来週開催されるFIM世界耐久選手権とFIM耐久ワールドカップのタイトル最終決戦のボルドール24時間レースでは、世界中のトップクラスのレーサーたちが栄光を目指して全力を尽くす。

ルマン、スパ、鈴鹿での見どころ満載のレースを経て、Warner Bros. Discovery Sportsがプロモートする第10回目となる2024年EWCシーズンは、9月12~15日にポール・リカール・サーキットでスリリングなフィナーレを迎える。この最終戦では、4つのFIMタイトルすべてが争われる。

FIM世界耐久選手権のタイトル争いでは、ディフェンディング・チャンピオンのYamalube YART Yamaha EWC Official Teamと、昨シーズンのボルドール24時間レースで1位を獲得したYoshimura SERT Motulのトップ2がわずか6ポイント差で競い合っている。テレビやオンラインで世界中に生中継されるボルドール24時間レースは、事実上、勝者総取りのシーズンクライマックスとなった。

しかし、最大65ポイントを獲得できるボルドール24時間レースでは、3位のBMW Motorrad World Endurance Teamと現在4位のTati Team Beringer Racingもタイトル争いに加わることになる。しかし、この2チームはボルドール24時間レースで大きな得点を挙げ、YARTとSERTチームに運が味方しないことを祈る必要がある。YARTとの差は、BMWが44ポイント差、Tatiが55ポイント差だ

もし仮にYamalube YART Yamaha EWC Official Teamが勝利し、2年連続のFIM EWCタイトルを獲得すれば、ニッコロ・カネパ選手引退の餞としてふさわしいものとなる。2度の世界チャンピオンであるカネパ選手は、ボルドール24時間レースを最後に現役を引退するが、この36歳のイタリア人ライダーは、タイトル獲得者としてレース人生にピリオドを打つ決意を固めている。

「このスポーツでこれほどの成功を収め、これほどの喜びを味わえるとは想像もしていなかったよ。」とカネパ選手は語った。「僕はレースにすべてを捧げてきたけど、想像以上のものを得ることができた。EWCで2回、スーパーストックで1回タイトルを獲得することができたからね。ボルドール戦後、3度目のEWCタイトルを獲得できることを信じているよ。」

スーパーストックをベースとするFIM耐久ワールドカップのチャンピオン争いもまだ決着がついていない。National Motos Honda FMAは、ダンロップがタイヤを単独供給するこのカテゴリーで53ポイントという圧倒的なアドバンテージを保持しているが、スーパーストックチームは4大会中ベスト3となった大会のポイントをカウントするため、3ART Best of Bike、Chromeburner-RAC 41-Honda、日本のニューカマーチーム、Team Étoile、そしてAviobike by M2 Revoのチームのいずれかがスーパーストッククラスで最大で合計65ポイントを獲得できることを考慮すると、まだ一波乱ある可能性がある。National Motos Honda FMAは昨年、残り20分のところでメカニカルトラブルに見舞われ、タイトル獲得に逃したという苦い経験を持っている。今年のボルドール24時間レースは、このEWC強豪チームにとって、そのリベンジを果たす絶好の機会であるものの、チームは最低でも最小得点を更新しなければならない。

FIM世界耐久選手権マニュファクチャラー部門では、ヤマハが5ポイント差でホンダをリード、FIM耐久ワールドカップマニュファクチャラー部門では、ホンダが34ポイント差でヤマハをリードしている。

全長5.673kmのポール・リカール・サーキットは、EWCレースが行われるサーキットで3番目に長い。低速、中速、高速コーナー、そして、1.8kmのミストラル・ストレートが組み合わされるレイアウトとなっている。抜きつ抜かれつのの激しいバトルが行われるこのミストラルでは、時速300km以上で20秒間走ることが要求される。この伝統のシーズン最終戦では、変わりやすい天候や風の強さも結果の要因となる。

