クランクケース内圧減圧バルブ特集


クランクケース内圧減圧コントロールバルブ特集

クランクケースの内側を減圧して回転フリクションを低減?!

雑誌で取り上げられる機会も増え、徐々に認知されつつあるクランクケース減圧バルブ。しかしその効果と原理を正しく理解しているかと言われると、ほとんどの方がサッパリ解らないのではないかと思います。

そこで!この特集では謎の多いクランクケース減圧バルブについて、原理、効果、注意などを解りやすく解説しています!また、ウェビックで取り扱っている減圧バルブのブランドについて、各ブランドごとの特徴と紹介もあります。

原理を正しく理解したうえで、好みのブランドの製品を装着するだけで誰でも効果を体感できるはずです!是非お試しください!!

この装置は4ストロークエンジンのクランクケースからブローバイガス(注1)と同時に空気を引き抜き、クランクケース内の圧力を下げる事で空気の密度を下げる装置です。

良く誤解されていますが、この装置はブローバイガスを排出する為の装置ではありません。

もちろんブローバイガスも排出しますが、あくまでもクランクケース内の圧力を低く保つ為の装置であり、同時にブローバイガス「も」排出しているに過ぎません。
(もしもブローバイガスが全く発生しないエンジンが存在したとしても効果は変わりません)※理由は下段の機能解説をご覧ください。

基本的に動力を持たず、ピストンの往復スライダー運動に伴って発生するクランクケース内の空気脈動によって動作します。

このため、装着に際して電源を確保する為の配線加工など、面倒な作業は不要です。

レーシングエンジンとして専用設計されたモトGP用エンジンなどでは吸引ポンプを駆動したり、排気負圧や吸気負圧を利用したりして強制的にクランケースを減圧していますが、これを簡易的に実現するための装置です。


※注1:ブローバイガスとは
燃焼室内でガソリンの燃焼が起こった際、発生した圧力によってピストンとシリンダーの隙間からクランクケース内に流入した未燃焼ガスの事。
イメージ
装着によるメリット
1エンジンブレーキの緩和

減速時にエンジンが軽く回るようになるので、エンジンブレーキが効きにくくなります。
スロットル急閉時に強いエンジンブレーキが作用してギクシャクしていた部分がマイルドになるので大変乗りやすくなります。
最も減圧の効果を体感しやすい項目で、車体の挙動に怯える事なく、気軽にスロットルを閉じる事ができるようになります。
特に交差点での右左折、雨天、市街地走行などが体感しやすいシチュエーションです。

2始動性向上

エンジン回転が軽くなる事からセルモーターが回りやすくなり、始動性が向上します。また、バッテリーへの負担も減っている事になります。
キックスターターではキックペダルを踏み抜く力が軽くなる、押し掛けではタイヤロック緩和なども期待できます。

3燃費向上

加速時にエンジンが軽く回るようになるので、燃費が向上します。
また、エンジンブレーキが弱まった事でスロットル全閉のまま空走する距離が長くなり、更に燃費が向上します。

4エンジンオイルの寿命延長

ブローバイガスを積極的に排出するのでオイルが劣化しにくくなり、交換までの期間を伸ばす事ができます。

5振動の低減

回転がスムースになるので微振動が減少します。
特にアイドリングなど、微振動の出る事が多い極低速付近で効果的です。

6エンジンが軽く回る

エンジン内部パーツには全く手を付けていないのに、まるでエンジン内部のフリクションを取る高度なチューニングを施したような感触
回り方になります。

レシプロエンジンはピストンの往復スライダー運動を伴うので、例えば単気筒エンジンではピストンが最も上がった時とピストンが最も下がった時ではクランクケース内部の体積が排気量分増減してしまいます。
また、レシプロ内燃機関ではピストンとシリンダーの隙間からブローバイガスが流入します。
これらの体積変化を逃がす為に、現代のエンジンにはクランクケースブリーザーが必ず標準装備されています。

もしクランクケースを密閉してしまうと、ブローバイガスによってクランクケース内圧が上昇し、始動困難、回転鈍化、オイルシール吹き抜けなどが起こります。
かつてはこのブローバイガスを可能な限り効率良く外部に放出する事が最良とされ、サーキット走行用の車両ではブリーザーホースの先端を大気開放とする事が一般的でした。
 → 【図1】

ところが、どれだけブローバイガスを排出してもクランクケース内には空気が残ります。
ブローバイホースを大気開放したとしてもクランクケース内に残された空気はピストンの上下運動に連動してクランクケース内を動かされます。
ピストン下降時はブリーザーホースから排出され、ピストン上昇時にはブリーザーホースから空気を吸引します。
エンジン始動中は脈動現象が大気開放したブリーザーホースの先端で起きていた事になります。
 → 【図2】

クランクケース内に残された空気に対し、排出はするが吸引は行なわない事で「単なる大気開放よりも低圧」とするのがクランクケース減圧バルブです。
ピストン上昇時はクランクケース内の体積増加に伴い、クランクケース内圧が「負圧」となるのが、今まで最良とされていた大気開放との決定的な違いです。
 → 【図3】

負圧になると言う事はクランクケース内部に残された空気の密度が減少する事を意味しています。
空気が大気圧であろうと負圧であろうとピストンの上下運動に伴って動かされる体積は変わりませんが、空気密度が低い事で動く空気の重さを軽くする事ができます。
 → 【図4】

