2021年ボルドール24時間レースを制し、現在FIM世界耐久選手権ランキングでトップを走るスズキワークスのYoshimura SERT Motul。その一員であるイギリス生まれのフランス人ライダー、グレッグ・ブラック選手(34)は、この伝説的な24時間レース第100回記念大会に向けた準備が続く中、鈴鹿での期待以上の走りができたことや、プレッシャーがないこと、ポールリカールサーキットで勝つために何が必要かなどを我々に語ってくれた。

鈴鹿では3位表彰台を獲得して、ボルドール24時間レースに挑むことになったが、鈴鹿での結果は、期待以上にすばらしい結果だったのでは?
「確かに鈴鹿での結果は、チームにとっても、僕個人にとっても、間違いなく素晴らしい結果だったよ。ヨーロピアンライダーとして、鈴鹿の表彰台に上ることは、いつでもうれしいことなんだよ。日本のチームや日本人ライダー達は、鈴鹿で長い時間をかけて腕を磨いているわけだからね。彼らと鈴鹿で戦うのはいつも大変なんだけど、今年はYoshimura、SERT、ブリヂストンと一緒だったからね。十分に戦うことができたよ。シルバン(・ギュントーリ選手)やザビエル(・シメオン選手)がいなかったから、僕と一樹(渡辺選手)の2人だけでこのレースに臨むことになったんだけど、僕たちには『チャンピオンシップのためにポイント稼ぐ』という明確な目標があったんだ。でも、結果的にはいいペースで走ることができたからね。仮に4位だったとしても、この厳しいレースで僕達は十分にベストを尽くしたと思える戦いをしていたと思うんだ。最終的にYARTはミスを犯して、僕たちは3位でゴールできた。でも、それがレースというものなんだ。いい結果でゴールできて、本当にうれしかったんだ。」

追加となるポイントを獲得できて、プレッシャーから解放された?
「実はシーズンが開幕してからも、それほど大きなプレッシャーを感じていないんだ。僕たちはただ、チームとしてやるべきことをやり続けてきただけなんだよ。周りを気にせずに、いつもチームワークを考えて、努力して、自分の仕事に集中する。それをしていれば、それがかなり僕たちの強みになるんだよ。もし、チャンピオンシップでもっとポイントリードしていたとしても、もしくは、おトップではなくて追いかける立場だったとしても、僕たちはいつでも『チャンピオンシップで勝つ』という同じ目標からスタートするんだよ。」

鈴鹿での調子をポール・リカールのEWCシーズン最終戦にどうつなげる?
「ボルドールでは、いつも結構いい結果なんだよね。このコースはスズキと相性がいいんだよ。ポール・リカールは、小さくてタイトだから十分戦えるし、最も速く走れれば、レースに勝てるということもわかっている。僕達の目標はタイトルを獲得することだからね。それに向けて、僕達は僕達の仕事を続けていくよ。僕達は、もうひとつ、強みを持っているんだ。それは信頼性なんだ。僕らのマシンは信頼性が高い。昔は他のチームはいろいろ問題を抱えていたからね。今年のレースではでも、できるだけ多くのチームが完走してくれることを願っているんだよ。昨年は大きなリードがあって、リタイアが多かったから、正直なところ、終盤は少し退屈なレースになってしまったからね。願わくば、レースが最後までもつれるような素晴らしいレースをして、その中で優勝したいんだ。」

どの時点でスピードと安全を切り替える?
「目標は年間チャンピオンになることなんだ。だからそのためにいかにレース中に必要なポイントを獲得するかなんだ。もし、レース中で3位を走行していたとしても、それがタイトルを獲得するのに十分なポイントであれば、3位でフィニッシュするよ。もしもタイトル獲得のために、2位でゴールする必要があったり、前のマシンを追い抜く必要があるなら、もちろんそれを狙いに行くよ。状況次第なんだ。僕たちはライダーとしても、チームとしても、頭を使って、その時の状況に対応する方法を知っているし、ずっとそうしてきたからね。だから、自分たちの仕事に集中し続けることが必要なんだよ。僕達はルマンでは速かったし、それをスパでも続けて、鈴鹿でもそれができた。だから、ポール・リカールでも十分勝てると確信しているよ。トップ3でゴールすることが僕たちのメインの目標なんだけど、あまりリスクを冒さないでレースに勝てるなら、そうすると思うよ。」

ポール・リカール・サーキットの大変なところは?
「高速で、流れるようなコーナーが多くて、ハードブレーキングのコーナーはあまりなくて、長い長いストレートが続くから、今年のレースの中では体力的に優しいコースなんじゃないかな?スピードが速いから、ミスをしないようにすることが大事だね。遅いライダーや事故、オイルなんかを避ける時、本当に注意しなければならないし、それがどんな状況でも起こりうるということを忘れないようにしないとね。そしてもちろん、信頼性。いつプッシュしなければならないか、いつセーブするべきか。自分のマシンをよく知って、負担を掛けないようにしないとね。」

天候はどう?
「ボルドールの期間中は、一般的に天候に恵まれることが多いだよね。もちろん、雨に見舞われたこともあるし、いつ雨が降ってもおかしくないけどね。
でも、通常、雨が降ったとしてもそれほど寒くはないからね。そんなに問題になることはないと思うよ。だけど、他に問題があるんだよ。風なんだ。何年か前に強風に見舞われたことがあったんだけど、ブレーキングポイントを持っているライダーにとっては本当に大変なんだよ。一般的にも、強い風の中を走るのは難しいから、注意しながら、着実に状況を把握する必要があるんだよね。」

グレッグ・ブラック選手は、シルバン・ギュントーリ選手、渡辺一樹選手と共に、Yoshimura SERT Motulがのブリヂストンタイヤを装着するスズキ GSX-R1000R #1を駆り、9月15日から18日に開催されるFIM世界耐久選手権2022年シーズンの最終戦となるボルドール24時間レース第100回記念大会に参戦する予定だ。現在のランキングはこちら。 https://www.fimewc.com/standings/

情報提供元 [ FIM EWC ]

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