負傷のルブラン選手、EWC復帰のチェカ選手にボルドールのバトンを渡す
グレゴリー・ルブラン選手は、ボルドール24時間レースへの出場を目指していたが、残念ながら怪我からの完全回復には及ばず、不出場を受け入れ、代わりにダビド・チェカ選手がその代役のため、このチームに招集された。ルブラン選手は、7月に開催された"コカ·コーラ" 鈴鹿8時間耐久ロードレース第45回大会のウォームアップ走行で転倒し、足を骨折してしまった。フランス人選手は、過去4回優勝しているレースに間に合うよう回復するために全力を尽くしたが、24時間レースではKawasaki Webike Trickstarのバイクから降りる決断をした。全文はこちら

ギュントーリ選手のEWCボルドール欠場発表後、スーマー選手がレースに代役参戦
シルバン・ギュントーリ選手は、2024年シーズン最終決戦となるボルドール24時間レースを欠場することを発表した。昨シーズンのボルドール24時間レースで、Yoshimura SERT Motulの優勝に貢献した元EWCチャンピオンのギュントーリ選手は、BMW Motorrad World Endurance Teamのライダーとしてこの24時間レースに出場する予定だった。しかし、彼は個人的な理由により、ポール・リカール・サーキットで行われるこのラウンドを欠場することになった。この理由については、EWCファミリー全体とそれ以外の人々から全面的な支持を得ている。後任にはエストニア人ライダーのハンネス・スーマー選手が選ばれた。全文はこちら

Yamaha R7 European Superfinale、EWC最終戦ボルドール24時間レースとの併催が決定
エキサイティングな動きとして、FIM世界耐久選手権では、ボルドール24時間レースに新たなゲストレースを迎える。Yamaha R7 European SuperFinaleには、全国レベルのヤマハカップやチャレンジに参戦する約30名のライダーが招待される。2回の予選を経て、9月13日(金)に2レースのうちの第1レースが開催され、EWCライダーがボルドールのコースに向かう直前の9月14日(土)12:10(中央ヨーロッパ時間、以下CET)に第2レースが行われる。Yamaha R7 European SuperFinaleの優勝ライダーには、ヤマハRシリーズの最新モデルであり、俊敏なハンドリングとスポーツ性能、そして日常の楽しさを完璧に融合させた新型R7が贈られる。また、2位と3位のライダーには、最寄りのYamaha GYTR PRO SHOPで使用できるGYTRパフォーマンスパーツ引換券が贈られる。

ポール・リカール・サーキットでのポイント獲得方法とEWCでの順位
ボルドール24時間レースでのポイント獲得方法については、こちら、"コカ·コーラ" 鈴鹿8時間耐久ロードレース第45回大会までの暫定順位は、こちらから確認できる。

EWCライダーたちのコメント

グレッグ・ブラック選手(フランス)、Yoshimura SERT Motul:「僕たちの目標は、チャンピオンシップタイトルを取り戻すことなんだ。僕たちにはそのための力はあるからね。いつものように運も必要だけど、パフォーマンス的には上位に食い込めると思っているよ。自分たちがこのコースで強いことは分かっているしね。スピードでもコーナーでも僕らのマシンに合っているようだし、コース上では快適に走ることができるんだ。とはいえ、乗り越えなければならない困難もあるから、決して油断できないけど。8月1日にピンを抜いてから、手首の状態はずっと良くなっている。理学療法とエクササイズをたくさんやってきたし、すべてがいい方向に進んでいるよ。」

ダビド・チェカ選手(スペイン)、Kawasaki Webike Trickstar:
グレゴリー(・ルブラン選手)が日本で怪我をしたとき、僕はとてもがっかりしたんだ。だって、彼は長い間チームを見つけるのに苦労していたけど、今はとてもうまく走っていたからね。僕はこのチームでワールドチャンピオンを獲得したし、チームメイトやスタッフは違っても同じチームなんだ。ポール・リカールでテストをしたんだけど、楽しかったよ。バイクに乗る感覚を取り戻すことができたよ。1年乗らなかったからね。僕はとてもうれしかったし、チームも喜んでくれたんだ。今の僕の新しい目標は、カワサキとチームのために良い結果を出すこと。カワサキとチームが僕を信頼してくれているから、チームのために、そして僕とチームメイトのために、全力で良い結果を取りに行くつもりだよ。良いチームメイトに恵まれ、チームは良い結果を出すために本当に意欲的だから、チームの雰囲気もとても良いんだ。耐久レースでは何が起こるかわからないけど、僕らが上手く機能すれば、表彰台を目指して戦えると思っているよ。