一般的な並列4気筒エンジンでは隣り合ったピストンの片方が上昇する際にもう一方のピストンは下降に向かうので、クランクケース内の体積変化がほぼありません。
この為、4気筒エンジンではクランクケースブリーザーを出入りする空気が無く(ブローバイガスが出るだけ)、動かす空気の重さを軽くする効果は無いとする説もあります。
しかし実際には隣り合ったシリンダー間で空気が互いに移動するので、移動する空気の重さを軽くする効果はあります。
最近の4気筒エンジンでは隣り合った気筒への空気移動が行いやすいように空気の通り道(穴)が開いている場合がほとんどですが、旧車ではそういった対処をされていない事が多い為にもともとクランクケース内の空気を動かしにくく、より効果を体感しやすくなります。
 → 【図5】

★ クランクケース内の空気密度を下げると、エンジン稼動中にクランクケース内を激しく移動する空気重量を減少させ、回転に伴って発生する空気の攪拌抵抗を減少する事ができます。
つまり、クランクケース内圧を下げる = クランクケース内の空気密度を下げる = クランクケース内の体積は同じでピストンが動かす空気の体積も同じですが、そもそも含まれる空気の重さが軽い = 軽いので動かしやすい = エンジン回転時の抵抗が減る、という事です。

★ ピストン上昇時と下降時でクランクケース内の体積変動の激しいシングルエンジンVツインエンジンなどでは効果がより顕著となります。

★ クランクケース内が負圧となっている事で、ピストン下降時の圧縮抵抗が減少し、エンジンが軽く回るようになります。
また、エンジンブレーキはピストン上昇時に燃焼室の混合気を圧縮する抵抗と、ピストン下降時にクランクケース内の空気を押しのける抵抗で生まれますが、ピストン下降時の空気抵抗が弱くなる事でエンジンブレーキが弱くなります。

★ 「極太のブリーザーホースを付ければ良い」とする説もありますが、極太ホースとする事で空気の移動に伴う「運動抵抗」を減少させる事は出来ても、移動させている空気の量=空気の重さは変わりません。
このため、移動させている空気の量が同じででも「移動させている空気の重さが軽い = 動かしやすい = 低抵抗」となる減圧バルブ式ほどの効果は望めません。

★ ピストン下降時にはクランクケース内が負圧なのでピストンが引っ張られて抵抗が減ったとしても、ピストン上昇時は逆に抵抗となるので相殺されてしまい、減圧する意味は無いとする説もあります。
しかし上記のようにクランクケース内を減圧する事によってエンジン内部の空気攪拌抵抗を減少する事が出来るので、ピストン上昇時の抵抗増加を補うだけの効果があります。

 
 
図1
 
 
図2
 
 
図3
 
 
図4
 
 
図5
取り付け時の注意点
 

装着する向きに注意が必要です。
間違えて逆向きに装着すると、ブローバイガスを排出する事がほぼできなくなり、クランクケース圧を上昇させます。
始動困難、回転鈍化、過大なエンジンブレーキなど、デメリットしか無いどころか、最悪の場合はオイルシール破損やガスケットの吹き抜けなど、重大なトラブルに発展する可能性があります。

 

定期的なメンテナンスが必要です。
ブリーザーホースから排出されるブローバイガスの中には細かなオイル粒子と水分が含まれている事が多く、この水分とオイルが混ざり合ってペースト状の粘着物質に変化する事があります。(乳化現象)
この乳化オイルが減圧バルブに付着すると作動を妨害するので、定期的にチェックし、場合によっては洗い流す必要があります。

 

ラム圧加給の車両では注意が必要です。
ラム圧を利用して高速域での充填効率を高めている車両の場合、高速走行時は減圧バルブの外側(エアクリーナーボックス側)が大気圧よりも高圧となるため効果が薄れる場合があります。
この余剰圧を抜く「ブローオフバルブ」という製品もありますが、装着にはエアボックスへの穴開け加工などが必要です。

 

ブリーザーの出口を1本化する必要があります
クランクケースブリーザーを2系統持っているエンジンの場合、減圧バルブを装着していない側を封じる必要があります。
片側が通常のブリーザーとしての機能を残していると、クランクケース内を減圧できないので効果が一切無くなります。

 

2ストロークエンジンには使用できません
2ストロークエンジンはクランクケース内が吸気通路となっているので使用できません。
無理に装着すると始動不能、エンジン不調、エンジン破損につながります。

オススメラインナップ一覧

NAG アエラ 寺本自動車

当時誰も注目していなかった「クランクケース減圧」に注目し、製品化まで持ち込んだ恐らく世界初のメーカー。
他ブランドでは着目すらしなかったラムエア仕様に対応した「ブローオフバルブ」、排気流速による負圧を利用した「強制減圧タイプ」、近年のエンジンでは標準装備となりつつある2次エア制御用ソレノイドバルブを利用して減圧特性にリミッターを効かせたタイプなどの他、宿命と思われたブローバイオイルの乳化現象に対応した製品なども随時発売中!

基本的にNAG製と同一構造ながら、豊富なアルマイトカラーなどで差別化を図っていたブランド。
『モーターブレスシステム』という独自名称でシリーズを展開し、装着時のルックスまで考慮してあるかのような美しいデザインも特徴です。
DUCATI専用モデル『EVO』を登場させた事で、名実共にDUCATI専用クランクケース内圧コントロールバルブとして、他の追従を許さないポジションを築いています。

他ブランドとは一線を画す「リードバルブ方式」を採用し、『T-REV』の名称で製品を展開中。
高速で排出されるブローバイガスを効率良く排出するべく、製品内部のエア流路をスパイラル(螺旋)状に整形。更にリードバルブを3面に配置し、1面あたりの力を分散する事に成功。
他ブランドに無い豊富なカラーリングも特徴で、愛車のカラーに合わせたコーディネイトが可能です。

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