定期的にメンテしよう!ブレーキ&クラッチの操作性が激変させるレバーのグリスアップ方法

エンジン内部やホイール、チェーンなど部品同士が接触しながら動く部分では、潤滑が不可欠。
スロットルやクラッチケーブルも給油によって滑らかで軽く動くようになりますが、意外に見落とされがちなのがブレーキ/クラッチレバーのピボット部です。
レバーの握り始めで動きが渋い、抵抗感が気になる時は、ピボットボルトを外してグリスアップを行いましょう。

ピボットの潤滑は部品の寿命も延ばす


調整機能が付かないブレーキレバーの構造は至ってシンプル。だが単純なだけに日頃のメンテナンスが如実に反映されてしまう。ピボットボルトは防塵も防水機能もない(トレールモデルではゴムカバーが付く機種もある)ので、グリスは時間の経過と共に確実に落ちる。

バイクのスピードをコントロールするブレーキは、オンとオフの2元スイッチではなく、効力ゼロから100%まで細かいグラデーションで調整できる繊細なパーツです。利く、利かないはもちろんですが、レバーを握った力がイメージ通りにパッドに伝わることも重要です。

日本製、海外製を含めて数多くの高性能ブレーキパーツがリリースされていますが、純正部品でもブランド品でもレバーを握った力はピボットを支点にして伝えられます。電気のスイッチのように単純なON/OFFスイッチなら多少の抵抗があっても機能しますが、ブレーキレバーは電気のスイッチよりはるかにデリケートです。

ブレーキレバーもクラッチレバーも、構造としてはピボット部分はレバーの穴にピボットボルトが刺さっているだけとシンプルで、潤滑はピボットに塗布してあるグリスを頼りにしています。したがって劣化したり流失してグリスの性能がなくなれば、ピボットボルトとレバーは金属同士が直接擦れ合うことになってしまいます。

多くの市販車では、ボルトの素材は鉄でレバーはアルミなので、グリス不在の摩擦によってレバーの穴が偏摩耗して拡大してガタが増えます。その前段階として、グリス切れによってレバーの動きが渋くなります。

レバーを軽く握った時に滑らかに動かず、もう少し力を加えると動き始める。握ったレバーが戻りきる手前で止まりそうになる。そんな症状が現れた時は、レバーを外してピボット部分の状態を確認してみましょう。

グリス切れで摩耗が始まる前にメンテナンスが間に合えば、無駄なレバー交換が避けられるので部品を長く使うことができるというメリットも生まれます。

 
POINT
  • ポイント1・レバーのピボットは見落としがちなメンテポイント
  • ポイント2・グリスアップはレバーを長持ちさせる

ブレーキレバーの取り外しは慎重に


レバーホルダー裏にナットが付くタイプは、ピボットボルトより先にナットを取り外す。ピボットボルト自体が段付き形状なので、ナットをどれだけ締めてもボルトの抜け止めにはならない。だから馬鹿力で締める必要はない。

ブレーキレバーピボットのグリスアップ作業では、ピボットボルトの取り外しが必須です。スプレーグリスを使えばレバー部分の分解は不要ですが、効果は一時的でグリスアップにはかないません。

ピボット部分の構造は機種によっていくつかのパターンがありますが、最もシンプルなのはレバーホルダー上から刺さるボルトに対して、ホルダー裏側にナットが付くパターンです。このタイプの場合、ナットを先に外してからピボットボルトを緩めて外します。

レバーホルダーのレバーとマスターシリンダーピストンが直接接触せず、スプリングや何かの部品が挟み込まれている場合、部品の組み付け順序を把握してからピボットボルトを抜きます。手元にサービスマニュアルやパーツリストがあれば、部品同士の構成を確認しておきましょう。

取り外したレバーとピボットボルトは、レバーの穴が楕円になっていないか、ボルトの表面処理が剥がれていないか、穴に通してガタが出ていないかを確認して、パーツクリーナーで洗浄します。レバーの種類によっては、穴の内側にカラーが組み込まれているものもあるので、スプレー式のクリーナーを使う際は吹き飛ばさないように注意します。

また洗浄時はレバーだけでなく、マスターシリンダーのレバーホルダー部分の汚れや摩耗にも注目します。

潤滑不良によりレバーの穴が偏摩耗して、レバー自体が上下にカタカタ振れるような状態のままブレーキ操作を続けると、レバーの上下面がレバーホルダーを削ってしまうことがあります。こうなると、レバー交換だけではレバーの操作感が回復しないこともあるので注意が必要です。


機種によっては、摩耗を防ぎ摺動性向上を目的にカラーを使う例もある。このクラッチレバーにはカラーに加えてOリングも組み込まれている。復元時に迷ったり誤組しないよう、レバーを取り外す際はこうしたディティールにも注意を払っておく。

 
POINT
  • ポイント1・分解前にピボット周辺の構成を観察する
  • ポイント2・レバーを外したら各部のガタをチェック

グリスアップは山盛りよりも定期的に


洗浄したピボットボルトには、耐水性が優れたグリスを薄く塗布する。レバーホルダーからはみ出すほどたっぷり塗っても、外部からの汚れを呼び込むだけなのであまり意味がない。それよりも定期的に洗浄とグリスアップを行う方が有効だ。

洗浄によって摩耗やダメージがないことが確認できたら、新しいグリスを塗布して復元します。ここでは耐水性に優れたリチウム系やウレア系のグリスがおすすめです。ピボットやレバーを摩耗から保護するため、たっぷりのグリスを塗布したくなるかもしれませんが、過剰なグリスはレバー周辺のホコリやゴミの付着を招き、それらが研磨剤となってしまう可能性があるので、塗りすぎは厳禁です。

一度にたくさん塗布するよりメンテナンスを頻繁に行う方が有効で、最低でも一年に一度はレバーを外してチェックするよう心がけましょう。

クラッチレバーのピボットも同様で、的確にグリスアップを行うことでクラッチの操作感が改善されます。ケーブルタイプのクラッチの場合、レバー操作によってケーブル端部のタイコに回転する力が加わるのでタイコ部分にも忘れずにグリスを塗布しましょう。

レバーピボットのグリスアップは簡単なメンテナンス項目ですが、作業後の滑らかなレバー操作感は「やって良かった」と実感できるはずです。

 
POINT
  • ポイント1・塗りすぎるデメリットを知っておく
  • ポイント2・クラッチはケーブルのタイコも要潤滑

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