滑り始めの兆候があったら「早めに部品交換」したいクラッチディスク

気持ち良くバイクを走らせているとき、特に、追い越し加速時やシフトアップ時に発生しやすい「クラッチの滑り」は本当に気分が悪い。前方の車両を追い越そうとして、シフトダウン&フルスロットルを試みたものの、エンジン回転ばかり上がってしまい、「思うように加速してくれなかった、力強く走らない!?」といった経験を持つライダーは数多くいるはずだ。まさにそんな症状はクラッチの滑りだ。メーカー純正OEM部品を数多く製造担当しているFCC社。同社製湿式クラッチパーツには、よりハイパフォーマンス仕様で、数多くの走り屋ライダーから支持されているのオールイン1のキットパーツもある。ここでは初代カワサキ空冷4気筒エンジンにキットパーツのクラッチディスクを組み込む手順をリポートしよう。

お気に入りのバイクを気持ち良く走らせたい


将来的にはカワサキ空冷Zのエンジンオーバーホールを予定しているが、まずはチューニング&エンジン分解へ取り掛かる前に、クラッチユニットをオーバーホールすることにした。ここでは、アドバンテージから発売されているF.C.C.製クラッチキットを使うことにした。今回利用したのは、F.C.C.トラクションコントロール・クラッチキット。ディスク&プレートともに標準枚数でクラッチスプリング付きの、タイプA。

周辺部品も交換してみた


アドバンテージF.C.Cクラッチキットの交換と同時に、同社製クラッチレリーズキットも装着した。このキットパーツには、作動性に優れているクラッチワイヤーがセットになっている。このキットはクラッチレバーの操作感を軽くするものではなく、クラッチレリーズの操作性をスムーズにするためのパーツである。組み込み前にレリーズのスパイラル部分にはエンジンオイルを塗布しよう。

フタのようなクラッチカバーを外すだけ!!

エンジン右側後方の大きなクラッチカバーを取り外すと、この時代としては大容量なクラッチユニットが見える。その大きさには驚きすら感じてしまう。このあたりの容量確保は、先に発売され、クラッチ滑りが不評だったCB750Kシリーズとは決定的な違いでもある。ディスクやプレートの抜き取りに意外と便利なのが、不要になった自転車用スポークである。

各パーツ摺動部分の摩耗やガタに要注意

クラッチフリクションディスク&プレート(鉄板)を交換する際には、クラッチハブやアウターの凸凹部分に著しい打痕が無いか確認しよう。アウター外側の溝の内側が激しく摩耗し、ディスクの作動性が著しく損なうとクラッチの断続がスムーズに行えなくなるそうなるとアウターも要交換だが、その際はエンジン分解が必要になる。

湿式クラッチだからこそ「ディスク交換」


新品フリクションディスクやプレートを組み込む際には、各ディスクの両面にしっかりエンジンオイルを塗布する。あらかじめトレイにオイルを入れ、クラッチパーツをエンジンオイルへ浸しておくのも良い。今回、クラッチスププリングは敢えてカワサキZ2用メーカー純正部品の赤色で復元した。白色はZ1用純正部品で、右がFCCキットパーツ用スプリングだ。

クラッチレリーズでユニット断続


クラッチレリーズ本体のマウント位置は、ドライブスプロケットカバーの裏側にレイアウトされている。本体交換後は、クラッチケーブルをアームに接続し、ケーブルエンドの抜け止めでストッパーボルトを締付ける。カバーを復元したらクラッチレリーズアジャスターを調整し、プッシュロッドとのクリアランスを確保する。このレリーズキットは、クラッチ操作を大幅に軽くするものではなく、スムーズな作動性を確保するものだ。

レバーの遊びをアジャスターで調整

クラッチレバーの作動性を確認してみよう。組み付け時の手順としては、レバーホルダー側アジャスターを中間の位置にする。次に、クラッチレリーズのロックナットを緩めてからプッシュロッドを完全に緩める。次に、プッシュロッドをゆっくり軽く締めていき、重く動かなくなったところから、プッシュロッドを1/8~1/4回転戻して、ロックナットを固定する。その状態でレリーズカバーを復元し、クラッチレバーホルダーのアジャスターを好みの遊びに調整しよう。

