ルマン24時間レースでの激戦により、2019-2020年FIM世界耐久選手権のタイトル争いがより混迷を深めた。今回のレースでは、Suzuki Endurance Racing Teamがトップの座を死守したが、他の4つのファクトリーチームもトップ5に入っており、未だ、各チームに世界タイトル獲得のチャンスがある。

2020ルマン24時間レースは、トリッキーなコースコンディションの中、予想がつかず目が離せないスリリングなレースが展開され、ファンの期待に応えてくれた。2位のBMW Motorrad World Endurance Teamに5ポイントという僅差でルマンを迎えたスズキのファクトリーチーム、Suzuki Endurance Racing Teamであったが、エティエンヌ・マッソン選手、グレッグ・ブラック選手、ザビエル・シメオン選手の活躍により3位に入賞。依然、ライバルに40ポイント差をつけ、トップの座を堅守している。しかし、他の優勝候補たちも上位に食い込んできた。

意気込む4台のファクトリーチーム
そのため、Suzuki Endurance Racing Teamは、9月26日に開催されるエストリル12時間レースで、4チームのライバルを迎え撃つことになる。最終戦では、優勝ポイントの他に、ポールポジションポイント、8時間経過後のトップポイントと合計で最大67.5ポイントが与えられる。

日本のチーム、F.C.C. TSR Honda Franceは、今回のレースで8時間後と16時間後にトップに立ったまま優勝したことで、ルマン24時間レースでのポイントをほぼ最大で獲得し、暫定ランキングでは、Suzuki Endurance Racing Teamに40ポイント差まで詰め、2位に躍進した。F.C.C. TSR Honda Franceは、ルマンで、2020年のニューモデル、Honda CBR1000RR-Rとブリヂストンタイヤ、そして3人の競争力のあるライダー(ジョシュ・フック選手、フレディ・フォーレイ選手、マイク・ディ・メリオ選手)による勝利への方程式を作り上げた。
2017-2018年のFIM EWC王座を獲得したF.C.C. TSR Honda Franceは、今シーズンもタイトルを狙っており、エストリルでは、Suzuki Endurance Racing Teamの一番のライバルとなることは間違いない。

セパン8時間レースでは、マービン・フリッツ選手、ニッコロ・カネパ選手、カレル・ハニカ選手の3人を擁して4位入賞を果たしたオーストリアのチーム、YART Yamahaも、世界タイトル獲得を目指している。ルマンではポールポジションからスタートしたYART Yamahaだが、序盤はトップを快走していたものの、転倒をきっかけにトップグループから後退した。しかし、非常に高い競争力をもっていることは事実。トップとは45ポイント差。まだまだ諦めることはない。2009年のFIM EWC世界王座を獲得したYART Yamahaは、新たなタイトル獲得に向けて全力を尽くす。

ルマン24時間レースの前までは、ベルギーのBMWチーム、BMW Motorrad World Endurance Team(ケニー・フォレイ選手、イルヤ・ミハルチク選手、マーカス・ライターバーガー選手)が、Suzuki Endurance Racing Teamの一番のライバルだった。ルマン24時間レース終了の数分前にイルヤ選手が転倒し、5位のポジションを逃しただけでなく、負傷のためにフィニッシュラインを通過することもできなかった。この結果、BMW Motorrad World Endurance Teamは、ルマン24時間レースでは完走扱いとならず、暫定チームランキングは、トップから45ポイント差の4位に転落した。しかし、BMWのファクトリーチームは、9月26日のポルトガルでリベンジを果たす。

Suzuki Endurance Racing Teamと47ポイント差の5位につけているWebike SRC Kawasaki France Trickstarは、ルマンで好成績を収めた。ルマン24時間レースでジェレミー・ガルノニ選手、エルワン・ニゴン選手、デビッド・チェカ選手の活躍により2位に入賞したことで、2018-2019年FIM EWC王者は再び息を吹き返し、新たなタイトル獲得への道を歩み始めた。カワサキワークスチームの次戦への戦略は、何が何でも優勝を狙うことだ。

ルマンでは、素晴らしいレースを展開したにもかかわらず、レースからの撤退を余儀なくされたドゥカティのERC Enduranceは、唯一世界タイトルに手が届かなくなったファクトリーチームである。ルマンでは、パニガーレV4Rに乗ったランディ・ド・プニエ選手、ジュリアン・ダ・コスタ選手、ルイ・ロッシ選手は、スタートグリッド5番手を獲得し、レース最速のラップを記録したが、トップ集団に割り込む前に、技術的な問題や電気系統のトラブルに直面し、姿を消した。

注目の最速プライベートチーム
計算上では、Wójcik Racing Team、VRD Igol Pierret Experiences、3ART Best of Bikeの3つのプライベートチームも、まだエストリルで世界タイトルを獲得できる可能性を持っている。5つのファクトリーチームが上位を占めている中、この3チームのうちの1チームがタイトルを獲得する可能性は極めて低いだろうが、この3台のヤマハマシンは、ポルトガルの戦いに全力で挑んでくるだろう。ルマン24時間レースでは、VRD Igol Pierret Experiences、3ART Best of Bike、Wójcik Racing Teamがそれぞれ5位、6位、7位を獲得。
エストリルでは、タイトル争いと同様、プライベートチームのトップ争いが熾烈を極めることになるだろう。

FIMスーパーストック・ワールドカップ獲得のための接戦
スーパーストッククラスでは、昨シーズンと同様、Moto AinとGERT56 by GS Yuasaの2チームによるW杯争奪戦が繰り広げられている。前2018-2019シーズンの栄冠を手にしたヤマハのフランスチーム、Moto Ainは、昨年に続き、好調をキープするBMWのドイツチーム、GERT56 by GS Yuasaに26ポイントの差をつけてエストリル12時間レースを迎える。

2019-2020 FIM世界耐久選手権 - 3戦までのEWCチームランキング

2019-2020 FIM耐久ワールドカップ - 3戦までのスーパーストックチームランキング

情報提供元 [ FIM EWC ]

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