スパ24時間EWCレースは、8時間の壮大なアクションの後、地元のヒーロー、ザビエル・シメオン選手が所属するYoshimura SERT Motulが現在の順位でトップに立ち、母国開催レース勝利への希望が高まっている。
FIM世界耐久選手権は今週末、2001年以来となるスパ・フランコルシャン・サーキットで、伝説のレース、リエージュ24時間の精神を蘇らせたスパ24時間EWCレースが開催されている。
炎天下のメインスタンド前で行われたルマン式ランニングスタートに続き、オープニングアワーでは何度もトップが入れ替わる激しいバトルが繰り広げられた。華々しいスタートから1時間、トップ5のグレッグ・ブラック選手、マービン・フリッツ選手、ジョシュ・フック選手、フロリアン・マリノ選手、マーカス・ライターバーガー選手が何度もオーバーテイクを繰り返し、次々とトップを奪い、ファンや世界中のライブ中継を見守るファンを魅了した。
1時間経過時点で、Yoshimura SERT Motulは、F.C.C. TSR Honda Franceと、ポールポジションからスタートしたもののやや出遅れたYART - Official Team EWCを抑えてトップに立っていた。そしてレース開始から3時間14分後、ニッコロ・カネパ選手がスピードセンサーの交換のためにピットインし、オーストリアチームはさらに不利な状況に陥ってしまった。
ブリヂストンタイヤを装着したYZF-R1でポールポジションを獲得したカレル・ハニカ選手は、走行中にハンドリングの不安定感を報告し、それによりフリッツから交代したばかりのカネパは4分ほど待たされることとなった。8時間を経過した時点で、YARTは暫定4番手。
前方では、Yoshimura SERT MotulとBMW Motorrad World Endurance Teamによる戦略的なトップ争いが繰り広げられた。
ダンロップタイヤを装着するベルギーのBMWチームは1スティントあたり6周ほど長く周回するという戦略をとり、ブリヂストンタイヤを装着するフランスのスズキチームは、より頻繁なピットストップを行うことにより、速いラップタイムをキープするという戦略を選択。スズキ GSX-R1000を駆るシルバン・ギュントーリ選手が2分21秒056で現在までのベストラップを保持している。
また、5時間経過後に、JMA Racing Action Bikeのヤン・アンシア選手がクラッシュしたため、セーフティカーが導入され、レースが再開された際、Yoshimura SERT Motulは有利なポジションに陣取っていた。ベルギー人ライダーのヤン選手に怪我はなかったものの、JMAのスズキマシンは出火して大きなダメージを受けた。
しかし、シルバン選手が黄旗追い越し違反で10秒間のストップ&ゴーのペナルティを受けたことで、それまで優位にあった状況が一変することになった。
ザビエル・シメオン選手は次のように語っている。「ここで走れることはとても特別なことなんだ。だからとてもうれしいよ。最初のスティントの1週目は、他のレースとは違ってちょっと特別だったね。最初のスティントが終わった後はプレッシャーを感じなくなっよ。」
一方、F.C.C. TSR Honda Racingは、CBR1000RR Fireblade SPをジョシュ・フック選手とシェアするマイク・ディ・メリオ選手とジノ・レイ選手が8時間経過時点で2位と、表彰台争いにしっかり食い込んでいる。BMW Motorrad Endurance Teamが3位、YART - Yamaha Official Team EWCが4位、Tati Team Beringer RacingとWójcik Racing Team EWC 77がそれに続いている。
Viltaïs Racing Igolは4位まで順位を上げ、5位につけるなど順調に走行していたが、エルワン・ニゴン選手が約6時間半経過後にヤマハマシンを転倒させ、長いピットストップを余儀なくされた。
ダンロップ・スーパーストック・トロフィーのライダーは、FIMエンデュランスワールドカップでも勝利を目指し、壮大なアクションを繰り広げている。新加入のケビン・カリア選手とクリスチャン・ガマリノ選手、シモーネ・サルタレッリ選手を擁するTeam 33 Louit April Motoは、Team 18 Sapeurs Pompiers CMS Motobaseをリードしている。National Motosは首位争いに加わっていたが、石でホンダマシンのラジエーターを損傷し、エンジンがオーバーヒートしたためリタイアとなった。ポールポジションからスタートしたWójcik Racing Team STK 777 Yamahaは、最初のスティントでDanny Webbがコースオフし、出遅れたが、No Limits Motor Teamも、「技術的な問題」のために2回の予定外のピットストップを行ったため、トップに躍り出るチャンスを逸した。JMA Racing Action Bikeは、シケインの立ち上がりでC・ゲーネンが転倒し、ADSS 97は回避行動を取らざるを得なくなるなど、苦戦を強いられた。
ランディ・ド・プニエ選手がスタートから2時間半後にクラッシュし、Webike SRC Kawasaki Franceにとって心痛の出来事となった。
フロリアン・マリノ選手は、スタートからラ・ソースまで先頭を走るなど、オープニングアワーでは、上位5台によるトップ争いに加わっていたが、彼のスティント終了間際にシケインで他の選手と接触、転倒し、好成績への望みはここで遠ざかっていった。ZX-10RRの修復に3分以上を費やした後、エティエンヌ・マッソン選手のスティントが始まったが、エティエンヌ選手もブレーキトラブルでシケインで転倒。
そのため、6分の遅れが出ていたが、ランディ選手の転倒により、この悲惨な午後に拍車をかけた。一方、フロリアン選手は転倒後、病院に運ばれ、メディカルチェックを受けた。
ERC Endurance-Ducatiは、燃料ポンプのトラブルにより、レース序盤に予定外のピットストップを余儀なくされ、早くも出鼻をくじかれた。スタートで出遅れたシャビ・フォレス選手に続いての出来事だった。
8時間後のポイント
"12時間から24時間のEWCレースでは、フォーミュラEWCクラスとダンロップ・スーパーストック・トロフィークラスに8時間と16時間後にボーナスポイントが与えられる。8時間経過後のポイントは、各カテゴリー上位10チームに上位から10-9-8-7-6-5-4-3-2-1ポイントが付与される。"
情報提供元 [ FIM EWC ]