BMWといえば、オトナ向けの歴史あるドイツ製ツーリングバイク。そんなイメージは依然として強い。あんまりキャリアがない自分にはふさわしくないんじゃないか、乗りこなせないんじゃないか……そういって、ハナから敬遠するライダーだって少なくないだろう。
その対策としてデビューしたのがFシリーズ。96年に初めてのFシリーズとして、エンデューロを楽しむ=ファンデューロというニックネームで初登場したのだった。もちろん、エンデューロというより、普通の街乗りを気軽にできるBMWという性格付け。それまでのBMW=玄人向けフォーマルなオートバイ、という印象を取り除くモデルだった。
04年にはもっとカジュアルなF650CSスカーバーも登場。そして、いつしかFシリーズは、食わず嫌いをされがちなBMWにあって、初心者や女性ライダーを取り込む、重要なポストをキッチリ担うモデルに成長したのだった。 そしてニューF650は、これまでの水冷シングルから、現行F800S/STの水冷ツインを搭載。だから排気量は800cc、わざわざF650というネーミングにしたのは、これまでFシリーズが築いてきた「エントリー向け」ブランドを強調する狙いもあるのだろう。引き続きFシリーズはアナタたちのオートバイですよ、というBMWの呼びかけだと考えれば分かりやすい。
そのF650は、とにかく何の気負いもいらない、まったくフツーのオートバイだった。日本のモデルで言えばヤマハSR、ホンダCB400SF的な、ロングセラーのベーシックなモデル。とがったところが一切ない、何にでも使える、超オールラウンドなオートバイ。(文/中村浩史 写真/盛長幸夫)





