ニッコロ・カネパ選手は、ボルドール24時間レースにおいて、ヤマハマシン #7にスリックタイヤを装着するという思い切った決断を下し、オープニングラップの注目をすべてさらった。
24時間レースがスタートした時、ポール・リカール・サーキットは、未だウェットコンディションであったが、 カネパ選手は、序盤の周回を順調にこなし、31分後にはトップに立った。 その結果、Yamalube YART Yamaha EWC Official Teamは、見事、FIM世界耐久選手権タイトルを獲得することができたのだ。
その勇姿から1カ月後、ウエットコンディション対応のブリヂストンタイヤではなく、スリックタイヤを選択したイタリア人ライダーのカネパ選手(35歳)は、我々にこう語った。
「ピットチーフのアンドリューと話し合って、(周囲の)気温が高いことを確認したんだ。その時、コースは、まだ濡れていたんだけど、すぐに乾くと判断したんだ。『もし、55分間スティントを走らなければならないとしたら、レインタイヤでは55分間はもたない。もう1回ピットストップが必要になる。』だから『よし、スリックで行こう』と決めたんだ。最初の5、6周は特に慎重に走らなければならないと思っていたし、他のライダーが何をしているのか見ないようにしていたよ。結果的に、それがいい選択だったから、ほっとしたけどね。」
彼は、こう続けた。「スタート時は、路面がまだ濡れていたけど、ブリヂストンは、このなコンディションでも素晴らしい性能を見せてくれるんだ。だから、本当にスムースに走れるようにだけ注意を払っていたんだ。でも、かなり難しかったけどね。(スタート前に)他のチームがタイヤウォーマーを外した時、みんなスリックタイヤを履いていなかったのを見て、ちょっとビビったけどね。でも、逆に、「よし、僕しかいない!」と思ったんだ。前向きすぎるよね。結果的には、それが正しい選択だったと思うよ。」
カネパ選手は、FIMスーパーバイク世界選手権でPata Yamaha Prometeon WorldSBKチームのコーチを務めていることが、この9月16日のEWCシーズン最終戦を前にした意思決定に役立ったと説明した。
「スーパーバイク世界選手権では、トプラク(・ラズガトリオグル選手)とロカテッリ(・アンドレア選手)のコーチを務めるのが僕の仕事だけど、彼らのために最善のタイヤを選択するのは、簡単なことではないんだ。今回は、スターティンググリッドについた時、4人目のライダー(ロビン・ミュルハウザー)に頼んで、コースをチェックしてもらったんだ。彼に写真を送ってもらったりしてね。そして、クルーチーフのアンドリューとも話し合ったんだよ。僕は、『いけそうな気がするよ。こういうコンディションは好きだし、ブリヂストンタイヤに何がきるかもわかっているからね。』って話したんだ。だから、『スリックで行こう』って言ったんだ。」
「それがベストな選択だと、みんな納得してくれたよ。チームメイトも理解してくれたし、クルーチーフのサポートもあったからね。『そうしよう!』って言ってくれたんだ。最終的には、それがいい選択だったと思っているよ。」
「最初の4、5周は、まだ路面が濡れていて、難しいことはわかっていたけど、ブリヂストンのタイヤはこのような混戦のコンディションで、信じられないほどよく機能してくれたんだ。そのおかげで、後半のスティントではトップに立つことができたし、ギャップを広げることもできたんだ。」
情報提供元 [ FIM EWC ]