鏡面とは一味違う!しっとり純正風なツヤに仕上がる大人のアルミ部品磨き方

「アルミ部品を磨く」といえば、真っ先に思い浮かぶのが鏡面仕上げ。

カスタムやレストアでは一点の曇りもないピカピカの仕上がりが似合いますが、一方で普段使いしている愛車には「その輝きはちょっと……」という場合もあるはずです。
そんな時に実践したいのが“しっとり磨き”。アルミ表面のくすみを取り除きつつ光りすぎない磨き方は、応用範囲が広いので覚えておくと重宝します。

アルマイト仕上げも酸化の一種


磨き作業には下地作りが重要。しっとり磨きで仕上げる場合、研磨傷を消すのが大変なのであまり目の粗いサンドペーパーを使わないのがコツ。今回は#240相当のサンドブラストを軽く当てた。

エンジンから足周りまでバイクには数多くのアルミ製部品が使われており、製法や表面処理も様々です。アルミニウムにはそもその酸化しやすい=錆びやすい特性があるので、素材の表面にあらかじめ電気化学的に酸化皮膜を形成して、それ以上の酸化を防止するアルマイトが普及しています。

主に押し出し材で作られるスイングアームや、ブロック素材から削り出されたトップブリッジなどの表面処理に用いられることが多いアルマイトは、酸化皮膜を形成する段階で染料を用いることで、素材に着色することも可能です。有色アルマイトはペイントと違って、アルミの素材感を残した状態で色が着くことから、カスタム手法としても重宝されています。

そしてもうひとつ、アルミ部品ならではの表面処理が「研磨」です。ペイントされた鉄部品は塗装面を磨きますが、アルミの研磨は素材そのものを磨くため金属特有の光沢が出るのが特徴で、バフ研磨、鏡面仕上げと呼ばれるピカピカで艶々の輝きも、アルミ部品ならでは魅力です。

ところでアルミ部品の研磨に関して、素材がアルミなら何でも輝くわけではありません。アルマイトの酸化皮膜はとても硬く、研磨剤で磨けるのは皮膜だけでアルミ素材が磨けるわけではありません。またブレーキキャリパーなど塗装仕上げのアルミ素材も、アルミポリッシュで磨いたところで輝くことはないことは多くの方が知っているはず。

つまり研磨が可能なアルミ部品とは、アルマイトが掛かっておらず塗装も施されていない部品、ということになります。

 
POINT
  • ポイント1・新旧を問わずバイクに多く使われているアルミ製部品
  • ポイント2・アルマイトや塗装のない部品が研磨可能

アルミ部品の磨きは粗目から細目へ


防錆潤滑剤をスプレーしながら#400相当の不織布研磨剤で磨く。研磨剤が乾いた状態だと深い傷がつく場合があるので、潤滑剤で滑らせつつ削るイメージ。サンドペーパーでも良いが、部品の形状が複雑な場合は不織布の方が追従性が良くお勧め。


不織布が食いついて部品の表面が削れるとともに、アルミ研磨特有の潤滑剤が黒く染まり始める。ウエスで拭き取り、潤滑剤をスプレーして磨く作業を繰り返すことで、サンドブラスト仕上げのざらつきがなくなり、光沢が出てくる。

アルマイトや塗装仕上げでないアルミ部品の多くは、アルミ合金の成分によって光りやすいか否かの違いはありますが、多くの場合は磨けば輝きます。アルミは酸化しやすい金属なので、酸化皮膜を取り除くだけで光沢が出ます。

その光沢を突き詰めると鏡面仕上げになりますが、アルミ研磨=すべてが鏡面、というわけではありません。カスタム車ならともかく、通常の磨きの範囲なら抑えめの光沢の方がバイク全体として見た時に違和感なく仕上がる場合も多いものです。

ここでは1960年代の小排気量車のドラムブレーキパネルを例に、しっとり磨きの実例を紹介します。

不動期間のうちにサビや油で汚れた部品は、まず脱脂洗浄をして磨くための下地を確認します。金属研磨用のケミカルで磨いてみて、すぐさま光沢が出るようならそのまま作業を続けましょう。しかし多くの場合、長年にわたり風雪にさらされた部品をいきなり研磨剤で磨いても歯が立たないはずです。

ヤスリやサンドペーパーと同様に、研磨剤にも金属表面を削る研削機能がありますが、いわゆる「目の粗さ」はサンドペーパーに比べてずっと細かいため、アルミ素材に歯が立たないのです。

だからまずはサンドペーパーで素材表面を磨くわけですが、この時もペーパーの目の粗さの選定に注意が必要です。#120や#180といった粗いペーパーはアルミ表面を容易に削りますが、その際に生じる傷を消す作業が必要です。120~240~400~600~800~1000……と細かくしていけば確実に光沢は深くなり鏡面に近づいていきます。

しかし鏡面仕上げを目指す場合、手間と時間はどれだけあっても足りません。バフ研磨を専門で行うプロがいるわけですから、ある程度で自分なりの見切りをつけるのが賢明かもしれません。

 
POINT
  • ポイント1・アルミ部品を磨くために下地作りが必要
  • ポイント2・鏡面仕上げを目指すなら目の粗いペーパーから始める

研磨傷を深くしすぎないのがしっとり磨きのコツ


アルミ研磨用のケミカルに代えてさらに磨く。サンドブラストの研磨剤の目を潰しきっていないのでマット感は残っているが、光沢に深みが出てきている。もっと鏡面寄りの仕上げにしたいなら粗目から細目に至る間隔を狭くして、素材表面の凹凸をなだらかにする。


不織布で擦った痕は明確に残っているが、アルミ部品ならではの輝きは魅力。パーツの表面仕上げはバイクの種類や車両作りの方向性によって変わってくるが、過度にドレスアップせずさりげなく仕上げたい時にはしっとり磨きを試してもらいたい。

一方、しっとり磨きを目指すなら、目の粗すぎるペーパーを使う必要はありません。今回の場合、サンドブラストで汚れを落としたブレーキパネルは、#400相当の不織布研磨剤に潤滑スプレーを吹き付けながら磨いています。これではサンドブラストの研磨剤の目を消すことはできないので、表面を不織布で磨いたとしても鏡面にはなりません。

しかし、下地が曇りながら表面に光沢が出ることで、しっとり磨きでは輝きすぎず金属光沢が得られます。塗装でも鏡面仕上げでないアルミならではの光沢は、見方によっては中途半端な仕上がりに感じるかもしれませんが、車体に組み付けた際に一部だけが極端に輝いてアンバランスな印象を与えることもありません(フルめっき、フルポリッシュのカスタム車なら鏡面仕上げの方がマッチしますが)。

もっとも重要なポイントは研磨メディアの目を粗くしすぎないことです。

汚れや腐食を研削するのに、金属研磨用のケミカルで歯が立たないのなら、まずは#1000、次に600と目の細かいペーパーから試してみて、研削効果があればそれ以上に粗い目を使わず表面を均一に磨くことで、鏡面とはひと味違ういかにも市販車風の仕上がりになります。それでもペーパーや不織布で磨けていれば研磨剤の効果は明確に出ますので、しっとりとしたツヤを求めたい場合は試してみると良いでしょう。

 
POINT
  • ポイント1・しっとり磨きなら研磨目を粗くしすぎない
  • ポイント2・下地ができれば研磨剤の効果あり