マイク・ディ・メリオ選手(フランス)、F.C.C. TSR Honda France:
「ここは長いストレートがあるから、バイクにとっても僕たちの首にとっても厳しいコースなんだよ。速いマシンと遅いマシンのスピード差があるから、本当に難大変なんだエンジンに対しても気を使わなければならなしね。でも、このコースは好きだよ。シケイン後の最初の部分と、ストレート後のシグネス・コーナー、それから右のダブル・コーナーは特に好きだし、オーバーテイクするのに適しているんだ。今シーズンは、僕たちにとってとても厳しいシーズンだったね。ルマンでのクラッシュ、スパでの欠場(負傷のため)、鈴鹿でのニューマシンのトラブル、そしてクラッシュ......。」とディ・メリオ選手は語り始めた。「表彰台に上がることは最低限必要なことなんだ。そんな形で今シーズンを終えることができれば、冬や来シーズンに向けてのモチベーションを高めることができるからね。もちろん、優勝できれば最高だけどね。でも、耐久レースでは何が起こるかわからないから、いいペースを早い段階で見つけ、表彰台に近づけるように努力するつもりだよ。」

マチュー・ギネス選手(フランス)、Team 18 Sapeurs Pompiers CMS Motorstore:
「ボルドール24時間レースは、本当に難しいレースだけど、僕はこのコースをそれほど苦手だと思っていないし、ここが好きだからどうしても参戦したかったんだ。どうしたら参加できるかをずっと考えていたよ。僕は今、このチャンスをもらって、EWCシーズンの最後のレースで戻ってくることができたから、本当にうれしく思っているんだ。チームメイトはとても速いから、きっと素晴らしいレースをすることができると思っているんだ。チームがチャンピオンシップで優勝することは不可能だけど、2位を勝ち取ることは可能なんだ。だから、チームとライダー全員と一緒にベストを尽くすつもりだよ。」

カレル・ハニカ選手(チェコ)、Yamalube YART Yamaha EWC Official Team:
「シーズンを通してナンバーワンであることを証明してきたつもりだよ。そのためにマシンにもその証が刻まれているんだし、誰もがそのことを知っているはずだよ。だから、ボルドールには自信を持って臨める信じているんだ。今年はミスが少なかったし、チームも素晴らしい仕事をしているし、マシンも素晴らしい。世界のどのコースでもSERTに勝てると信じているんだ。ミストラル・ストレートはかなり特別で、ストレートでは速いマシンと遅いマシンがいて、時速300km以上で走るから注意しなければならないんだ。完全に集中しなければならないんだよ。コース自体も素晴らしいし、ランオフエリアは相当広いんだ。だから、特別なレースなんだよね。

ハンネス・スーマー選手(エストニア)、BMW Motorrad World Endurance Team:
「ボルドール24時間レースに出場するのは初めてだし、ファクトリーチームで走るのも初めてなんだよ。もっとハッピーに考えたいけど、シルバンのことを考えるとね。初めてのチャンスを掴むにはこんな形でなければよかったんだけど、でも、ベストを尽くすよ。ルマンでは、夜の厳しい部分、つまりみんなが語っている家に帰りたくなるような寒さを味わうことはできなかった。カーレーシング・シミュレーターで可能な限りコースを学んでいるんだ。「鈴鹿のときと同じで、少なくともターンの方向は理解したよ。でも、今週中にもっと覚えないといけないね。」ファクトリーチームのレザーを着ている以上、プレッシャーはあると言いたいけれど、考えないようにしているんだ。マーカス(・ライターバーガー選手)とイルヤ(・ミハルチク選手)から、夜間でのマネージメントやできる限りのことを学びたいと思っているよ。


