FIM世界耐久選手権の栄光をかける白熱した戦いは夜通し続き、ポール・リカール・サーキットで開催されているボルドール24時間レース第100回記念大会は、残り8時間を迎えても一向に衰える気配がない。

8時間経過時点で首位を走っていたERC Endurance-Ducatiは、真夜中にピットストップの違反によるストップ&ゴーペナルティを受けたが、その優位性を維持していた。しかし、00:45前にクラッチ交換のための予定外のピットストップを余儀なくされ、その活躍に暗雲が立ち込めた。このピットストップにより、Ducatiは4位に後退し、TATI Team Beringer Racingが首位に立った。

この時すでにラジエーターとエキゾーストのトラブルによりトップ争いから後退していたF.C.C. TSR Honda Franceは、5位を走行していたが、さらに3:56に2度目のマフラー交換でタイムを落とし、カワサキマシンを使用するフランスのプライベートチーム、TATI Team Beringer Racingが、FIM世界耐久選手権チームクラスの優勝を目指し、疾走していた。

4度のボルドール24時間レース優勝を誇るグレゴリー・ルブラン選手を筆頭に、新加入のレオン・ハスラム選手や若手のバスティアン・マッケルズ選手を擁するTATI Team Beringer Racingは、模範的な走りを見せ、夜間走行をほとんど行わなかったBMW Motorrad World Endurance Team、YART - Yamaha Official Team EWC、Yoshimura SERT Motulといったライバルたちが経験した落とし穴を上手く避けてレースを組み立ててきた。

しかし、ERC Endurance-DucatiのEWC初優勝への挑戦はまだ終わっておらず、なんと6:09に再びトップに躍り出たのである。この順位変動により、16時間の時点で与えられたボーナスポイントが適用され、F.C.C. TSR Honda Franceにタイトルの可能性が戻ってきたのである。

残り8時間の時点でトップ2台はわずか5.675秒差。2022年EWCの決戦の行方を占う上で、さらなる波乱が起きる可能性は高い。

「いくつかのトラブルで、首位を失ったけど、なんとかまたトップ取り戻したよ。」と、 ERC Endurance-Ducatiのスペインライダーのシャビ・フォレス選手は語ってくれた。「でも、まだ何とも言えないよね。2位との差はわずかだからね。でもフィーリングは問題なく、あとは状況をうまくコントロールするだけだなんだ。マシンはよく走ってくれているし、ペースもいいからね。」

チャズ・デイビス選手が背中を痛めているため、シャビ・フォレス選手とデビッド・チェカ選手が夜間走行の大部分を担っていた。「リードしているときは、それほど痛みを感じないものなんだよ。」とシャビ選手は付け加えた。

Wójcik Racing Teamは、Viltaïs Racing IgolやF.C.C. TSR Honda France、そして、エンジン配線トラブルを起こし、トップ10県外から復帰したWebike SRC Kawasaki Franceを抑えて最終表彰台ポジションを死守している。Team Bolliger Switzerland、Team LRP Poland、MACO Racing、Motobox Kremer Racingは、トップ6圏内で走行後、夜間に順位を落としたTeam Moto Ainの前を走行しており、フォーミュラEWCクラスのトップ10を形成している。

早朝のドラマにより、RAC41-Chromeburnerがスーパーストッククラスのトップを走行中
OG Motorsport by Sarazinは、FIM耐久ワールドカップの栄光に向かって走行していたが、2:50頃にアレックス・プランカサーニュ選手が激しくクラッシュしてしまった。ターン7のセーフティバリアの修復が必要なため、セーフティカーが導入され、アレックス選手は大きなダメージを負ったヤマハマシンをピットに戻した。Team 18 Sapeurs Pompiers CMS Motostoreは、そのままクラス首位を引き継ぎ、タイトルへの望みをつないだ。しかし、その後、オーバーヒート問題による2度のストップでTeam 18 Sapeurs Pompiers CMS Motostoreは優勝争いから脱落している。BMRT 3D Maxxess Neversは、ポールシッターのWójcik Racing Teamを抑えてクラス2位につけている。Pitlane Enduranceは現在、Team 18 Sapeurs Pompiers CMS Motostoreに続く6位につけている。技術的な問題でeam 33 Louit April Motoは大幅に遅れており、また、スイス人ライダー、バレンティン・スエット選手のクラッシュにより、National Motos Hondaはリタイアとなった。バレンティン選手は、現在、病院で治療を受けている。

ボルドールのハイライトとなったシャビ・フォレス選手のスリップストリームオーバーテイク
オープニングラップでは、グレッグ・ブラック選手、マイク・ディ・メリオ選手、シャビ・フォレス選手、マーカス・ライターバーガー選手がそれぞれトップに立つというFIM世界耐久選手権らしい展開となった。しかし、ミストラル・ストレートのスリップストリームで3人のライバルをオーバーテイクしたシャビ・フォレス選手が、最も華麗なパッシングを披露した。その模様はこちらこちら

情報提供元 [ FIM EWC ]

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