MOTO AINは、2022年シーズン開幕戦のルマン24時間レースに、元MotoGPレーサーのブラッドリー・スミス選手をはじめとするトップライダー3人を選出し、FIM耐久世界選手権に参戦する準備を整えている。

これまでEWC24時間レースに出場したことがないイギリス人ライダーのブラッドリー選手は、フランス人ライダーのコランタン・ペロラリ選手や経験豊富なイタリア人ライダー、クラウディオ・コルティ選手とともに、MOTO AINフォーミュラEWCチームの新ライダーラインアップに加わった。

これは、4月にフランスで開催されるルマン24時間レースの事前テスト後に発表され、2021年シーズン、トップカテゴリーにステップアップしたこのフランスチームにとって、苦悩の時期に終わりを告げるものであった。

MOTO AINのピエール・シャピュイ監督、こう説明する。「毎年、私は進歩しようと努力しているんだよ。2021年シーズンは、ボルドール24時間レースでの2位を含む素晴らしい結果を得て、EWCクラスでも我々の名を刻むことができた。だけど、EWCフォーミュラクラスは、スーパーストッククラスよりもはるかに厳しいものなのなんだ。

この冬は、いろいろな事がとてもとても複雑に絡み合って、チーム創設以来最悪のオフシーズンとなってしまったんだ。しかし、幸いなことに、チームメンバーの何人かが2022年へのプロジェクト継続を支持してくれて、ヤマハ、Dafy、Iponeといったパートナーもそれに応えてくれたんだ。すべての苦難を乗り越えて、スタートラインに立てたことを本当にうれしく思っているよ。」

ピエール監督はこう続けた。「ルマン24時間レースのライダートリオは、とても良いよね。3人のライダーは、最初のテストで同じ秒数で周回し、全員が良いリズムを持っていたんだ。これは、3人のライダーのマシンセッティングを同時に進めることができるということだからね。とても良いことなんだよ。」

「我々はヤマハ YZF-R1の去年までの実績ある基盤をそのまま使っているんだ。純粋なパフォーマンスが不足していることは分かっているんだ。だけど、プライベートチームという限られたリソースの中では、選択しなければならないこともあるんだ。だから、我々の強みである『一貫性と信頼性』に賭けてみようと思ったんだ。レースでどんな走りができるのか、今から楽しみだよ。」

EWCルーキーのブラッドリー選手、"クレイジー "なことをやる気満々
ロードレース選手権の4クラスすべてで表彰台を獲得しているブラッドリー・スミス選手は、EWCレースとして名を連ねた2015年の鈴鹿8耐にヤマハから参戦し、優勝を果たしている。ロードレース世界選手権125ccクラスで3度の優勝を誇るブラッドリー選手は、ブガッティ・サーキットでも多くのレースを経験している。

「若い頃からレースをしてきた20年間はトップレースであるMotoGPに到達することに集中してきたんだ。」と31歳のブラッドリー選手は語る。「結果には満足しているんだけど、ロードレースを愛する者として、他の競技にも興味があるんだ。ルマン24時間レースは、世界でも最も有名な耐久レースのひとつだけど、24時間をノンストップで走り続けるというのは、正直言ってクレイジーだよね。だけど、昨年の冬、ピエール監督からルマンへの参戦の話をもらった時、僕は好奇心を刺激されて、『やってみようか』と思ったんだ。スペインで何度かテストを行ったけど、ラップタイムはなかなか良かったんだよね。ライバルに比べるといくつかファクトリーパーツが足りないけど、ヤマハ YZF-R1の技術的なベースが良いんだよ。幸い、僕のライダー人生にはまだ少し時間があるからね。この新しいチャレンジにワクワクしているんだ。厳しいレースになることは間違いないんだけど、初めて経験するレースもいいものだよね。フランスGPで走ったことのあるコースとはいえ、それ以外はすべて初めての経験なんだよ。」

クラウディオ選手、MOTO AINで長年の夢を達成
クラウディオ・コルティ選手もブラッドリー・スミス選手と同様に、Moto2やMotoGPで活躍し、GPレベルの経験を積んでいるライダーだ。34歳になるイタリア人ライダーにとってもルマン24時間レースは未知の世界だが、何年も前から参戦を望んでいたレースでもある。

「ルマン24時間レースは、バイクの象徴的なレースだよね。」と彼は語る。「このレースは、ライダーの参戦したいレースリストには必ず入っているんだ。すべてのライダーが一生に一度は経験すべきものであり、だからこそ、ここでレースをすることに大きな興奮を覚えているよ。僕は、MOTO AINはファクトリーチームに次ぐ最高のプライベートチームのひとつだと思っている。僕にとって非常に競争力のあるマシンを用意してくれている。R1は信頼性と安全性が高いからね。たとえクルー全員がボランティアであっても、一人ひとりがレースに対して本当に献身的なんだ。他のプライベートチームとも十分戦えるし、ファクトリーチームにだってそれほど遅れをとらないように戦えると思っているんだ。チームとして、ベストを尽くすよ。」

コランタン選手、MOTO AINとの冒険を続ける
フランスの多彩なライダー、コランタン・ペロラリ選手(23歳)は、2021年10月にMOTO AINからモスト6時間レースに出場しており、チームにとってもなじみのある選手だ。彼は経験豊富な2人のライダーとチームを組むことを喜んでいるようだ。「僕は、2021年シーズンの最終戦からMOTO AINに参加したんだ。チームにランディ・ド・プニエ選手とロリス・バズ選手という元MotoGPライダーが2人いたことが印象的だったよ。2022年では、これ以上の成績を持つライダーを加入させることは難しいと思っていた。プライベートチームが世界レベルの耐久ライダーを迎え入れるのは、いつも難しいことなんだよ。断られながら、解決策を見つけ、妥協しながらも、決して目標を見失ってはいけないんだ。今回も、ピエール監督はこのチャレンジに挑戦してくれた。僕はライダーとしてだけど、その姿勢を高く評価しているんだよ。クラウディオ選手とブラッドリー選手を迎えることができて、本当にうれしく思っているんだ。彼らは経験豊富で速くて、実績もあるけど、24時間耐久レース、それも夜間走行という大きな未知の世界があるということも確かなんだ。だけど、僕たちがブガッティ・サーキットでどんな走りができるのか、今から楽しみでしょうがないよ。」

クラウディオ選手とコランタン選手は、2022年EWC全レースをMOTO AINで戦うことが決定しているが、ブラッドリー・スミス選手は他の予定があるため、現時点ではルマン24時間レースのみの契約となっている。

情報提供元 [ FIM EWC ]

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