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投稿者:

栗田晃

2019年09月19日

「ゴロゴロ感」が出る前にメンテナンスしよう!プロが教えるベアリングのグリスアップ

ホイールがスムーズに回転するためにベアリングは不可欠ですが、ベアリングの性能を左右するのがグリスです。

回転部分に組み込まれているベアリングには、潤滑のためグリスが塗布されています。

そしてベアリング内部に封入されたグリスもエンジンオイルと同様に、使用期間や状況に応じて劣化します。

大きなダメージを引き起こす前に、定期的なチェックとグリスアップを実践しよう。

 

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1.普段は物言わぬベアリングだから気遣いが必要

▲サンプル車両(ゼファー400)は、接触タイプのゴムシールを片面だけ装着したホイールベアリングを採用。走行中の雨水や汚れが付着しやすい外面には写真のようなシールがあるが、内側はシールのないオープン状態となっている。

 

エンジン内部のミッションシャフトを支えるベアリングは、エンジンオイルやミッションオイルによって潤滑されます。

一方、ホイールベアリングやステムベアリングに対しては、流動性のあるオイルは使えないので、ペースト状のグリスで潤滑しています。

ベアリングの内輪と外輪、その間に挟まれた鋼球が金属素材である以上、潤滑が欠かせないのがグリスを用いる理由です。

 

しかしエンジンオイルやブレーキフルードと違って、ベアリングのグリス管理には意識が向かないのが現実ではないでしょうか?

ベアリング潤滑不良の初期段階では回転にスムーズさがなくなり、ゴロゴロとした手応えになってきます。

重量が大きなホイールの慣性力や、ブレーキの引きずりの影響があると分かりづらいですが、ホイールを外してベアリングの内輪を回してみればゴロゴロ感は即座に分かります。

 

さらに進行すると、潤滑不良によって内輪外輪と鋼球が焼き付きを起こしてベアリングがロックしたり、破壊することもあります。

そうなると走行不能になる上に、修理のための部品交換も必要なので、大きなダメージにつながる前のチェックが重要なのです。

 

2.ベアリングシールを外す際は、シール自体の変形に注意する

▲ベアリング外輪とシール外周の接触部分に精密ドライバーを差し込んで、軽くこじるとシールが浮き上がる。ゴムの内側には薄い鉄板があるので、こじった際に変形させないよう注意する。

 

ホイールハブに組み込まれるベアリングは、一部の外国車ではテーパーローラーベアリングを使っていますが、大半がボールベアリングを使っています。

ボールベアリングにもいくつか種類がありますが、内輪と外輪の隙間にカバーが付くシールタイプがポピュラーです。

シールタイプのベアリングを洗浄とグリスアップする場合、シールを外します。

このシールは薄い鉄板に合成ゴムを接着したもので、先端が薄くて幅の狭い精密ドライバーでシール内側のリップ部分を軽くこじることで簡単に外れます。

しかし力の加え具合によってはゴムの裏側の薄い鉄板が変形してしまうこともあるので、慎重に取り外しましょう。

 

グリスの劣化具合は使用環境と走行距離によって左右されますが、適当な間隔でグリスアップが必要であることは、ベアリングメーカー自身が技術資料の中で明記しています。

バイクメーカーの機種別サービスマニュアルではベアリングのグリスアップに関する記述を読んだ記憶はありませんが、これは不具合が発生したら交換することを想定しているからかもしれません。

しかし、潤滑不良によるトラブルがメンテナンスで回避できるのなら、定期的な洗浄とグリアアップを実践した方が得策です。

 

3.グリスアップはベアリング洗浄後に行う

▲内輪を指で回してゴロゴロ感がなければ、古いグリスをウエスや綿棒で拭き取る。この車両のベアリングは片面シールなので、ホイールにセットした状態で外側からパーツクリーナーを吹き付けても、溜まることなくホイールハブの内側に流れ落ちる。グリスを塗布する際は先端の細いグリスガンを使うことで、内外輪とボールの接触部分に確実に塗布できる。

 

一般的な潤滑部と同様に、ベアリングのグリスアップを行う際は、先に古いグリスを除去することが重要です。

 

ベアリング単体であれば、灯油や洗油に浸して古い歯ブラシで擦って洗浄できますが、ホイールにセットしたまま作業する場合、内輪と外輪の間隙に詰まったグリスは精密ドライバーで掻き出し、パーツクリーナーや防錆潤滑剤を塗布した綿棒やウエスで拭き取ります。

この際、ホイールハブ周辺に付着した砂利などの異物をベアリング内部に落とさないように注意します。

 

洗浄が終わったら、耐水性と極圧性の高いリチウム系やウレア系のグリスを塗布します。

内輪と外輪の隙間に確実にグリスが届くよう、先端の細いグリスガンを準備しておくと作業がスムーズに進みます。

塗布する量については、ベアリングメーカーは外輪と内輪の空間容積に対して30~40%程度満たされていれば良いとしています。

 

潤滑性能だけに注目すればもっとたっぷり押し込みたい気もしますが、グリスが多すぎると回転時の放熱性が低下して、粘度低下による流出や加熱による酸化の原因にもなるので、適量に抑えておくのがポイントです。

ベアリングのグリスアップは摩擦や摩耗を防ぎ、フリクションロスの軽減にも有効で、原付から大型車まですべてのバイクに有効なので、メンテナンスに興味のある方は一度シールを外してチェックしてみると良いでしょう。

 

「ベアリングに使えるグリス」はこちら

「ピンポイントを狙えるグリスガン」はこちら

 

洗浄とグリスアップで潤滑不良を防止しよう。

常に寡黙で縁の下の力持ちとして働くベアリングには

質の良いグリスによる潤滑が不可欠。

カスタムやドレスアップの前にメンテナンスによって本来の調子を取り戻そう。

 

POINT

・ゴロゴロと不快な感触が出る前に洗浄とグリスアップ

・グリスは耐水性と極圧性の高いリチウム系やウレア系を使用

・塗布する量は空間容積に対して30~40%程度でOK

 

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