を明確に判断できる。今回は事前にC90K2用の別のマニホールドを準備して、それを利用することにした。そもそもの純正マニホールドを追加工してしまうと、ノーマルキャブへ戻したい際、マニホールドに加工を施すと後々面倒だと考えた。

キャブフランジ側にはやはり段差が発生した

Psa07.jpg
Psa08.jpg

キャブレターフランジ側の形状確認中。タイケーヒン用の断熱スペーサー形状とキャブレター側のフランジ面の形状は一致。当然と言えば当然なのだが、ここで大幅に寸法が違うとパワーダウンは確実。エイプ100初期型を購入したとき、このスペーサーの吸入ポート穴が丸ではなく半月形状だったのを思い出した。メーカーは、この部分で出力を自主規制していたのだ。次に、断熱スペーサーとマニホールド間の段差を確認した。すると僅かにマニホールド側の口径が小さい。こんな段差が吸入抵抗となり加速力を落してしまう。

リューター+超鋼バーで段差を切削

Psa09.jpg
Psa10.jpg

僅かに口径が小さかったマニホールドのキャブレター側フランジポートを拡大加工。エアーリューター(エアーミニグラインダー)に、ロングシャンクの超鋼バーを取り付けることで作業性は圧倒的に良くなる。ポート全体ではなく、フランジ接続部分を僅かに削るだけで段差を解消した。超鋼バーでの切削は粗仕上げなので、ツルツル仕上げにはフラップホイールを利用するのが良い。僅かな切削量なので加工時間は僅か1分程度。仮に、こんな作業を組みヤスリで手加工したなら……。おそらく1時間以上の時間を費やすのは確実だと思う。コンプレッサーやエアーツールの存在はありがたい。

取り付け完了後はセッティングをお忘れ無く

Psa11.jpg

セッティング用の各種ジェットセットを購入し対応。機種で購入するのではなく、取り付けるキャブレターからメインジェットやスロージェットを取り外し、形状と番手を確認してから前後番手を購入した。ボアアップ+ハイカムなどのチューンドエンジンではないため、ジェット番手は大きく変ることなく、あっという間に普段使いできるレベルにセッティングできた。

POINT
  • ポイント1・キットパーツが無くてもアイデア次第でキャブレターは交換可能
  • ポイント2・元通りに復元することを考え、ノーマルパーツには加工を加えず別のパーツを用意して対応するのがベスト
  • ポイント3・ マニホールドやキャブの締め付け部分から二次エアーを吸い込まないようにOリングやガスケットは新品を利用し、心配なときには耐ガソリン液状ガスケットを併用しても良い。

「ボアアップに勝るパワーアップは無い」と名言を残した有名チューナーの言葉通り、エンジンパワーやトルクアップを果たしたいならボアアップがもっとも近道である。エンジンチューニングが大好きな横型エンジンファンならば、誰もがその言葉の意味を理解できるのではないかと思う。モンキーやダックス、スーパーカブなどの横型エンジンシリーズには72cc/85cc/88cc/105cc/110cc/124ccなどなど、チューニングキットパーツが星の数ほど存在しているが(いたが)、旧横型の「フルサイズ90ccエンジン」には、商品化されたキットパーツがほぼ皆無だった。ちなみにボア×ストロークは50×45.6mmの89cc。

ここでは、そんなフルサイズ時代の旧スーパーカブC90をベースにした、カスタム&チューニングリポートを進めている。ここでのテーマは「ビッグキャブの装着」である。高性能なキャブをチョイスすると、エアクリーナーが使えなくなったり、吸入音がうるさかったり、いろいろ手を加えないといけなく苦労が多い。将来的にはエンジン本体のチューニングを進めたいと考えているため、マニホールドとインレットパイプを含めて、ボルトオン=ポン付けできるパーツは無いものか? ガレージのスペア部品箱の中を探してみた。すると、ハンターカブCT110用のケーヒンPB20と、以前にネットオークションで購入したタイケーヒン製PB20が出てきた。

欠品部品が無い新品のタイケーヒン製キャブをマニホールドに合せてみると、インレットパイプの口径がΦ1ミリほど大きいものの、キャブ本体の取り付けマウントピッチから外寸まで、おおよそ同じでボルトオン可能!?ただし、トップカバーのケーブル接続金具がフレームと当たるため、キャブ側の断熱スペーサーを2枚入れて対応することにした。また、キャブ側のマニホールド口径に段差ができたので、この僅かな段差をエアーリューターで加工することにした。

試運転に出掛けつつ、キャブセッティングを試みると、チューンドエンジンではないので、あっさり通常ユースで走れるセッティングは完了。しかし、ノーマルキブと比べて、低速域でのトルク感が今ひとつ。一方、高回転域では良く吹けている印象だった。正直、期待したほどに体感的な違いは無かったが、仮に、これでコンプレッションアップやボアアップが可能になれば……?と思うと、今回の改造内容は将来へ向けた「チューニング段取り」とも言えそうだ。キットパーツが無くても、なんとかビッグキャブ化に成功した。もっと大きなキャブやタイプ違いのキャブを取り付けたいときには、マニホールドを溶接加工すれば、何とかすることができそうだ。

 
今回紹介した製品はこちら
 
関連キーワード
20210625_garage_sale_point_336_280.png
車種に関連した記事
キャブレターに関連した記事