鈴鹿のスーパーストッククラスで優勝したハンネス・スーマー選手

暫定主要タイムスケジュール*

9月12日(木)
14:10-16:10:フリー走行
17:20-17:40:予選1回目(ブルーライダー)
17:50-18:10:予選1回目(イエローライダー)
18:20-18:40:予選1回目(レッドライダー)
18:50-19:10:予選1回目(グリーンライダー)
20:40-21:40:ナイトプラクティス

9月13日(金)
11:00-11:20:予選2回目(ブルーライダー)
11:30-11:50:予選2回目(イエローライダー)
12:00-12:20b予選2回目(レッドライダー)
12:30-12:50:予選2回目(グリーンライダー)
18:15-19:20:ピットウォーク

9月14日(土)
15:00:ボルドール24時間レース第87回大会決勝スタート

9月15日(日)
15:00:ボルドール24時間レース第87回大会決勝終了

*すべての時間は中央ヨーロッパ時間で、変更される場合がある。

ボルドール24時間レース概要
場所:フランス、ポール・リカール・サーキット
所在地:RDN8 - 2760 Route des Hauts du Camp 83330 Le Castellet, France
日時:2024年9月12~15日
コース全長:5.673km
レース距離:24時間

ベストラップ:
予選:BMW Motorrad World Endurance Team(マーカス・ライターバーガー選手、1分51秒596、2023年)
決勝:BMW Motorrad World Endurance Team(イルヤ・ミハルチク選手、1分52秒898、2023年)

300文字でわかるポール・リカール・サーキット
2022年に100周年を迎えたボルドール24時間レースは今回、第87回大会となり、今シーズン2戦目の24時間レースとなる。南フランスのポール・リカール・サーキットで31回目の開催となるこの伝説的なイベントは、FIM EWCの4つのタイトルをすべて決定するレースとなる。全長5.673kmのコースレイアウトのうち、堂々としたミストラル・ストレートは1.8kmを占める。抜きつ抜かれつのの激しいバトルが行われるこのミストラルでは、時速300km以上で20秒間走ることが要求される。2023年大会ではYoshimura SERT Motulが優勝したこの伝統のシーズン最終戦では、変わりやすい天候や風の強さも結果の要因となる。

概要:
ボルドール24時間レースの豆知識
※ボルドールは1922年にボージュール、クリシー=ス=ボワ、リブリ=ガルガンの間の未舗装路を走る5kmのサーキットで初めて開催された。
※当時は1台のバイクに1人のライダーしか乗れず、給油以外の停車は禁止されており、完全なレースというよりは生き残りを賭けたものだった。
※1954年まではチームメイトが必要で、1978年までは3人目のライダーは認められていなかった。
※ボルドール24時間レースは2022年に記念すべき100回目大会を迎えるが、ポール・リカール・サーキットで開催されるのは今年で31回目、第87回大会となる。
※第二次世界大戦、社会的関心の低下、COVID-19の流行により、1940-46年、1961-68年、そして2020年のボルドールは開催されなかった。

近年の優勝チーム
2023年:Yoshimura SERT Motul(グレッグ・ブラック選手、シルバン・ギュントーリ選手、エティエンヌ・マッソン選手)、717周
2022年:Viltaïs Racing Igol(フロリアン・アルト選手、エルワン・ニゴン選手、スティーブン・オデンダール選手)718周
2021年:Yoshimura SERT Motul(グレッグ・ブラック選手、ザビエル・シメオン選手、シルバン・ギュントーリ選手)704周
2019年:Suzuki Endurance Racing Team(ヴァンサン・フィリップ選手、エティエンヌ・マソン選手、グレッグ・ブラック選手)313周
2018年:F.C.C. TSR Honda France(フレディ・フォレイ選手、ジョシュ・フック選手、マイク・ディ・メリオ選手)698周

優勝を狙うのは誰?ボルドールの暫定エントリーリストは、EWCメディア・スポーティティ・チャンネル(パスワード:2024FIMewc-Media)で入手できる。詳しくはこちらをご覧ください。


ニコロ・カネパ選手が所属するYART Yamahaがエントリーリストのトップに

結果とライブタイミング: https://www.its-results.com

視聴方法: https://www.fimewc.com/en/watch-the-races

チケット情報: https://boldor.com/billetterie/

情報提供元 [ FIM EWC ]

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