
第9回 ツーリング中に会話は必要か?
Webike会員へのアンケートを通じて、ライダーが今「知りたいこと」を徹底チェック。第9回となる今回は、ツーリングの必須アイテムになりつつあるインカムに注目してみました。

文--REI BiG MACHINE 撮影--BiG MACHINE
高い使用率が判明使い勝手が注目される
アンケート回答者のインカム使用率は約42%となり、ここ数年での急速な普及を裏付ける結果となった。大半はブルートゥース式だが、有線式その他も根強い人気があることがわかる。
一方で、使用していないライダーであっても4割弱が興味を持っているというデータもあった。
インカム購入時に重視するポイントは下段中央の表を参照してもらいたいが、一方で「一番重視するものは?」と単独回答を求めたところ、「会話機能ありでなるべく安価なもの」の項目がトップに。次いで「なるべく遠くまでクリアな音質が保たれること」となったのは興味深い。潜在的に多くの人が気にしているのはバッテリーや防水性といった使い勝手だが、まずは価格と性能を求めるのは、ある意味当然か。
気になっているメーカーはビーコム(サインハウス)がトップとなり、最新機種への興味が反映された形となっている。セナやユピテルといったブランドも一定以上の人気となっていた。
- Q.バイク用のインカムを使用していますか?
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使用していない 254 ブルートゥース通信の機器を使用している 164 有線式の機器を使用している 13 ブルートゥース以外の機器を使用している 8 - A.使用者の過半数越えは間もなくか?
- インカム使用者はアンケート回答者中42.1%と大きな勢力となっている。表にはないが、使用中のメーカーはビーコムとセナが僅差で、クールロボ(デイトナ)、インターフォン、ミッドランド、ケテルが続いている。
- Q.インカム購入の場合に重視するポイントは何ですか?(複数回答)
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バッテリーの持ちがよいこと 277 防水機能があること 254 なるべく遠くまでクリアな音質が保たれること 217 なるべく小さいこと 206 複数台が同時に接続できること 188 操作性がよく、わかりやすいこと 182 会話機能ありで、なるべく安価なもの 169 会話機能がなくていいで、なるべく安価なもの 26 乾電池式であること 22 有線式がいい! 7 - A.気兼ねなく長時間使えるものが人気
- バッテリーの持ちや防水機能、遠くまでクリアな音声が保たれることなど、天候や走行時間、走行環境に左右されず兼ねなく使える機能が求められてる。ただし、購入の第一条件として価格を上げたユーザーも多かった。
- Q.インカムで気になっているメーカーを教えて下さい
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B+COM 244 Sena 93 YUPITERU 50 DAYTONA 48 MIDLAND 39 interphone 27 KTEL 22 N PROJECT COCOCOM 6 CARD SYSTEM 5 World Walk 2 その他 11 - A.新製品攻勢のビーコムが気になる!
- 音楽などを聴きながら会話できる「聴きトーク」を実現したSB5Xを発売したばかりのビーコムに人気が集中。実際の使用者数では双璧となるセナに、ここでは水をあける結果となった。3位以下はそれぞれで人気を分け合っている。
今回テストしたのはSYGN HOUSE B+COM SB5X
その場、その瞬間に感動を分かち合える
急に思い立って、家族と北海道ツーリングに出掛けた。ライダーなら一度は訪れたい、名ツーリングロケーションだ。
下調べを一切せず、その場でスマホの地図を頼りに、札幌から道東方面へ適当に走り回ったが、適当でも気軽に走れて、そして場面ごとの感動を走りながら喋って共有できることが嬉しかった。途中、仕事の電話を受けたりもしたが、足を止めずに北の雄大な景色に抱かれながらした電話打ち合わせも、意外と悪くはなかったから複雑だ。
どっちへ行こう、休憩はまだ大丈夫か、狐が飛び出してきた、道がひたすらまっすぐで地平線に囲まれている、こんなに広い夕日を見たことがない…こんな会話を可能にしてくれたのが、インカムである。
一度使ってしまうともう引き返せないのが、技術革新の蜜なのだ。グリップヒーターやクルーズコントロール、そしてトラクションコントロールなども、かつては考えられなかった装備だが、今や超高級車でなくとも標準で装着された車両が増えている。
実は筆者も今では愛用しているが、白状するとそれまでは懐疑的であった。本当に要るものなのだろうかと。それが今では、もっと早くから使っておけばよかったと身に染みて感じている。
まず、仲間といちいち信号を待って話していたのがもはや億劫になってしまった。その場で、その瞬間に話したいからだ。感動は、時間が経てば色褪せていく。ふと漏れるように吐き出す感想から、そうだそうだと盛り上がることがこんなに楽しいことだとはこれまで気付きもしなかった。
それに、実は一人のときこそ、助けてくれる頼もしいアイテムなのだ。ナビの音声を無線で飛ばして聞くことができる、急な電話も走りながら応えられる、これはライダーそれぞれだろうが音楽を聴くことも。ヘルメットだけでなく、グローブまでもを外さないとできないことを、走りながら簡単にできるのだから、省略できるのは、一手間ではなく、二手間、三手間だ。
よりバイクと繋がれる、ひとつ上の人馬一体へ。インカムはライダーの集中を増してくれる道具だ。私は、楽しく長く走り続けるためにも、もう引き返したくない。

- REI
- 東京都出身のイギリス、ベルギー育ち。
VMAXをはじめ大型バイクを乗り継ぎ、レースに取りつかれた現在の愛車はドゥカティ1199 Panigale S。
ビッグマシンでのコラム執筆やテレビやイベントのMCなど「モデル+レーサー=モデレーサー」として活躍中。
将来の目標は8耐参戦!

- BiGMACHINEとは?
- 遅咲きビギナー向けのライテクHow to記事を得意とする大型バイク専門誌。ニューモデル&グッズのバイヤーズガイドとしてライダーのバイクライフをフルサポートする。毎月15日発売。 BiGMACHINE公式サイト
BACKNUMBER <アイテム編>
- 第1回電熱グッズは何を基準に選ばれている?
- 第2回ウインターグローブはどう選べばいいの?
- 第3回インナーウエアはもはや必須アイテム!
- 第4回やっぱりブーツは バイク専用がいい!
- 第5回ヘルメットはフルフェイスが人気
- 第6回ツーリングにはバッグがオススメ
- 第7回足元の雨対策は防水シューズが人気
- 第8回真夏の暑さ対策は何を使っている?
- 第9回ツーリング中に会話は必要か?
- 第10回盗難対策はどうしている?
- 第11回プロテクターへの関心度は高い?
- 第12回ケミカルは普段どんなものを使っている?