BMW S1000RRを1位に選んだ最大の理由は、市販車最多の電子制御を搭載しているだけでなく、それらがきっちりと機能することでライダーを超高性能バイクを操るプレッシャーから解放してくれるということ。
ここ数年、スーパースポーツ系のオートバイに電子制御を採用することは珍しいことではなくなったが、それらの大多数はただ単にエンジン特性を変化させたり、前後輪の速度差を感知してリアタイヤのスリップを抑制するといったシンプルな構造のものが主流だった。ところがS1000RRに搭載されている電子制御は、4段階でエンジン特性が変えられるだけでなく、それに合わせてトラクションコントロールやウイリープロテクション、ABSのバランスが微妙に変化させられる非常に手の込んだ作りになっている。
実際にポルトガルで試乗したときは、スタート時はフルウエットだったが天候の回復と共に路面が急激に乾いていくコンディションで、路面コンディションに合わせてモードをレイン、スポーツ、レース、スリックに切り替えながら走行し、その効果が絶大であることを実感した。
今回の撮影もスタート時は路面が濡れていて、スーパースポーツ系を走らせるには非常に辛い状況だった。撮影の為に用意されたオートバイの中にはモード切替が装備されている車両もあったが、それらはただ単にエンジン特性を穏やかに出来るというだけで、リアタイヤのグリップを確保してくれるわけではない。つまり、エンジン特性は穏やかになるが、アクセルを開けすぎれば転倒してしまうのだ。
ところが、エンジン特性を変化させるモード切替とトラクションコントロールが連動しているS1000RRの場合、何かの拍子にアクセルを開けすぎてもマシンの方で自動的にリアタイヤが滑らないようにコントロールしてくれるから最悪の事態を避けられる。またブレーキング時にもタイヤが滑ればABSが作動して、タイヤのグリップを確保してくれる。さらにクラッチ操作なしでシフトアップ出来るシフトアシスタントも効果絶大。アクセル開度一定のままシフトペダルを掻き上げるだけでスムーズにシフトアップ出来るからマシンの挙動が乱れないし、体力的にも楽なのだ。
今回の撮影はウォームアップを兼ねて250ccからスタートしたが、順番に排気量を上げ、路面コンディションの確認が済んでいるにもかかわらずスーパースポーツを走らせるのは気が重かった。ヘビーウエットのサーキットをS1000RRでスイスイと走りきった体験がある私は、S1000RRならこのコンディションでも楽勝なのに!と思ったほどだった。
シート高が820mmに抑えられ、足着き性抜群のS1000RRは取り回しも楽。撮影のためにUターンを繰り返す状況下でも苦にならないと思われる。適度なしなりが感じられる車体は国内の一般道でも軽快に走れること間違いなし。





