ハンドルスイッチは動的節度が命。気になる時には、かんたん分解清掃

どんなモデルでもハンドル左右には各種スイッチが組み込まれている。高年式モデルのスイッチには節度があって、作動性も良好。しかし、2000年代以前の中古車や80年代以前の旧車の場合は、放置期間や放置状況(雨ざらしや軒下保管など)に比例して、何らかの不具合やスイッチ切替えの節度が低下していることが多い。

ウインカースイッチを作動させたときに、カチッとした感じ=節度が無く、何かが噛み込んでいるような違和感がある場合は、無条件でスイッチハウジングを開き、各種スイッチの作動レバーピボット周辺や電装接点付近をエアーガンで吹き付けてみよう。それでも作動性が改善されない場合は、パーツクリーナーを患部にスプレーしてから10数秒待ち、汚れが緩んだころでエアーブローすることで効果的なクリーニングが可能になる。

何か違和感!?中には未確認生命体



しばらく放置してあったバイクのウインカースイッチにヘンな違和感が……。なんだか気持ち悪いので、スイッチハウジングをバラしたら本当に気持ち悪かった!!未確認生命体やその残骸が原因で、スイッチング操作に違和感が出て、実際に思い通りの操作ができないこともある。こんな異物が通信障害の原因になるのだ。

単純なエアーブローだけでも効果覿面


お天気に関係なく走り続けてきたバイクの場合は、雨天未使用のバイクと比べて、様々な部分のコンディションが違っていて=低下していて当然である。その顕著な例が、ブレーキディスクローターだ。雨天未使用のバイクは、ローター面の減りが少なく極めてキレイな車両が多いが、走り込んでいるわりにメンテナンスや洗車が行き届いていないモデルの場合は、レコード盤のように凸凹摩耗が発生している例が多い。ピンスライド式キャリパーの場合は、ピンやピン受けが痩せてガタが発生していたりするものだ。それと同じで、雨水が入り込んだままのスイッチ類は、分解してビックリ!?その中味が完全に真っ赤なサビで覆われているケースも少なくない。特に、旧車で保管コンディションが良くなかったモデルの場合は、そんな状況になっていることが多い。コンディションうんぬんに関わりなく、まずはスイッチボックスを開き、内部コンディション確認しつつ、各部をエアーブローしてみるのも効果的だ。

高性能ケミカル「接点復活」スプレー


スイッチ接点の作動性が今ひとつだったり、スイッチレバー支点周辺の作動がシブく作動不良の原因のこともある。そんなときには、最初にパーツクリーナーで患部周辺の汚れを落としてエアーブロー。さらに防錆浸透スプレーを吹き付けて、染み込んでからエアーブローで余分なオイルを吹き飛ばそう。そして最後に電気接点を復活させるためのスプレーケミカルを接点周辺に吹き付けよう。スイッチ接点へ吹き付けることで、金属接点の汚れや腐食をじんわり落とすことができる。スプレー後、カチャカチャとスイッチングしながら積極的に接点を動かすと通電性は確実に良くなる。

セルスターター車はマグネットスイッチに注意


セルボタンを押してもウンともスンとも言わない(カチカチッと聞えない)ことがある。そんなときにはセルボタンの接点付近をパーツクリーナーで洗浄後、接点復活スプレーを吹き付けて、スイッチの空押しを繰り返し行おう。それでも症状に変化がないときには、マグネットスイッチのガプラを外して、マグネットスイッチの端子接点に復活スプレーを吹き付け、カプラを何度か抜き差しすることで、確実な電気の流れを得られるようになる。




マグネットスイッチには大電流が流れる関係で、スイッチング回路には大型フューズ(メインフューズ)が組み込まれている。このフューズが飛んでいるとウンともスンとも動かないので、フューズを抜き取り飛んでいないか?目視確認してみよう。良否がわかりにくい場合は、サーキットテスターで導通確認するのがベストだろう。

過去に接点が焼けたり、腐食で抵抗が大きくなったマグネットスイッチカプラは、配線のギポシ端子周辺が「焦げている」こともある。そのようなスイッチカプラは、配線補修とギボシ端子を交換することで機能は復活できる。張り替え直す配線の太さは、焦げていた配線と同じ太さで行い、ギボシ端子のカシメは専用プライヤーを使ってしっかり行おう。スイッチ部品の接点端子には接点復活スプレーを吹き付けてからしばらく待ち、カプラの抜き差しを繰り返してからエアーブローするのが良い。

