ブレーキレバーの渋さはこれで解決!レバーの当たり位置を変えて注油しよう

ブレーキレバーのピボット部分をグリスアップしたのに、レバーを握った時に何かが引っかかるようで動きに滑らかさが足りない。

そんな風に感じた時には、マスターシリンダー内部のピストンに注目してみましょう。
レバーとピストンの当たり方によっては、ピストンに余計な力が加わっている場合もあります。

ピボットの潤滑は部品の寿命も延ばす

デリケートなブレーキコントロールを行うには、ブレーキレバーのグリスアップが不可欠。その際はピボットボルトはもちろんのこと、マスターピストンとの接触部分にもグリスを塗布すること。

ブレーキレバーを握った力がマスターシリンダー内部のピストンに伝わり、ピストンから押し出されたブレーキフルードがキャリパーピストンを押し出すことで、パッドがせり出してブレーキローターを挟み込むのがディスクブレーキの原理です。そして、レバーへの入力に対してマスターピストンがリニアに動くことで、軽い減速からフルブレーキングまでデリケートなブレーキコントロールが可能となります。

そのためにブレーキレバーのピボットのコンディション、具体的には定期的な洗浄とグリスアップが重要であることは以前取り上げました。

しかし、ピボット部分のグリスアップを行ったにもかかわらず、いまひとつブレーキのタッチがしっくりこない場合もあります。利くか利かないで分ければ利くが、レバーの握り始めに若干引っかかりを感じるような……。

レバーをグッと握り込む時には分かりづらく、スピードをコントロールするために軽く握る時に何か擦れるような感触がある時は、マスターピストン自体に注目します。

 
POINT
  • ポイント1・フロントブレーキレバーのグリスアップは必須
  • ポイント2・それでもフリクションを感じるならマスターピストンに注目

マスターピストンに加わる斜めの力が問題

マスターシリンダーから取り出したピストン(画像は作業車両とは別のもの)。ブレーキレバーを握ると向かって左に動き、マスターシリンダー内のフルードを押し出す。レバーがピストン端部を滑りながら押すため、ピストンに斜めの力が加わる。その際に端部に塗布したグリスで摩擦抵抗を低減すれば、ピストンを真っ直ぐ押す力となる。

マスターピストンはマスターシリンダー内にあって、ブレーキフルードを押し出すための重要な部品です。ですから気軽に外すことはできませんし、抜け止めのスナップリングがあるので簡単には外れません。

そこで、まずはレバーを外すと見える、マスターピストンの端を観察します。ここはブレーキを掛ける際にレバーが押す部分で、走行距離が多いバイクでは接触部分に跡が残っている場合があります。

ブレーキレバーの動きに注目すると、ピボットボルトを軸に円を描いています。そのためレバーがピストンを押す際には、真っ直ぐ押し込む力とは別に斜めに押す力も発生するためです。この斜めに押す力によって、ピストン上部の一方(レバーによって斜め前方に押し出される場合は前側)はマスターシリンダーの内壁に強く当たることになります。

もちろんブレーキメーカーはそうしたアンバランスが起こらないようにレバーの軌道、ピストンの傾き防止策を行っていますが、レバーとピストン端部の接触部分が移動しながら押すというメカニズムには変わりがありません。したがって、ブレーキレバーピボットの洗浄とグリスアップを行う際は、レバーとマスターピストンの接触部分へのグリスアップも忘れずに行うようにしましょう。

ちなみに、一部のスーパースポーツモデルや社外品としてリリースされているラジアルマスターシリンダーは、レバーとピストンを直交させることで接触部分の摩擦を無くしてブレーキ効力を向上させています。

 
POINT
  • ポイント1・レバーの作動軌跡でピストンに斜めの力が加わる
  • ポイント2・ラジアルマスターはピストンを真っ直ぐ押せる

ピストン回しでレバーとの当たり位置を変える

ピストンの端部をラジオペンチなどでつかみ、ピストン自体を回転させることでレバーとの接触位置を変える。レバーとピストンがいつも同じ位置で接触してピストン端部が凹むと、それに倣ってピストンが傾こうとするが、当たり位置を変えればそのクセが少なくなることが期待できる。ラバーブーツを破損しないように注意する。

話を戻して、ブレーキレバーのグリスアップを行ってもレバーの操作性がイマイチな時にマスターピストンに注目すると書きましたが、具体的にはレバーやマスターシリンダー内壁と接触する位置を変えるためにマスターピストンを回転させてみます。

これで症状が100%改善するとは断言できませんが、端部にレバーとの接触痕がついてしまったマスターピストンは、回転によってピストンとの接触位置を変えることで斜め方向に押す力の割合を小さくできる可能性があります。

また、ピストンとシリンダーの隙間に、ゴムと金属の滑り性向上に効果のある潤滑スプレーを塗布するのも有効です。ピストンに組み付けられたゴム製のカップシール(このシールでブレーキフルードの気密を保つ)は、シールに付着するフルードによって湿潤状態にありますが、金属製のピストン本体とマスターシリンダー内壁のフリクションを低減することで、レバーを軽く握った際のピストンの動き出しが滑らかになります。

ブレーキタッチに違和感がある時に、ピストン端面に明確な接触痕が認められたりマスターシリンダー自体にピストンとの接触痕があるような場合は(これはマスターシリンダーを分解しないと確認できません)、マスターシリンダー自体を交換するのがもっとも確実で的確な対応です。しかし摩耗や接触痕が軽度であれば、ピストンを回して潤滑を促進するだけで症状が治まる場合もあります。

ブレーキレバーを外してグリスアップする際は、同時にマスターピストンの端部の状態も確認して、必要に応じてグリス塗布やピストン回しを行ってみましょう。

ラバーブーツを少しめくって、ピストンとシリンダーの間に潤滑スプレーを塗布する。ゴム製のマスターカップにダメージを与えない潤滑剤を使うことが重要で、ゴムと金属の潤滑に適したCCIのメタルラバースプレーMR20や、カップシールに優しいシリコンスプレーが適している。

 
POINT
  • ポイント1・ピストン回しでレバーとの接触位置が変わる
  • ポイント2・シリンダーとピストン間の潤滑でフリクションを低減

 
今回紹介した製品はこちら
 
関連キーワード