取材協力:アドバンテージ

POINT
  • ポイント1・ 滑りが酷く症状が悪化する前にクラッチユニットをオーバーホールしよう。
  • ポイント2・ 走り込まれたエンジンはクラッチアウターそのものにガタが出て、正しくクラッチの断続機能をできなくなる。そんなときにはエンジンオーバーホールで回復しよう。
  • ポイント3・フリクションディスクやプレートを組み込む際にはエンジンオイルをしっかり塗布しよう
  • ポイント4・クラッチレバーの遊びが多かったり少なかったりするときにはレリーズ 調整を必ず実施しよう

クラッチレバーを握って操作するマニュアルクラッチでも、スーパーカブのような自動遠心クラッチでも、クラッチ板と呼ばれる「フリクションディスク」と「クラッチプレート(鉄板プレート)」との間にスベリが発生すると、気持ち良く走れなくなってしまう。発進加速が遅かったり、追い越し加速時にスロットルをグイッと回しても、エンジン回転ばかりが上昇して、力強くリアタイヤが路面を蹴らない!?なんてこともある。そもそもクラッチ板は定期交換部品の消耗品のため、ある一定の走行距離になるとスベリ症状が発生するものだ。また、たいした走行距離を走っていなくても、いわゆる半クラッチを使いすぎたり、クラッチレバーの遊びがほぼ無く、レバーがパンパンに張ったまま走り続けていると、気がつかないうちにフリクションディスクが摩耗し、いざフル加速を試みようとしたところ、クラッチ滑りで気持ち良く加速できないことがある。

以上のように、マニュアルクラッチの場合は、クラッチレバーの遊びを常に適切に保つように心がけ、自動遠心クラッチの場合は、クラッチの場合は、クラッチレリーズ(プッシュロッド機能)の調整をしっかり行うように心がけよう。

ここでは、カワサキ空冷Zのクラッチパーツ交換を実践したが、クラッチカバーのみ取り外すだけでパーツ交換できるので、作業性は極めて良かった。エンジンカバーを取り外すようなメンテナンスの際は、エンジンオイルを抜いてから作業開始……と考えるのが普通だと思うが、エンジン右側にクラッチユニットがあるので、サイドスタンドで作業することで、エンジンオイルを抜かずに作業できることが多い。サイドスタンドの立ちが強く、油面が高くオイルが流れ出そうな場合は、リアタイヤの下に木っ端やブロックを敷き、車体をより斜めにすることでエンジンオイルは流れでなくなる。

しかし、このような状況で作業すると、車体が揺れると倒れてしまい危険なので、ブレーキレバーを握った状態で保持固定できるブレーキレバーロックを利用し、さらに前輪に輪止めを併用すれば、より安定した状況で作業進行することができる。

クラッチフリクションディスクとクラッチプレートを新品部品に交換する際には、ディスク&プレートの両面にしっかりエンジンオイルを塗布してから組み付けよう。湿式クラッチを乾燥状態で組み込むと、フリクションディスクとプレートの摺動面に焼きが入ってしまい、クラッチとしての機能を果たせなくなってしまうこともある。エンジンオイルをタップリ塗布しながら組み込むように心がけよう。

ここで組み込んだ「アドバンテージFCCトラクションコントロールクラッチキット」は、純正フリクションディスクとは摺動特性が異なる高性能素材を採用し、クラッチプレートは表面処理が異なるため、純正と同じクラッチ枚数でもフリクション容量を高めているのが特徴だ。したがって、強化クラッチスプリングを組み込まずノーマルスプリングのままでも、クラッチ滑りは発生しにくいのが特徴だ。ボアアップなどのチューニングエンジンには、最適の強化クラッチキットと呼べる商品である。

 
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