大電流が流れるフューズBOX接点には要注意



バイクメーカーや年式によって電装回路の設計は異なるが、マグネットスイッチに差し込まれる大型フューズ以外に、各ユニット電源になるフューズボックスが必ずある。フューズボックス側のコネクター端子や、フューズを差し込む端子も重要だが、メインハーネス側のカプラに差し込まれる端子とコードが焼けることがあるので、点検清掃時の定期的な抜き差しや、カプラ周辺のエアーブローは効果的だ。特に、洗車後のカプラ抜き→エアーブロー→カプラ復元は、トラブル回避、トラブルと遭遇しないためには、効果が大きい。雨天走行後や洗車後は、各種カプラのエアーブローがとにかく効果的な予防メンテナンスと言える。

POINT
  • ポイント1・ホーンの鳴りが悪い、セルスタートがスムーズにいかない、などなど気になるときにはスイッチ接点を掃除しよう。
  • ポイント2・高性能ケミカル「接点復活」スプレー剤を使うと、通電性が回復する。所持していたいケミカルのひとつ。
  • ポイント3・大電流が流れる接続端子の接点は定期的にクリーニングしよう。絶好調の維持に定期点検は必要不可欠。エアーブローが効果的だ。

何年ものあいだ、倉庫(納屋)で寝かせていたバイクを復活させようとメンテナンス開始。新品バッテリーに交換しつつ初期充電を終え、電気回路の確認を行ってみた。ウインカー作動はOK、ホーンもOK。ところが、ヘッドライトスイッチをONにしてみたがヘッドライトが点灯しない……。バルブが切れているのか?と思って取り外してみたが、特に問題は無く、切れている様子も無かった。何故、ヘッドライトが点灯しないのか?いろいろ考えながら、ハンドルに固定されているヘッドライトスイッチとキルスイッチが一体になったスイッチボックスの締め付けをプラスドライバーで緩めてみた。

スイッチハウジングを開いてビックリ!!ハウジングの中には、小さなクモの巣のような白い糸や繭のような物体も……。確かに、これらクモの巣の影響なのか、スイッチング時に、ヘンな粘り感が指先に伝わってきていた。過去にそんな経験をしたことがあるライダーは少なくないはずだ。そこで、スイッチハウジング内をエアーブロー。コンプレッサーが無いときの応急策としては、パソコンのキーボードをクリーニングするエアーダスタースプレー缶を利用することもできる。エアーブロー後は、スイッチ接点復活スプレーを吹き付け、しばらく待ってから再度エアーブローで内部の汚れを吹き飛ばしてみよう。すると、スイッチ作動時の指先に伝わっていた違和感がほぼ無くなり、カチッとした印象に変化。メインキーをオンにしてヘッドライトスイッチを操作すると、何事もなくヘッドライトは点灯し。ロー/ハイの切替えも通常通りに作動してくれた。

北米仕様の逆輸入車なら70年代後半から、国内モデルなら90年代初頭から、ヘッドライトは常時オンの車両法となっており、ライトスイッチ(ディマスイッチ)を持たないモデルが多い。しかし、それ以前に生産された旧車の場合は、ヘッドライトの点灯管理はライダーに委ねられているので、ヘッドライトスイッチが存在するのが普通である。

電気回路の点検を終え、サイドカバーを外すと、その裏側もまたクモの巣だらけだった。しばらく放置していた保管環境が影響しているのは明らかだが、それは屋内やガレージ内であろうと、軒下保管であろうと関係ない。普段から「クモの巣があちこちに……」といった車両の場合は、保管場所に何らかの工夫を施すと良いだろう。サイドカバー内にクモの巣があるような場合は尚更だが、車体を取り巻くハーネスを追いかけると、その先には必ずカプラがある。60年代以前の旧車の場合は、メインキーに配線やカプラが無く、ハーネスエンドに丸端子をカシメ、バッテリーターミナルを締め付けるかのように、スイッチ側の雌ネジに端子固定ボルトを締め付ける例が多かった。60年代に入るとスイッチから出てくるハーネスにセパレートのカバー付きギボシ端子が付き、オスメス端子を結線する仕様になった。70年代に入ると、プラスチックのマルチカプラが使われるようになり、80年代にはギボシ端子やカプラが小型化された。90年代に入ると各配線にラバーが組み込まれた防水カプラ仕様になり、現在では、防水カプラも様々なタイプへと進化している。

これらの事実からも理解できるように、技術的な進化はエンジンや車体部品に限ったことではなく、電装部品の結線=各種ワイヤーハーネスやカプラの進化も著しい。電装系パーツが進化する理由のひとつに「防水性の強化」があるのは明らかである。サイドカバーを外したり、洗車した後には、各種カプラを外して内部接点周辺をエアーブロー。さらに抜き差しを繰り返すことでも、トラブル事前回避という意味では大きな効果を得ることができる。

関連キーワード
車種に関連した記事
配線,ハンドル,ケミカルに関連した記事