ガソリンタンクの漏れを鈑金ハンダで修理する方法
露天放置期間が長かったバイクや旧車の中には、ガソリンタンクから「ガソリンが漏れる!?」とか「ガソリンの臭いがする?」といったトラブルがある。
そんなガソリン漏れが発生したタンクを完全修理するには、相当な手間が必要である。
ここでは、応急処置ながら意外と恒久的でもある「鈑金ハンダ」に挑戦!!

 
ガソリンタンクの「のりしろ」のような部分の隙間からガソリンが漏れたり、振動が原因で鈑金の突き合わせ溶接部分に亀裂が入り、ガソリンが漏れてしまう例がある。ガソリンをすべて抜き取りタンク内部を乾燥後、タンク内部に水道水を満たして引火性ガスを解放後に塗装を剥がした。今回はタンクのペイントし直しが前提のため、旧塗膜は焼き落とした。

ハンダごての大きさは100~200Wサイズが最適



配線修理などに使うハンダごてなら、20~30W(ワット)級で十分な出力を得ることができる。一方、鈑金ハンダに利用するハンダごては100~200Wサイズの大型品を利用。鉄板が厚いので、大きな出力が必要なのだ。

作業前にガソリンをすべて抜き取りタンク内部を乾燥


ハンダには電気配線修理用だけではなく、様々な素材に対応したタイプがある。今回のガソリンタンクは鉄板なので、鈑金(板金)用ハンダを利用。さらに鉄板表面を処理し、地肌をきれいにする専用フラックス(塩酸)を利用。


塗装を剥がすのと修理箇所を効率よく温めるためにハンディガスバーナーを利用した。ガソリンタンクの修理時は、タンク内部のガソリンや引火性ガスを完全に抜き取らなくてはいけない。事前の準備が重要なのだ。

ハンダ修理と聴いて、電気配線などの接続修理を思い浮かべる方が圧倒多数だと思うが、実は、ハンダの使用途は幅広く、様々な場面で利用されてきた。プラスチック部品の台頭によって、ブリキ素材の製品が数少なくなっているが、ブリキのおもちゃでもブリキのバケツなどでも、その接続=冶金(やきん)には、ハンダが使われてきた長い歴史がある。
現在では数少ないが、自動車鈑金塗装の世界でも、下処理の凹鈑金でハンダを盛る例は数多く、自動車メーカーの車体生産現場でも、かつてはハンダ鈑金が主流だった。
鈑金ハンダとの呼び名があるように、鈑金ハンダでは専用のハンダと専用の下処理用フラックスを利用する。電気修理用のハンダに対して鈑金ハンダは盛りつけに適した素材配合となっており、鉄板地肌をさらけ出すフラックスにも鈑金用を利用する。この鉄板表面を処理するフラックスは、使用数分後には塗布部分をサビさせてしまうため、無駄に垂れ流すような使い方は厳禁。他の部分へ付着させないような注意も必要だ。

POINT
  • 鈑金専用のハンダと鈑金ハンダ用フラックスを必ず利用する。
  • 患部はしっかり汚れを落としてからフラックスで鉄板処理。
  • フラックスが流れ出ないように刷毛筆で塗布すると良い。


ガソリンを抜き取り「水道水」で完全洗浄!!



ガソリンを抜き取ったら内部を乾燥させ、タンク内には中性洗剤を少量注ぎ、さらに水道水をゆっくり注いでタンク内部を洗浄する。水道水で満たすことでタンク内部の引火性ガスも完全除去できる。作業のついでにサビ取りすれば、より良い!!




ペイントを焼き落としたタンクに水を満たして放置すると、患部からしずくが一滴、二滴と落下するのを確認できた。その患部周辺のサビをワイヤーブラシで除去し、患部とその周囲にフラックスを塗布した。


のりしろのような溶接部分。漏れた患部周辺の塗膜や汚れは特に良く除去してから、フラックスを塗布して。それから鈑金ハンダ修理を行った。このハンダ後にお湯で患部を流し、ステンレスブラシで磨いてフラックスを徹底的に洗い流そう。フラックスによるサビ発生の防止が目的だ。


鈑金突き合わせ溶接部分は亀裂に注意



ガソリンタンクスキン(露出部分)は、おおむね3ピース構造。上部上面は左右ピースに分かれ、中央で溶接されているモデルが多い。この突き合わせ端部が仕上げ切削で薄くなっている例が多く、振動で亀裂が入ってしまうことがあるのだ。


ガソリン滲みが発生したタンク上面後端部の突き合わせ部分と、将来的なガス漏れが予想されるタンクキャップ金具のマウント部分にハンダを流し込んだ。キャップ金具のマウント部は溝状なので、内部の汚れ落としと脱脂エアーブローを徹底的に行おう。

旧車のレストア時は外装パーツをペイントする機会が多いが、そんなときにはガソリンタンクの「ペイント前段取り」をしっかり行いたいものだ。美しく仕上げたまでは良かったが、しばらく走っていたら「ガソリンが滲んで臭う!?」といった例が、実は数多いのだ。
このガソリンタンクも、ガソリン滲みが原因、マシンオーナーはリペイントを決意。

ガス漏れ箇所は、シートの前方が重なるタンク後方だったが、旧車のガソリンタンクで不具合が多い「燃料キャップの口金」も、溶かしたハンダを口金の溝に流し込み、予防策を行うことにした。

補修手順は……
  1. 鉄板を地肌にしてからワイヤーブラシで患部を磨く
  2. 患部とその周辺に鈑金専用フラックスを塗布
    塗布の際には刷毛筆を使うと無駄なくきれいに塗布できる
  3. ハンダごてで鈑金患部をしっかり温めてからハンダを溶かして流し込む。
    母材が温まっていないとハンダは流れず、また、温めすぎるとハンダが丸まってコロコロしてしまい、流れない。バランス良く母材を温めるのが重要なのだ。
  4. 鉄板が厚く、ハンダごてだけでは熱が逃げ、足りない場合は、ガスバーナーや工業用ヒートガンで患部を温めて、保温的なバックアップをするのが良い。


POINT
ハンダがきれいに流れると鈑金患部がハンダで盛り上がる。
うまく盛れないときには、患部を再度(ステンレス)ワイヤーブラシで磨いて汚れを除去し、さらにフラックスを塗布して最初からやり直そう。
しっかり盛れれば成功だ。
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