FIM世界耐久選手権で3度の優勝を誇るダビド・チェカ選手が、ボルドールに戻ってくる。彼は、このレースで過去2度優勝し、2022年にも優勝にあと一歩のところまで近づいた。負傷したグレゴリー・ルブラン選手に代わってKawasaki Webike Trickstarに招集されたスペイン人ライダーのチェカ選手(44歳)は、我々のインタビューに次のように答えてくれた。
Q:ほぼフルシーズン離れていたけど、EWCに復帰。ボルドールに参戦する機会はどのようにして生まれたのか?
A:いつもはERC Enduranceで走るつもりだったんだけど、結局、それは不可能だった。そこで、今シーズンの契約があるから、ボスのウーヴェ・ラインハルト氏に、もし乗れるチームが見つかったら、自由にレースに出ていいかと尋ねたんだ。グレゴリーが日本で怪我をしたとき、僕はとてもがっかりしたんだ。だって、彼は長い間チームを見つけるのに苦労していたけど、今はとてもうまく走っていたからね。誰かが怪我をしたからといって、僕が乗るのはあまり好きではないんだ。それは良いきっかけとは言い難いからね。でも、僕が乗らなければ、誰かが乗るだけ。僕は、チームのこともバイクのこともタイヤのことも知っているから、チームに僕に興味があるか聞いたんだ。僕はこのチームでワールドチャンピオンを獲得したし、チームメイトやスタッフは違っても同じチームなんだ。ポール・リカールでテストをしたんだけど、楽しかったよ。バイクに乗る感覚を取り戻すことができたよ。1年乗らなかったからね。僕はとてもうれしかったし、チームも喜んでくれたんだ。今の僕の新しい目標は、カワサキとチームのために良い結果を出すこと。カワサキとチームが僕を信頼してくれているから、チームのために、そして僕とチームメイトのために、全力で良い結果を取りに行くつもりだよ。
Q:2年前、あなたはERC Enduranceでボルドール優勝まであと一歩のところまで迫ったけど(写真上)、終盤にマシントラブルでストップしてしまった。その悔しさは、今週末に何か特別なことを成し遂げるための特別なモチベーションになっているのか?
A:2019年のカワサキでも、ランディ・ド・プニエとジェレミー・ガルノニとともにレースをリードしていたことがあった。レースでは勝っていたのに、電気系統のトラブルでリタイアしてしまった。ランディはこのレースで優勝したことがなかったから、彼のためにも一生懸命走ったんだけどね。彼は本当に良いレースをしたんだ。僕にとっては悪夢のようなレースだったけど、このようなレースは何度もあったよ。何もせずに勝つこともあれば、全力を尽くして負けることもあるんだ。今回のレースで何ができるかはまだわからないけど、チームメイトのクリスチャン・ガマリノとロマン・ラモスが本当によくやってくれている。チームは良い結果を出すために本当に意欲的だから、チームの雰囲気もとても良いんだ。耐久レースでは何が起こるかわからないけど、僕らが上手く機能すれば、表彰台を目指して戦えると思っているよ。
Q:ポール・リカール・サーキットはEWCカレンダーの中で最も長いコースではないけど、最も簡単なコースでもないから、良いラップタイムを出すのは難しいのでは?
A:ミストラル・ストレートは1.6kmと長く、コーナーには高速コーナーと低速コーナーがあるんだ。マシンのセットアップの妥協点を見つけるのも簡単ではないし、いつでも良いタイヤを選択するのは簡単なことではないんだ。夜間は冷え込むのから、ストレートでタイヤが冷えてしまい、タイヤをダメにしてしまうこともあるからね。レイアウト的には難しいコースではないけど、タイヤチョイスが難しいコースなんだ。エンジンにとっても厳しいコースなんだ。ストレートでエンジンを壊してしまう可能性があるから、エンジンがフルパワーにならないように気を使う必要があるんだ。一瞬一瞬で何をするか、よく考える必要があるんだ。
Q;今シーズン、EWCのテレビ中継は見ていた?
テレビも見ていたし、タイミングもチェックしているよ。耐久レースは僕の人生で、キャリアだからね。耐久レースで勝ち始めて、今回で22回目のボルドールとなる。僕の人生の半分は耐久レースなんだ。レース全般大好きだけど、耐久レースは普通のバイクで勝てるから特に好きなんだ。他の選手権では、すべてが揃っていなければ良い結果を出すのは本当に難しいからね。耐久レースでは、チームがミスなくうまく機能して、ライダーが良ければ、表彰台に上れるし、勝つこともできる。勝つときはチーム一丸となって勝つ。負けたときはチームと一緒に負ける。これが耐久レースが好きなところなんだ。勝つと泣くし、負けると泣く。これはEWC独特のもので、僕はこれが大好きだ。耐久レースを始めるきっかけとなったボルドールに戻ってくることは、僕にとって喜びなんだよ。
Q:クリスチャンとラモンの印象は?
A:ドゥカティからカワサキに乗り換えるのは簡単ではなかったから、彼らのアドバイスはとても助かったよ。チームメイト達は、いろいろ教えてくれたからね。1日で20周と長い時間走ることはできなかったけど、そのおかげでマシンの乗り方やマネージメントを理解することができた。まるでチームから離れたことがなかったかのようだったよ。彼らは僕を家族の一員のように扱ってくれたんだ。ロマンとクリスチャンは素晴らしいライダーだよ。僕はラインを理解するためにクリスチャンについて走ったんだ。あとはレースで何ができるかだね。プレッシャーがないときはすべてがシンプルなんだ。プレッシャーがかかるとどうなるか見てもらいたい。でもチームメイトやチームの助けには本当に感謝しているよ。
チームはよく働いてくれるし、ボックス内では本当に速いけれど、耐久レースは耐久力なんだ。
見どころ満載だったEWC2024年シーズンは、9月12~15日にフランスのポール・リカール・サーキットで開催される有名なボルドール24時間レース
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情報提供元 [ FIM EWC ]